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企業の人事担当が参考にすべき「働き方改革」の取り組み別15の事例

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人事労務管理職場づくり(環境改善)

働き方改革法が2019年4月に施行され、すでに多くの企業でさまざまな取り組みが行われています。

すでに対策を進めている企業も、これから検討していく企業も、先進的に取り組んでいる企業の事例を参考にし、働き方改革にしっかり対応しましょう。
こちらの記事では、各企業がどういった取り組みをしているかの事例を、取り組み別に紹介していきたいと思います。

働き方改革で企業が取り組むべきポイントとその理由

働き方改革では、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化など、今までの仕事の進め方では対応しきれない状況になっています。
これから取り組んでいくべき4つのポイントと理由について解説していきます。

労働生産性の向上

労働生産性とは、投入した資源(ヒト、モノ、カネなど)に対して得られた成果(付加価値)の質や量の割合を示す労働用語です。
同じ労働時間や人的資源でより多くの成果を達成させることを労働生産性の向上といいます。
労働生産性を向上させることで、時間外労働(残業)の減少や仕事にかかる工数の削減、有給休暇が取得しやすくなるなどの効果が期待されます。

労働生産性を向上させるために必要なことは以下の5つです。

  • 業務効率化(自動化やIT技術導入など)
  • 歩留まり・収率アップ
  • 適材適所への人員配置・人材育成
  • リードタイム短縮
  • 7つのムダの削減

    7つのムダとは、業務において付加価値を生まない諸要素として「トヨタ生産方式」で定義されたもので、「つくりすぎのムダ」、「手待ちのムダ」、「運搬のムダ」、「加工そのもののムダ」、「在庫のムダ」、「動作のムダ」、「不良・手直しのムダ」の7つのことを指します。

これらの項目を意識して業務改善に取り組むことで、効率的に労働生産性を向上させることができます。

非正規雇用等の格差改善

企業には、正社員のほかに契約社員やパート・アルバイト、派遣社員などのさまざまな雇用形態が存在します。
非正規雇用の従業員は、業務内容やレベルが正社員と同じでも、給与などの待遇に格差がある場合があります。

企業は、業務内容のレベルによって、それにふさわしい待遇の雇用形態の従業員に割り振る必要があり、より高度な業務を非正規雇用従業員にまかせる場合は、相応の待遇になるよう昇格させる処置も必要になって来るでしょう。
そのために、正社員だけでなく、非正規雇用の従業員に対しても、成果やがんばりを正当に評価できるシステムを構築し、正社員への登用を積極的に行える環境をつくることが必要です。

長時間労働の是正

長時間労働は近年の報道の影響もあり、徐々に減ってきてはいますが、まだまだ根強い問題です。

たとえば、特定の従業員に作業が集中し、その従業員だけが長時間労働になっている場合があります。企業側は、各従業員のスキルや仕事量を把握し、作業負担が均一になる処置をしていきましょう。

また、業態によっては繁忙期があり、労働時間を増やさざるを得ない時期がある場合もあります。その場合、派遣社員を活用して一時的に人員を増やすなどの工夫が必要になってきます。

柔軟な働き方の導入

従業員自身の環境・事情に応じて、働く場所や時間を決められるような柔軟な働き方が注目されています。
柔軟な働き方として主に以下の5つがあります。

  • フレックスタイム制
  • 短時間勤務制度(時短勤務)
  • 育児休暇・介護休暇
  • テレワーク(在宅勤務)
  • 副業・兼業

たとえばフレックスタイム制では、必ず在社していなければならないコアタイムはありますが、ある程度自由に出社時間や退社時間を決めることができるメリットがあります。
他の働き方も、家庭の環境や状況に応じて柔軟に対応するために非常に有効な方法です。

労働生産性の向上における事例6つ

労働生産性を向上させるためには、技術の導入や、従業員の仕事の質を向上させる必要があります。
そのためには、社内で人材育成をする環境をつくり、従業員の知識やスキルアップを図ることや、女性・若者の活躍など人材の多様化が重要になってきます。

システム導入・賃金引き上げ(生鮮食品小売会社での事例)

顧客が購入する商品の代金の受け渡しなどをすべて従業員が手作業で行っていましたが、作業効率が悪く残業時間も多くなっていました。

【取り組み】

  • 政府の業務改善助成金を活用した。
  • 設備投資でセミセルフPOSレジを導入し、顧客自身が機械で精算できるよう改善した。

業務改善助成金の支給を受ける場合には、賃金の引き上げが条件になっています。

【効果】

  • レジでの精算時間が1.5倍になり、預かり金や受け渡しの間違いがなくなった。
  • 時間給を52円引き上げることに成功し、従業員のモチベーションアップにつながった。

人材育成・教育(エンジニアリング会社での事例)

