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非正規雇用の均等待遇へ!現状・課題や各種労働法、同一労働同一賃金を解説!

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人事労務管理派遣社員(派遣労働者)

パート、アルバイト、契約社員、派遣社員等の非正規雇用労働者の待遇改善に向けて、政府は日本再興戦略の一環でもある非正規雇用の正規雇用転換を加速させてきました。また、2020年4月には大企業が、2021年には中小企業が働き方改革の一環である同一労働同一賃金が適用されます。

今回は非正規雇用の均等待遇に向けた、現状・課題、各種労働法(労働契約法や労働者派遣法改正、パートタイム労働法など)、同一労働同一賃金を解説します。

非正規雇用の現状と課題、正社員との待遇格差とは

厚生労働省の公表では、非正規雇用労働者は1994年から緩やかに増加しており、雇用形態別ではパート・アルバイトが増加、非正規雇用労働者に占める55歳以上の割合も高まっています。

また、非正規雇用労働者の課題や正社員との待遇差は以下の課題が指摘されています。

  • 正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている「不本意非正規」の割合は、非正規雇用労働者全体の12.8%にものぼる(2018年平均)
  • 非正規雇用労働者は正規雇用労働者に比べ、賃金が低い
  • 正社員以外に教育訓練を実施している事業所は、OJT(日常の業務につきながら行われる教育訓練)、OFF‐JT(業務命令に基づき通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練や研修)ともに正社員の約半数

正規雇用労働者は2015年に8年ぶりにプラスに転じ、4年連続で増加しているものの、正社員との待遇格差には、まだまだ課題が残されています。

【参考】[厚生労働省 正社員転換・待遇改善に向けた取組 「非正規雇用」の現状と課題]
(https://www.mhlw.go.jp/content/000508253.pdf)

労働者派遣法・労働契約法の改正内容

労働者派遣法・労働契約法の改正内容

非正規雇用に対する均等待遇への対策は過去から実施されており、各種労働法が改正され、現在に至ります。

労働者派遣法改正によるキャリアアップ措置の義務化

2015年9月30日に労働者派遣法改正により、派遣労働は臨時的/一時的な労働・利用であることを原則とし、常用代替が防止されました。

また、改正された労働者派遣法には、派遣労働者に雇用の安定、およびキャリアアップ措置を義務化する旨が盛り込まれています。キャリアアップ措置の義務化は、すべての派遣労働者がキャリアアップを図るために、派遣元から下記のキャリアアップの措置を受けられます。

  • 段階的かつ体系的な教育訓練
  • キャリア・コンサルティング(希望する場合)

無期雇用派遣労働者には、長期的なキャリア形成を視野に入れた教育訓練を実施することが派遣元に義務付けられています。

労働契約法改正による無期転換ルール

2013年4月1日に施行された労働契約法第18条では、無期転換ルール(以下、無期転換)が制定されました。

無期転換とは、同一の企業(事業主)との間で有期労働契約が5年を超えて更新されたとき、労働者の申し込みにより、期間の定めのない無期労働契約に転換することを義務付ける制度です。

現時点では既に対象となる労働者が存在しているため、5年を超えて更新された労働者から無期転換の申し入れがあった場合、企業は無期労働契約に応じなければいけません。対象となる労働者は、一般的に契約社員やアルバイトが該当しますが、企業が独自に定める雇用形態の名称(準社員やパートナー社員など)にかかわらず、無期転換が適用されます。

無期労働契約に転換した各社の導入事例は下記のとおりです。
(例1)一定の条件を満たすパート社員(1年契約・時給)を準社員(無期労働契約・月給)に登用
(例2)1年契約・月給のメイト社員を入社初年度から無期労働契約に変更
(例3)勤続5年以上の従業員をすべて無期労働契約に変更
(例4)有期労働者パートタイマーおよび嘱託職員の雇用契約が更新により通算5年を超えたとき、労働者から申し込みがあれば無期雇用労働者に転換できる制度を導入

【参考】[厚生労働省 無期転換ルール ハンドブック]
(https://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook2018.pdf)

パートタイム労働法(パートタイム・有期雇用労働法)とは

パートタイム労働法(パートタイム・有期雇用労働法)とは

パートタイム労働法とは、パートタイム労働者の就業の実態を考慮し、正社員との格差解消・待遇改善を目的とした法律です。働き方改革関連法の成立により、法律の名称が「パートタイム・有期雇用労働法」または「短時間労働者および有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(2020年4月施行予定)に変更される予定です。

