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新社会人の離職率を改善するには?現状と問題点、改善方法

退職における「7・5・3」をご存じでしょうか。これは若年者の早期退職の割合を表したもので、中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が3年以内に離職するという意味になります。

多額の手間と費用をかけて採用した若年層が、新人研修後や配属したばかりの時期に離職していくことは、会社にとって大きな損失です。現在の若年層の雇用環境や、個々の離職原因を探っていくとともに、改善のポイントを考えていきましょう。

厚生労働白書に見る現在の若年者雇用情勢

まずは若年者の就職事情を見ていきましょう。

厚生労働省が発表した「平成28年度版 厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-」(http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/)によると、実は就職率自体は年々増加しています。2016年3月に卒業した学生の就職内定率を見てみると、

  • 大卒で97.3%(前年より0.7%アップ)
  • 高卒でも97.7%(前年より0.2%アップ)

いずれも高い数値になっています。この数値は毎年着実にアップしており、就職支援についてはそれなりの効果が表れているようです。

さらに、完全失業率に関して2015年の数字を見てみると、

  • 24歳以下の完全失業率5.5%(前年比0.8%減)
  • 25~34歳では4.6%(前年とほぼ同率)

という数値が出ています。やはり、若年者に関しての数字が徐々に改善されてきており、現在は仕事を見つけやすい環境になっているといえるでしょう。

その一方で、2015年のフリーターが167万人(前年より12万人減少)、ニートが56万人(前年とほぼ同様)という結果から、新卒以外の就職支援活動に関しても力を入れていかなければならないと評価しています。

原因は「長時間労働」「条件違い」「職場トラブル」

就職率は年々上昇しているのですが、一方で新人が数ヶ月でやめてしまったという話も後を絶ちません。特に初めて正社員として採用された勤務先を、3年以内に離職してしまう人がかなり多いようです。一体何が原因なのでしょうか。

この問題について、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(以下:JILPT)が実施した「若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」(http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html )を基に解説します。

なお、調査の対象者は学校を卒業または中退して3年以上経過している人、かつ正社員雇用として勤務経験が1回以上ある人としています。JILPTの調査で「入社前に聞いた内容と入職後3ヶ月間の状況が異なっていた労働条件」として、最も多かった原因は「労働時間の長さ」でした。

また、離職者と勤続者の初めて正社員雇用された会社においての経験を比較すると、離職者の週労働時間は勤続者よりも平均5時間ほど労働時間が長くなっている傾向がありました。これが最も顕著な原因であり、肉体的・精神的に追い込まれて離職してしまうというケースが多いようです。

ほかにも、

  • 「一方的な労働条件の変更」
  • 「暴力、嫌がらせを受けた」
  • 「残業代が支払われなかった」
  • 「仕事が原因で病気やケガをした」

というような職場のトラブルがあった話もあります。このようにさまざまな要因が絡み合って、早期の離職に繋がっていくということが明らかになっています。

教育訓練や職場のコミュニケーションが必要

もうひとつ、離職に関しての大きなポイントがあります。それは「労働者とのコミュニケーション」です。

JILPTの調査によると教育訓練中や実際の業務のなかで、

  • 「きちんと指示がもらえなかった」
  • 「何をすれば良いかわからずほったらかしにされた」
  • 「初めから先輩社員と同等の業務を任せられた」

という経験をした人は、比較的離職率が高くなるといわれています。自分の仕事が忙しいと、ついつい指示も曖昧になってしまいがちです。ある程度、長く務めている方だと意思疎通もできているので、曖昧な指示でも仕事をこなしてくれるかもしれません。

ですが、右も左もわからない新人に対してそうした対応をすると、大きなストレスになってしまうのです。

反対に

  • 「自分のために歓迎会を開いてもらった」
  • 「他部署に自分を紹介してくれた」
  • 「成果に対してきちんと評価をしてもらった」

という経験がある人の離職率は低くなる傾向があります。きちんとコミュニケーションを取っていると、新人も職場の人たちに自分を受け入れてもらえていると感じられるようになり、離職率が低くなるのです。

しかし、コミュニケーションをとるためとはいえ、何でもかんでも飲みに連れて行けば良いというわけではありません。しっかりと彼らのことを理解し、今までの取り組みなどを認め評価するということがポイントになるようです。

早期離職はお互いのためにもならない

離職自体は、必ずしもネガティブなもの、後ろ向きなものというわけではありません。自分のキャリアアップのためという「前向きな離職」というケースや、結婚や妊娠といったおめでたい理由の方もいるでしょう。しかし、これが早期離職になるとまた話は別です。早期離職の場合、そのほとんどが後ろ向きな理由です。

早期離職は、お互いにとってデメリットばかりです。会社にとっては採用にかかった費用がまるまる損失になってしまい、労働者側にとっても次の仕事になかなか繋がりません。JILPTの調査によると、初めて正社員雇用された会社を1年以内に離職した場合、次の職場でも正社員雇用される割合は、男性では6割、女性では3割程度です。

やはり職歴の印象が悪くなってしまうのか、次の仕事を見つけるのにも一苦労してしまう人が多いようです。早期離職が毎年のように続いている会社の場合、職場に何か問題があるのかもしれません。

そこを特定し改善をしない限り、今後も早期離職が続く可能性は高いといえます。上述したような、大きな要因(長時間労働・労働条件の違い・職場トラブル)が起きていないかどうか、もう1度しっかりと確認をしておきましょう。

まとめ

早期離職はお互いにとって損失が非常に大きいものです。時代も変わり、昔では当たり前だったことが今では通用しないということも多くなってきました。いつまでも昔の感覚で新人に接していると、それが早期離職の原因となってしまうこともあります。

自分たちの時代では普通だったから・・・は、もはや通じません。まずは今の若い人たちをしっかりと理解し、自分の意識から変えていくことが大切になります。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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