人員不足の影響や「優秀な人材を手放したくない」という社長の思いもあり、従業員のスキルアップに貢献。業務効率化につながりました。

【取り組み】

  • 研修制度(ワーキングホリデー研修、英語研修、技術研修)を充実させた。
  • 全従業員が、全業務に精通するようにジョブローテーション制度を導入。

【効果】

  • 従業員のスキルが向上し、効率的に仕事ができるようになった。
  • 従業員の成長意欲が向上し、自発的に研修へ参加するようになった。
  • 業務のマルチ化に成功し、急な欠員にも柔軟に対応できるようになった。

女性の裁量向上(大手全国展開小売会社での事例)

店舗顧客に女性が多いことから、女性の視点や感覚を商品開発などに生かすため、主に女性従業員の活躍を支援するプロジェクトを立ち上げ、女性が働きやすい環境づくりを行いました。その結果、女性の裁量が向上しました。

【取り組み】

  • 育児中の従業員を対象にしたコミュニティを立ち上げた。
  • 女性管理職を対象にしたコミュニティを立ち上げた。
  • 管理職の意識向上のためのセミナーを開催。

【効果】

  • 育児中の従業員のキャリアアップへの意識が向上した。
  • 管理職を目指す女性従業員が増加した。
  • 女性管理職の割合が増加した。
    (課長クラス約13%→約23%、係長クラス約15.0%→約32%)

若者・インターンの活躍(通信事業会社での事例)

従業員のスキルや人間性は実際に働くまでは分からないことが往々にしてあります。
そのため、よりよい人材を確保するためインターンシップで学生・若者の受け入れを推進しました。

【取り組み】

  • 学生だけでなく、就職を逃した若者も対象としたインターンシップを実施した。
  • 実習からスタートさせ、仕事の内容を詳しく理解させた。

【効果】

  • 高いスキルを持った従業員の確保に成功した。
  • 適性を事前にチェックできるため、短い養成期間で即戦力として活用できた。

外国人人材の受け入れ促進(溶接・板金・機械加工会社での事例)

海外展開を視野に入れており、現地の知識や商業に関する情報を得るため、外国人の採用が必要と考えました。

【取り組み】

  • 海外展開先の外国人をインターンとして受け入れた。
  • 帰国後に経験を生かせるよう装置の製作も担当させた。

【効果】

  • インターンシップ生と現地のネットワークが作れた。
  • 異なる文化の意見を取り入れることができた。

転職・再就職支援(産業機械会社での事例)

海外への移管や生産減少の影響で、大幅な人員削減や優秀な人材の厳選が必要となりました。
再就職支援などの制度が確立していなかったために、慎重かつ迅速な対応が求められていました。

【取り組み】

  • 習熟度や勤務態度を含んだ能力評価制度を導入した。
  • 全体への説明会や個別のカウンセリングを行った。
  • 提携人材会社のサービス案内と求人情報の配信を行った。(失業期間中も開放)

【効果】

  • 評価制度に基づいた正当な人選が行えた。
  • 詳しい説明を受け、カウンセリングを通して不安や不満の緩和ができた。
  • 半年以内に9割以上の再就職が完了した。

非正規雇用の格差改善における事例2つ

労働人口減少の影響もあり、求人に対して働き手が足りていないため、多くの企業で人員不足が問題になっています。
非正規雇用の格差を是正することで、人員不足を解決させるだけでなく、優秀な人材を確保していくことが可能になります。

非正規雇用社員の積極正社員登用(家具の小売会社での事例)

この企業では、雇用形態や性別による業務内容の格差と、各従業員のスキルが生かされてないことが問題となっていました。
人事制度を大幅に変更することで、これらの問題を解決しています。

【取り組み】

  • 全従業員対象で「同一な業務内容」には「同一の賃金を支給する」制度を取り入れた。
  • 全従業員を正社員へ転換した。(パートタイム従業員は「短時間勤務正社員」へ転換)
  • 有期雇用制度を廃止した。
  • 短時間正社員のフルタイム化チャレンジ制度を実施した。

【効果】

  • 業務内容における賃金格差がなくなった。
  • 正社員への登用により、責任感やコスト意識を持つようになった。
  • 勤続意識が向上し、離職率が3割減少した。(特にパートタイム従業員の離職率)
  • 全従業員がチャレンジできる環境になり、モチベーションが向上した。

高齢者の就業促進(輸送機器・機械工業会社での事例)

リーマンショックの影響で、社員を取り巻く環境が変化しました。
従業員の不足も懸念されることから、高齢者の雇用促進に力を注いでいます。

【取り組み】

  • 定年延長制度を導入し、定年の年齢を60歳から65歳に延長した。
  • 役職定年制度を導入した。
  • 高齢者の給与水準を維持した。

【効果】

  • 役職定年制度により、スムーズな世代交代ができるようになった。
  • 高齢者の給与減少率が緩和されたことで、モチベーションが向上した。

長時間労働の是正における事例一つ

働き方改革で時間外労働時間の上限が規制され、法定労働時間を超える労働をさせた場合は、企業に罰則が課せられることになりました。今まで以上に残業時間の削減が求められるようになったということです。

