労務の課題を解決するメディア労務SEARCH(サーチ)

Facebook twitter

勤怠管理の最新事情~労働時間の原則を知ろう

2016年は日本を代表する企業において、過労自殺や違法残業の実態が報道されました。しかしこれらは「氷山の一角」であり、違法・不適正な勤怠管理は他の企業でも存在しています。

もっともそもそも何が違法なのか、労働者の勤怠管理をしなければならない根拠は何なのか、まずはそれらを明らかにしなければ、違法な勤務状態に気づくことすらできません。自社が違法企業とならないよう、今一度原則から確認してみましょう。

時間外・休日労働と「36協定」

労働における原則は、以下のようになります。

  • 1日8時間、1週間40時間の労働時間
  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩
  • 少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日

これらの労働時間の原則を超えて勤務できるようにするには36協定が必要となります。
36協定は、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定」といい、時間外・休日労働を許容することができる労使協定です。この労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合や労働者の過半数を代表する者との間で結ぶものですが、協定を結んだからといって、何でもいいわけではありません。

時間外労働については限度があり、一例として、一般的な労働者については最大1カ月間で45時間、1年間で360時間になります。例外中の例外として特別条項協定を結ぶこともできますが、特に臨時の業務に限定されます。また、所轄労働基準監督署への届出により初めて効力を生じます。

労働時間の定義(該当するもの・しないもの)

残業については労働時間の延長として賃金が発生しますが、任意的に会社に残っている場合には労働時間に該当しません。それでは、労働時間とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか?

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている時間とするのが最高裁の判決でも通説となっています。また、この労働時間に該当するものかどうかは客観的に判断されるものであり、就業規則などに規定があったとしても、この規定がそのまま労働時間になるわけではありません。

例えば、ビル管理員で深夜に仮眠が必要な場合であっても、仮眠場所が限定されていることや仮眠中でも対応しなければならない突発的な事柄があることなどを理由に、労働時間に該当するとされる判断が多いのです。

これに対して、勤務先では作業着などに着替える必要がある場合であっても、着替える時間は労働時間に該当しないこともあります。

労働時間の客観的かつ合理的な記録

労働時間に該当するかどうかは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかどうかにより判断され、この判断は客観的に行われることになります。特に残業については業務に必要な残業なのかどうか、いわゆる上司の指揮の下なされているのかどうか、単純に自分で会社に残っているかどうか判断が難しいことが多いのが現状でしょう。

そこで、労働時間の客観的かつ合理的な記録が必要となります。例えば、会社にいるかどうかは近年のセキュリティ強化によってカードリーダーなどで入退室が記録されています。これで個々の従業員が会社にいる時間について客観的に把握することができます。そして、残業などについては残業の理由などの記録をデータ管理しておくなどすると、客観的かつ合理的な記録にすることができます。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

前述のような勤怠管理システムなどを導入して個々の従業員の勤務状態を管理するなどしていけば、コンピューターによって違法状態などを即勤怠管理者が見つけることができるようになります。そして勤怠管理者が積極的にこの違法状態について確認し、是正を求めるなどの対応が可能となります。

近年は電子決裁も多く取り入れられているため、システムを導入するコストも比較的下がってきていますので、このようなシステムなどを利用して労働時間の適正な把握をしておくといいでしょう。

詳しくは厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html)」を参照しましょう。

賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等

賃金不払いや残業の解消を図るために、勤怠管理者が講ずべき措置はどのようなものがあるのでしょうか。勤怠管理システムを導入すると、勤怠管理がコンピューターによりなされるため、賃金不払いや残業申請漏れを防止することが可能になり、比較的発生しにくくなります。

また、匿名の電話などを人事担当者に掛けることのできる通報システム、第三者へ違法労働の通報をすることが可能となる第三者通報窓口などを設けるのも有効です。

詳しくは厚生労働省「賃金不払残業の解消を図るため講ずべき措置等に関する指針(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1025-2c.html)」を参照しましょう。

過重労働撲滅特別対策班/過重労働特別監督管理官

過重労働による健康被害の防止などを強化することを目的として、厚生労働省は、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)が2015年4月に東京労働局と大阪労働局の2カ所に新設されました。

また、厚生労働省は、2016年4月より長時間労働の監督指導を専門に担当する過重労働特別監督監理官を全国の労働局に1人ずつ配置しました。そして、霞ヶ関にある厚生労働省の監督課にも各労働局との調整に当たる過重労働撲滅特別対策班を追加で発足させるようになり、過重労働について国主導の対策がなされるようになりました。

まとめ

労働時間などの原則についてみてきました。しかし、これらの規定を法制度という原則にすぎないとし、職場や企業全体の風土やプライドなどによって違法な勤務状況が当たり前になってしまうと、取り返しのつかない事態が起こりかねません。

法令や社内規程という制度を最低限のルールとして意識すること、そして個々の労働者および勤怠管理者の意識に適正な勤怠管理という問題意識が常に息づいていることが重要なのです。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

アンケート

ホームページの運用・方針の参考とさせていただきますので、是非ご協力ください!

サイト満足度

利用しているSNS

所属している部署

あったらいいなと思う記事 入力自由


いいね!していただくと毎日更新している最新の情報をお届けします