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雇用調整助成金とは?対象事業者や支給要件、支給額から手続きまでご紹介

監修者:山本 務 やまもと社会保険労務士事務所
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雇用調整助成金とは一時的に休業や教育訓練、出向などをおこない労働者の雇用の維持を図る事業主に、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的とした助成金です。

今回は雇用調整助成金の対象事業者や支給要件、支給金額、申請手続きを中心にご紹介します。

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、景気の変動や消費動向の変化より事業の縮小を検討する企業が、余剰従業員に対して休業・教育訓練・出向の3つの雇用調整をおこなうときに支給される助成金です。

対象期間は1年間です。1年間が終了し1年間の休止期間を経れば、再度申請をおこなえます。

雇用調整助成金の対象となる事業主の条件

雇用調整助成金を受給するには、事業主が以下の条件を満たす必要があります。

助成対象となる事業主の条件
  • 雇用調整を実施していること
  • 雇用保険適用事業主であること
  • 受給に必要な書類を整備し、労働局に提出・保管して、必要に応じて提出すること
  • 労働局等の実地調査を受け入れること

その他、細かい条件や留意点があります。詳細は厚生労働省が発表している雇用調整助成金のページをご確認ください。

支給条件に注意

雇用調整の実施は従業員の削減だけでは認められません。雇用調整は景気の変動や産業構造の変化、その他の経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされ、労使間の協定に基づいておこなわなければいけません。

また、受給に必要な書類には、雇用調整の対象になった労働者の出勤状況や賃金、休業手当などの支払い状況を明らかにできる労働者名簿賃金台帳出勤簿などが該当します。

雇用調整助成金の対象外となる事業主

以下の条件に該当する事業主は、雇用調整助成金の対象外となります。

助成対象外となる事業主
  • 支給申請日の前年度以前の労働保険料を滞納している
  • 3年間にわたる助成金の不支給措置がとられている
  • 助成金不正受給にともなう事業主名などの公表に同意していない
  • 過去1年に労働関係法令の違反をおこなっていて、送検されている、もしくは送検されることが明白な場合
  • 性風俗関連営業またはその営業の一部を受託する営業をおこなっている
  • 暴力団とかかわりのある
  • 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している

雇用調整助成金の支給要件

雇用調整助成金の支給には、以下の要件を満たす必要があります。

支給条件
生産量・売上高 生産量、または売上高などの事業活動を示す指標の直近3カ月間の月平均値が、前年同期に比べて、減少していること
雇用指標 雇用保険被保険者数、および派遣労働者数の直近3カ月間の月平均値が、前年同期と比べて、増加していないこと
中小企業と中小企業以外で減少比率が変わる
労使協定 休業や出向の内容が、提出された労使協定に基づいていること
後述の支給期間の条件を満たすことも必要

支給対象となる措置と支給額

雇用調整助成金の支給対象となる措置には、

  • 休業
  • 教育訓練
  • 出向

の3種類があり、それぞれ条件が異なります。

休業

雇用調整助成金における「休業」は、低下した生産量が休業を通じて、短期間で回復が見込まれる場合の措置です。休業の実施により、助成金を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。

休業の条件
  • 労使間の協定によるものであること
  • 事業主が指定した対象期間内(1年間)におこなわれること
  • 「判定基礎期間」において、対象労働者にかかる休業の延べ日数が所定労働延べ日数の1分の20(大企業は1分の15)以上であること
  • 休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないもの
  • 所定労働日の所定労働時間内に実施されること
  • 所定労働日全1日にわたるもの、または所定労働時間内に対象労働者全員につき一斉に1時間以上おこなわれること

教育訓練とは

雇用調整助成金における「教育訓練」は、従業員に教育訓練を通じて、新たな技術の習得を促し、従業員の能力を向上させる措置です。教育訓練措置の実施により、助成金を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。

教育訓練の条件
  • 労使間の協定によること
  • 事業主が指定した対象期間内(1年間)におこなわれること
  • 「判定基礎期間」において、対象労働者にかかる教育訓練の実施日の延べ日数が所定労働延べ日数の1分の20(大企業は1分の15)以上であること
  • 職業に関連する知識や技術の習得・向上を目的としたもので、かつ当該受講日に業務に就かせないこと
  • 所定労働日の所定労働時間内に実施されること
  • 訓練は全日もしくは半日にわたっておこなわれること

