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キャリアアップ助成金給付までの手続きの流れと変更点について解説

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人事労務管理助成金

有能な非正規社員が退職してしまうのは非常に惜しいことです。そのような有期契約労働者の人材流出防止に役立つ助成金をご存じでしょうか?

今回は、有期契約労働者の正社員・無期雇用労働者への転換、賃金規定の改定による賃金引上げ、正社員と共通の諸手当制度の導入などの条件でもらえるキャリアアップ助成金制度の拡充について説明します。また、助成金申請手続きの流れや受給要件についても詳しく解説します。

キャリアアップ助成金拡充などの変更予定について

キャリアアップ助成金制度は、平成30年度以降に新たな助成金拡充などの変更が予定されています。対象コースは以下の4つです。

助成金拡充などの対象コース

  1. 正社員化コース

    「正社員化コース」は、支給対象について1年度1事業所あたりの支給申請上限人数が15人→20人に拡充されます。また、支給には次の要件が追加となります。

    【追加要件】
    ・正規雇用等に転換した場合、転換前6ヶ月と転換後6ヶ月の賃金(賞与・各種手当等含む)の比較で5%増額している
    ・有期契約労働者から転換した場合、転換前に事業主に採用されていた期間が3年以下に限る

  2. 人材育成コース

    「人材育成コース」は、平成30年4月より「人材開発支援助成金」に統合されます。ただし、平成30年3月31日までに訓練計画の提出がなされている場合に限り、引き続き、現在の人材育成コースとして支給申請が可能です。

  3. 賃金規定等共通化コース

    共通化した対象労働者2人目以降について、加算措置が適用されます。

  4. 諸手当制度共通化コース

    対象労働者2人目以降の加算措置と、諸手当の数に応じた加算措置が、新たに追加されます。

各コースでは細かく要件が定められていますので、助成金の申請中でも必ず指針の情報を入手し、変更点を確認することが重要です。なお、平成30年度予算の成立及び雇用保険法施行規則の改正が前提となるため、今後、変更される可能性があります。

助成金申請前の事前準備の流れと受給要件

次は、申請前の事前準備や受給要件等の説明をします。

共通の受給要件

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • キャリアアップ管理者を置いている
  • 管轄労働局長より受給資格の認定を受けている
  • 対象労働者への支払い状況等が明確な書類を整備している
  • 計画期間内にキャリアアップに取り組んでいる

不正受給や不当解雇、法令違反などを行っていたり、コースによっては一定期間において事業主都合により解雇・退職勧奨をしている事業主は、上記の要件を満たしていても受給できません。

中小事業主の範囲

左から業種、資本金、常時雇用者数の順に記載

  • 小売業   5千万円以下 または 50人以下
  • サービス業 5千万円以下 または 100人以下
  • 卸売業   1億円以下 または 100人以下
  • その他   3億円以下 または 300人以下

上記に該当する中小企業は、受給金額が異なります。

生産性要件

  • 直近の会計年度の生産性が3年前より1~6%以上伸びている

    6%未満は金融機関の「事業性評価」が必要です。

事業主は申請にあたり、増額すべき賃金や雇用期間の条件に合致するかに加え、就業規則、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿が適正に作成されているかも確認、または新規作成する必要があります。また、ガイドラインや意見を聞く労働組合等労働者代表の選任状況も確認して計画を作成しましょう。

キャリアアップ助成金を受給するまでの流れ

キャリアアップ助成金の申請は、各コースによって要件となる取り組みの内容(実施する措置)が異なりますが、ここでは受給までの流れについて説明します。

受給までの流れ

  1. 事前準備(前述)
  2. コースの選定と計画書の作成

    雇用する非正規雇用の労働者の勤務状況や就業規則等の労働条件をもとにコースを選定し、実施すべき措置が可能かどうかを検討したうえで計画書を作成します。

  3. キャリアアップ計画の提出・認定

    事業所ごとにキャリアアップ管理者を配置したうえで作成したキャリアアップ計画を提出し、管轄の労働局長の確認を受けます。

  4. 対象となるコースの取組の実施

    コースごとの措置を実施する前に労働協約又は就業規則の作成・変更が必要になります。また、必要に応じて、対象となる労働者へ取り組む措置が反映された労働契約書や労働条件通知書を交付します。

  5. 助成金の支給申請

    申請期間が6ヶ月分の賃金を支払った日等要件を満たした日の翌日から2ヶ月以内となりますので、期日管理に注意が必要です。

  6. 支給決定

    なお、東京都では「正社員化コース」に上乗せして支給する「東京都正規雇用転換促進助成金」もありますので、該当する事業主は忘れずに手続きしてください。

助成金受給にあたり注意すべき点とは?

最後に、助成金を受給するうえでの注意点を説明します。まず、次の事業主は助成金を受給できません。

受給できないケース

  • 3年以内、または、申請日後、支給決定日までの間に不正受給を行っている
  • 申請の前年度以前の労働保険料が未納入である
  • 過去1年間に労働関係法令違反を行っている
  • 一部の営業でも性風俗に関係がある
  • 暴力団と関係がある
  • 支給申請日or決定日に倒産している
  • 不正受給事業主の公表に同意しない
  • 計画提出後対象労働者が退職した場合

また、キャリアアップ助成金は、計画の提出から受給するまでの期間がたいへん長くなります。たとえば、「正社員化コース」の場合、正社員へ転換後、6ヶ月の賃金を支払った日の翌日から起算して2ヶ月以内に支給申請をするという流れになります。

対象労働者は申請事業主に雇用される期間が通算して6ヶ月以上という要件がありますので、助成金を受給するまでに2年近くかかることもあります。さらに、助成金を受給することだけを目的に無理な賃金の引き上げをした結果、労働者間で不公平が生じてしまい、トラブルになる場合もあります。

それが原因で、資金繰りの圧迫、労働者とのトラブルによる生産性の低下等から経営困難に陥る可能性もあるわけです。それを防ぐために、場合によっては経営労務の専門家のアドバイスを受けることも考えましょう。

まとめ

今回は、キャリアアップ助成金についての変更点や受給要件、受給するまでの流れに加え、受給にあたり注意すべき点について解説しました。

キャリアアップ助成金を利用することで優秀な非正規雇用労働者を正規雇用に転換し、戦力として長く働いてもらえるように配慮することが重要な一方で、助成金目当ての無計画な人件費増加で経営を圧迫することがないようにしたいものです。

そのためにも、今回の記事を参考に適切な手続きを行い、有能な人材を確保していきましょう。

加治 直樹 |  かじ社会保険労務士事務所

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