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柔軟な働き方を導入できる「フレックスタイム制」とは?


フレックスタイム制をご存じでしょうか?始業および終業の時刻を原則、労働者の決定にゆだねるものです。労働者にとっては保育園の送迎や介護、通院など家庭の事情によって働く時間を変えられます。

会社にとってはあくまでも労働者の判断となりますが、業務の繁忙に労働時間を併せることができるため、所定外労働時間の削減につながる効果もあります。フレックスタイム制の導入と運用の注意点を解説します。

フレックスタイム制の導入のための要件とは?

フレックスタイム制を導入するためには就業規則か、そのほかの準ずるものにフレックスタイム制の導入を明記する必要があります。具体的な内容として、始業および終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる旨を記載しなければなりません。また、労使協定において次の事項を定めておく必要があります。

  1. 対象となる従業員の範囲

    フレックスタイム制の対象となる範囲が各人なのか、課やグループごとなのか、それとも全従業員なのか明記します。労使で十分に話し合ったうえで、労使協定にて明確にしましょう。

  2. 清算期間

    清算期間とはフレックスタイム制にて、労働者が労働しなければならない時間を定める期間のことです。清算期間の長さは1カ月以内に限りますが、一般的には賃金の計算期間に合わせて1カ月にすることが多数です。

  3. 清算期間における起算日

    清算期間の起算日について毎月1日、16日、26日など、いつからいつまでが清算期間なのかを明確にする必要があります。単純に「期間は1カ月」と定めるのではなく、毎月の起算日を労使協定に明記しましょう。

  4. 清算期間における総労働時間

    清算期間における総労働時間とは、フレックスタイム制において労働すべき時間として定められている時間のことであり、いわゆる所定労働時間のことです。清算期間における総労働時間は清算期間を平均し、1週間の労働時間を40時間以内に定める必要があります。

  5. 標準となる1日の労働時間

    フレックスタイム制を導入した場合、有給休暇を取得した際に何時間労働したものとして賃金を計算するのかが問題になります。そのため有給休暇取得時の賃金計算を何時間とするのか、その時間数を明確にしておく必要があります。

  6. コアタイムとフレキシブルタイム

    こちらについては後述しますが、明記が必要です。

コアタイム・フレキシブルタイムとは?

フレックスタイム制が導入されている場合、従業員は始業時間、終業時間を自ら決定することができます。労働時間はコアタイムとフレキシブルタイムに分かれています。

コアタイム

従業員が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯のことです。コアタイムを必ず設けなければならないわけではありませんが、コアタイムを設定する際はその時間の開始および終了の時刻を明記する必要があります。

コアタイムは労使協定で自由に設定することができ、日によってコアタイムの設定を変えたり、コアタイムを分割したりすることも可能です。

フレキシブルタイム

従業員がその選択によって労働することができる時間帯のことです。この場合もその時間帯の開始と終了の時刻を事前に定めておく必要があります。

労働時間過不足の取り扱い、賃金清算とは?

フレックスタイム制では始業時間、終業時間を従業員の決定にゆだねているものの、使用者は従業員の実働時間を把握しておかなければなりません。そのため、把握した実働時間と総労働時間とを比較し、適切な賃金清算をする必要があります。

賃金清算とは労働時間が多いときは時間外労働として支給し、少ないときは時間単価で清算することです。たとえば、実働時間が総労働時間を超えた分は労働基準法第37条において、2割5分以上の率の割増賃金の支払いが義務付けられています。

フレックスタイム制の導入事例

実際にフレックスタイム制を導入した企業の事例を参考にしてみましょう。

化学工業会社、従業員3,055人のA社のケース

社員の意識改革と仕事の効率化を図り、昭和63年4月に研究・開発部門でフレックスタイム制度を導入し、その後対象者を拡大、全社員に対してフレックスタイム制としました。

フレックスタイム制を導入するにあたって、A社では3カ月の試行期間を設けることで制度が目的に沿った活用をできるかの調査を行いました。具体的にはフレックスタイム制の運用に誤りがないか、従業員同士のコミュニケーションが十分に行われているかなどです。

このような試行期間と調査を行うことは、制度の適切な運用ができているかを測ることができるでしょう。A社のフレックスタイム制度の清算期間は毎月1日から末日までの1カ月で、1日の標準労働時間は7時間45分です。

月の所定労働時間は7時間45分にその月の所定労働日を乗じた時間となり、当該月の所定労働時間に満たなかった場合の賃金の取り扱いについては原則として賃金カットなどはせず、通常の賃金を支払うことを労使間で決めています。

ただし、制度導入時点から所定労働時間に満たなかった従業員はおらず、A社の人事担当者からは「従業員一人ひとりが責任感を持って時間管理をすることの表れ」だという声が聞かれました。

社員一人ひとりの労働時間管理の方法は、それぞれがその日の勤務時間帯を記入する「勤労カード」をつけ、毎日各課の上司に提出しています。勤労カードには月の労働時間の累計を毎日記入するため、従業員も上司も労働時間を常に把握することができ、上司は労働時間が不足することのないよう指導する役割も果たしています。

まとめ

フレックスタイム制には仕事と個人生活の調和を図るというメリットや、通勤ラッシュを避けられるなどのさまざまなメリットがあり、多くの企業での拡充が見られます。

その適切な運用のためには事前に決定しておくべき項目などがありますので、労使間で十分な協議を行いましょう。すでにフレックスタイム制を導入している例などを参考にしながら、各事業所の実務や目的に則した制度の運用を目指すと良いでしょう。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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