出向とは

雇用調整助成金における「出向」は、従業員を他の企業に出向・従事を通じて、雇用維持を図る措置です。出向の実施により、助成金を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。

出向の条件
  • 雇用調整を目的としておこなわれること
  • 労使間の協定によること
  • 出向労働者の同意を得ていること
  • 出向元と出向先の間で締結された契約であること
  • 出向先事業所が雇用保険の適用事業所であること
  • 出向元事業主と出向先事業主の独立性が認められること
  • 出向開始日の前日から起算して6カ月前の日から1年を経過した日までの間に、その雇用する被保険者を事業主都合により離職させていないこと
  • 事業主が指定した対象期間内(1年間)におこなわれること
  • 出向期間が3カ月以上1年以内で出向元事業所に復帰すること
  • 出向終了後6カ月以内に当該労働者を再度出向させないこと
  • 出向元事業所が出向労働者の賃金の一部を負担していること
  • 出向労働者に出向前に支払っていた賃金と概ね同じ額の賃金を支払うこと
  • 出向元事業所において、助成金の対象となる労働者や出向労働者を受け入れていないこと
  • 出向者の受け入れに際し、助成金対象となる出向をおこなっていないこと

助成金の支給額

休業、教育訓練、出向の措置に支給される助成金は以下の算出方法で決定します。

支給額の算出方法
休業措置 休業手当に助成率(中小企業は3分の2 、大企業は2分の1)を乗じた額
教育訓練措置 教育訓練実施時の賃金に助成率(中小企業は3分の2 、大企業は2分の1)を乗じた額
出向措置 出向元事業主の出向労働者の賃金に対する負担額に助成率(中小企業は3分の2 、大企業は2分の1)を乗じた額

なお、休業措置と教育訓練措置の場合、上限額は8,250円ですが、教育訓練措置には上限額とは別に訓練1日当たり1,200円が加算されます。

また、休業措置や教育訓練措置を実施している期間に対象となる労働者が所定外労働をおこなっていた場合、その労働時間分の額が助成額から差し引かれます(残業相殺)。

雇用調整助成金の手続き方法

雇用調整助成金を受給するには、以下の手順で受給手続きをおこないます。

雇用調整助成金の手続きの流れ

  1. 雇用調整に向けた具体的な計画の立案
  2. 雇用調整計画書を最寄りの労働局、もしくはハローワークへ提出
  3. 雇用調整計画書に基づいて、雇用調整措置を実施
  4. 雇用調整の実績に基づいて、支給申請書を労働局、もしくはハローワークに提出
  5. 労働局による審査
  6. 助成金支給の決定(その後、支給金額が振り込まれる)

雇用調整計画書の策定は、休業措置の場合、どの部門で何人がどのくらいの期間休業するのか、休業する人の選定方法などを検討しなければいけません。

教育訓練措置の場合、訓練内容および訓練期間の決定や講師の選定をおこないます。出向措置では、出向先の選定や出向に関する内容確認(氏名、職種、賃金、出向期間、出向先での労働条件など)が必要です。

計画届の入手方法と期限

雇用調整計画書を提出する際は雇用調整助成金専用の計画届が用意されており、必要事項を漏れなく記入します。インターネット上からダウンロードも可能です。また、添付する必要書類も準備しておきましょう。

雇用調整の措置を実施した後、雇用調整女性金の支給申請をおこないます。申請期限は、支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内です。

雇用調整助成金の様式ダウンロードはこちら>>

まとめ

雇用調整助成金とは、景気の変動や消費動向の変化より事業の縮小を検討する企業が、余剰従業員に対して、休業・教育訓練・出向の3つの雇用調整をおこなうときに支給される助成金のことです。

受給対象となるには、事業主が満たすべき条件と支給要件(生産量・売上高、雇用指標、労使協定)をそれぞれ満たさなければいけません。

雇用調整助成金は雇用調整計画書の立案し、労働局・ハローワークへ提出した後に雇用調整措置を実施し、その後支給申請書を提出→労働局の審査後に受給が可能となります。

やまもと社会保険労務士事務所 監修者山本 務

上場の建設会社にて情報システムの開発、運用、管理を経験した後、人事部に異動して給与計算、社会保険手続きから採用・退職など、人事労務管理に約12年従事。やまもと社会保険労務士事務所の所長、特定社会保険労務士。
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