労務の課題を解決するメディア労務SEARCH(サーチ)

新任担当者必見!健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の手続概論

一般的に、健康保険と厚生年金保険の被保険者資格の取得・喪失の手続きについては、両保険につき同時に行うことがほとんどです。ただ、場合によってはタイミングが異なることもあり、取得と喪失とで添付書類などについてそれぞれの要件が異なる点があります。

本稿では特に得喪手続を初めて行う人事・総務部門の担当者の方向けに、被保険者資格喪失手続にポイントを絞って、その概要と関連周辺知識について解説していきます。

いつまでに、何を、どこへ提出すればいいのか?

従業員が退職した、新しく入社した場合に健康保険と厚生年金保険の手続きが必要になります。退職などによって、資格を失う場合の事業主が行う手続きは以下になります。

  1. 被保険者資格喪失届を提出

    事業主が「被保険者資格喪失届」を事実の発生から5日以内に日本年金機構に提出することが必要です。

  2. 年金事務所に提出

    事業所の所在地を管轄する年金事務所に郵送、電子申請もしくは直接提出します。この資格喪失届では、原則として健康保険及び厚生年金保険のいずれの手続きもひとつの書類で同時に行います。

被保険者資格喪失届を提出する際に必要な添付書類は?

健康保険と厚生年金保険の資格喪失には被保険者資格喪失届の提出が必要ですが、以下の場合は喪失届とともに添付書類が必要になります。

  • 全国健康保険協会管掌健康保険、いわゆる協会けんぽの被保険者の場合は、本人及び被扶養者全員の健康保険証、その他認定証などが交付されていた場合。
  • 資格喪失年月日に記載された日付から、届出書の受付年月日まで60日以上経過している場合。退職月の賃金台帳及び出勤簿双方の写し、役員の場合は登記簿謄本などの写しが必要になります。
  • 60歳以上の人が退職後1日も経ずに再雇用された場合。

退職日の確認できる退職辞令の写しや再雇用されたことが分かる雇用契約書の写しなどが必要になります。

健康保険被保険者証等を返納しないとどうなる?

前述の協会けんぽの被保険者の場合は、健康保険被保険者証を本人から返却してもらい、喪失届を提出する際に添付する必要があります。

しかし、何らかの理由で被保険者証あるいは高齢受給者証を被保険者から回収できず、喪失届提出時に返納できないままになってしまうと書類不備となります。そうなると、資格喪失手続が完了せず、不必要な保険料負担が発生してしまうのです。

そのため、事業主が喪失届提出の際に被保険者証などを添付できない場合は、これに代わる「健康保険被保険者証回収不能・滅失届」を添付する必要があります。この書類を提出する場合、提出方法が郵送か窓口持参になりますので、電子申請はできません。

退職等の後も資格喪失せず継続加入する「任意継続被保険者」制度とは?

被保険者が退職または死亡すると、健康保険に加入する資格を喪失してしまいます。しかし、健康保険に一定期間任意継続加入することが可能になります。代表的なものに2種類あり、ひとつが「任意継続被保険者」制度というものです。

任意継続被保険者制度とは、退職する日までに健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上ある人が、退職によって被保険者資格を失う場合、その退職日の翌日から2年間継続して加入することができる制度です。

任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を健康保険組合や協会けんぽの各支部に提出する必要があります。

退職等の後も資格喪失せず継続加入する「高齢任意加入被保険者」制度とは?

70歳以上の高齢者で一定の条件を満たす人は、厚生年金保険に一定期間任意継続加入することができる「高齢任意加入被保険者」制度というものがあります。

高齢任意加入被保険者制度とは、厚生年金保険は70歳になると被保険者資格を喪失しますが、70歳以上になっても老齢年金の受給資格期間を満たしていない人もいます。そのような人で事業所に勤めている場合、受給資格期間を満たすまで任意加入することができる制度になります。

この場合、本人が年金事務所に「厚生年金保険高齢任意加入被保険者資格取得申出書」を届け出ることになります。本来厚生年金は事業者と労働者が保険料を折半するのですが、この場合は事業者の同意がなければ全額自己負担になります。

資格喪失後でも受給できる健康保険の給付とは?

健康保険に基づく給付は、その健康保険に加入している間に事由が生じた場合になされます。しかし、資格喪失後でも一定の条件のもとに給付が可能なものがあります。

  • 保険給付を受けている人が資格を喪失した場合

    資格喪失日の前日までに1年以上継続して被保険者であった人で、傷病手当金などの保険給付を受けている場合は、その最中に資格を喪失した場合でも、残りの期間の給付を受けることができるというものです。

  • 資格を喪失した後に保険給付を受ける事由が生じた場合

    被保険者が資格を喪失してから3カ月以内の死亡であれば、遺族に給付される埋葬料や埋葬費が健康保険から給付されます。

また、退職すると資格を喪失しますが、この資格喪失日の前日までに1年以上継続して被保険者であった人で、資格喪失日から6カ月以内に出産した場合は、出産育児一時金が給付されます。

まとめ

健康保険や厚生年金保険の資格喪失の手続きは事業者が行うことになりますが、保険証の返却など被保険者本人に協力してもらうこともあります。

また、任意継続の手続きなど一定の場合は、被保険者本人がしなければならない手続きもあります。円満退職の場合は容易に手続きを行うことができそうですが、そうでない場合も多くあります。

手続きをしっかり理解して、事業者側や被保険者側に不利益が生じないようにしましょう。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

Facebookページにぜひ「いいね」をお願いします!