残業時間の削減(大手食品会社での事例)

同社の海外事業所では、短い労働時間で高い生産性を上げていました。
対する日本の事業所での残業時間の多さを懸念し、労働時間・労働環境の変革に踏み切りました。

【取り組み】

  • 所定労働時間を1日あたり20分短縮させた。
  • 全従業員の基本給を1万円引き上げた。
  • ペーパーレス化(資料などはデータ化し、タブレットなどで見る)で工数を削減した。

【効果】

  • 所定労働時間短縮と基本給引き上げでモチベーションが向上し、仕事の効率が向上した。(平均残業時間が1カ月あたり約4時間削減)
  • 2時間かかっていた会議を1時間15分に短縮できた。(45分短縮)

柔軟な働き方の導入における事例6つ

働き方改革に対応していくため、また多様化する従業員の労働環境を改善するために、今までの仕事に対する考え方を変え、柔軟な働き方を導入していくことが求められています。

フレックスタイム制度(大手総合化学メーカーでの事例)

急速に進む高齢化の波を受け、介護しながら勤務する従業員が増えることを見据え、仕事と介護を両立できる仕組み作りに乗り出しました。

【取り組み】

  • フレックスタイム制を導入した。
  • コアタイムを短縮した。
  • 制度の利用には期間を設けないことを決定した。

【効果】

  • コアタイムの短縮で、よりフレキシブルに勤務時間が調整でき、介護との両立が可能になった。
  • 従業員自身で業務が集中する時間に労働時間を合わせられるため、仕事の効率が向上。残業時間が削減した。

短時間勤務制度(大手小売会社での事例)

女性顧客が多いため、より質の高いサービスや商品を提供するため、女性の活用が不可欠でした。
しかし、育児や介護のためフルタイムでの勤務が厳しく、退職してしまうケースが多かったため、対策に踏み切りました。

【取り組み】

  • 時短勤務制度を導入した。
    (1人の子供が4年生になるまでの期間、1日5時間から調整可能)

【効果】

  • 育児や介護による女性従業員の離職率が減少した。
  • 日経ウーマンで、女性が働きやすい職場ランキング上位にランクインした。

育児休暇・介護休暇(総合老人福祉施設での事例)

女性だけでなく、男性にも育児休暇を取得させる取り組みを行っています。

【取り組み】

  • 管理職から対象者へ、育児休暇取得の呼びかけを行った。
  • 育児休暇を有給化した。

【効果】

  • 男性育児休暇取得者100%の達成

テレワーク・在宅勤務(障害者雇用支援会社での事例)

障害を抱えながら仕事を行う方の労働環境を整えるため、特に在宅勤務制度の定着と普及が課題になっていました。

【取り組み】

  • テレワークのルールを設定した。
  • 作業環境を整備した。(作業場所の限定、サポート体制)
  • 音声読み上げソフトやSkypeを導入した。
  • 業務を効率化した。(書類のデータ化、ルーチンワークの自動化、人員配置の見直し)

【効果】

  • 視覚障害者の雇用が増加した。
  • テレワーク業務の残業時間を短縮できた。(約20%減少)

副業・兼業(大手通信会社での事例)

新しい事業への展開のため、従業員のスキル拡大が課題になりました。
イノベーションを生み出すためにも、従業員がスキルを磨いていける環境作りに着手しました。

【取り組み】

  • 許可制で副業・兼業を解禁した。(本業に支障が出ない、かつ成長やスキルアップになるもの)
  • スーパーフレックスタイム制を導入した。
  • 在宅勤務やサテライトオフィスを推進した。

【効果】

  • 就業時間外の活動が充実した。(自己啓発や副業・兼業、育児など)
  • 本業とは別に仕事をすることで、新しいスキルを学び、業務に活かせるようになった。

まとめ

すでに働き方改革を推進している企業の事例を紹介してきました。
今までの考え方を180度変えるような大きな改革を行っている企業もありますね。

これからは、労働生産性の向上などの業務改善だけでなく、雇用人材の多様化(ダイバーシティ)や柔軟な働き方も求められてきます。
企業が対応していくには時間も労力も大きくかかりますが、従業員の成長は企業の発展には欠かせません。

まだ対策を考えている途中の企業や、有効な施策がないか検討中の企業は、今回紹介した事例を参考にしていただけると幸いです。

ソビア社会保険労務士事務所 代表社労士/ホワイト財団 代表理事|五味田 匡功

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