また、2020年4月からは正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間にある不合理な待遇差が禁止されます。現行では、正規雇用労働者との均等で均衡な待遇の確保を推進することが定められています。

【参考】[厚生労働省 パートタイム労働者の雇用管理の改善のために](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046152.html)

パートタイム労働者とは

パートタイム労働者は「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と規定されています。アルバイト、パートタイマー、嘱託社員、臨時社員、準社員など、その呼称にかかわらず、上記の規定に当てはまる労働者は(パートタイム・有期雇用労働法)の対象者となります。

パートタイム労働法の規定

現行のパートタイム労働法では、雇用管理の改善等のため、事業主が講じるべき具体的な措置が規定されています。

労働条件の文書交付等

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたとき、速やかに昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口を文書の交付などにより明示しなければなりません。また、前述した事項以外も文書の交付などにより明示するように努める必要があります。

就業規則の作成手続き

事業主は、パートタイム労働者にかかる事項について就業規則を作成し、変更するときは、当該事務所において雇用するパートタイム労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めます。

均等・均衝待遇の確保を推進

事業主は、パートタイム労働者の職務内容(責任の程度も含む)と人材活用の仕組み・運用という2つの要件を通常の労働者と比較します。賃金・教育訓練・福利厚生などの待遇を考慮し、不合理と認められるものであってはいけません。

通常労働者への転換の推進

事業主は、パートタイム労働者を通常労働者への転換を推進するために、社内公募や通常労働者への転換のための試験制度、通常労働者の募集内容をパートタイム労働者へ周知するなどの措置を講じなければなりません。

相談体制の整備義務

事業主は、パートタイム労働者の雇用管理改善のために、相談に応じ、適切な対応を行える体制を整備しなければなりません。

短時間雇用管理者の選任

事業主は、常時10人以上雇用するパートタイム労働者がいる事業所ごとに短時間雇用管理者を選任しなければなりません。

苦情処理・紛争解決の援助

事業主は、パートタイム労働者からの苦情の申し出に対して、苦情処理機関に処理を委ねるなどの自主的な解決を図らなければなりません。

【参考】[厚生労働省 パートタイム労働法のあらまし](http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061842.html

2020年4月から施行のパートタイム・有期雇用労働法とは

働き方改革関連法の一環で、パートタイム労働法も改正され、「パートタイム・有期雇用労働法」と名称を変え、2020年4月に施行されます。2020年4月からは以下の内容が見直されます。

不合理な待遇差をなくす規定の整備

同一企業内で、正社員と非正規社員の間に基本給・賞与などにあらゆる待遇に不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

労働者に対する待遇の説明義務の強化

非正規社員は正社員との待遇格差の内容や理由を事業主に説明を求めることができ、事業主には説明に応じる義務が発生します。

行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定整備

都道府県労働局で、無料・非公開の紛争解決手続きを行えます。

【参考】[厚生労働省 改正後のパートタイム・有期雇用労働法について]
(https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/reform/)

同一労働同一賃金について

2020年4月から大企業を対象に同一労働同一賃金制度が施行されます(中小企業は2021年から施行)。

同一労働同一賃金とは、正規雇用労働者か非正規雇用労働者にかかわらず、同じ職務についている場合、同一の賃金を支給する制度です。

同一労働同一賃金は有期雇用労働者やパートタイム労働者、派遣労働者が対象となります。しかし、正規雇用労働者の職務内容や責任が非正規雇用労働者のそれと異なっており、説明可能なものであれば、待遇差を設けても問題ありません。

企業側には多様な社員の雇用機会の創出、非正規社員の能力アップのメリットがあります。一方で、人件費の高騰や人材の流出、待遇格差の合理的な説明義務、派遣社員の待遇改善といったデメリットも挙げられ、2020年4月からの施行を前に、人材活用の在り方を見直す必要があります。

【関連】2020年4月「同一労働同一賃金」が導入|働き方改革で格差是正へ

まとめ

  • 非正規雇用の現状と課題には、非正規雇用労働者の増加や待遇格差の是正が十分に進んでいない点が挙げられる。
  • 過去に労働者派遣法・労働契約法を改正し、キャリアアップ措置の義務化や無期雇用転換ルールの実施が行われた。
  • 2020年4月よりパートタイム労働法が改正され、不合理な待遇格差の規定の整備や従業員への待遇の説明義務強化、行政による助言・指導の強化が盛り込まれる。
  • 2020年4月より同一労働同一賃金が施行され、合理的な理由がない場合、雇用形態にかかわらず、同一企業内で同じ職務にあたる場合は同一の賃金を支給しなければいけない。
岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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