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在宅勤務制度とは?メリット・デメリットや導入前の準備、雇用契約書への記載事項を解説!

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人事労務管理人事労務管理の業務/手続き

在宅勤務制度とは、自宅で働くことを前提に企業と雇用・請負契約を結び、在宅勤務を認める人事制度です。働き方改革やワーク・ライフ・バランスの実現からも注目されています。
今回は在宅勤務制度の概要やメリット・デメリット、導入前の準備、雇用契約書・就業規則への記載事項を中心に解説します。

在宅勤務制度のメリットとは

働き方改革ではワーク・ライフ・バランスの実現が重視されており、在宅勤務制度は[テレワーク]と同様に注目が高まっている働き方です。在宅勤務制度の導入には以下のメリットがあります。

ワーク・ライフ・バランスの実現

ワーク・ライフ・バランスは「就労による経済的な自立」、「健康で豊かな生活ができる時間の確保」、「多様な働き方・生き方の推進」を目的としています。自宅で業務を行う在宅勤務制度では、働く人の裁量で経済的に自立しつつ、仕事と生活の時間を確保しやすいため、ワーク・ライフ・バランスの実現に効果的です。

肉体的・精神的負担の軽減

在宅勤務は満員電車による通勤や、移動に費やす肉体的・精神的負担を軽減する効果があります。労働者のストレス緩和のほか、節約できた時間をプライベートに充てることができます。

優秀な人材の確保・定着

在宅勤務制度は育児・介護など離職をせざるを得ない事情にも柔軟に対応でき、従業員に対して、魅力的な職場としてアピールできます。その結果、採用面では優秀な人材の確保につながり、社員の定着率向上にも効果的です。

そのほかにも、企業イメージの向上や育児・介護休暇からの早期復帰、企業のコスト削減、労働時間の有効活用による生産性の向上も在宅勤務制度のメリットとして注目されています。

在宅勤務制度のデメリットとは

一方で、在宅勤務制度にもデメリットがあります。メリットだけでなく、デメリットも把握し、自社の社風や事業特性を考慮して、導入可否を判断しなければいけません。

労働時間の管理が困難

在宅勤務では、仕事の合間に普段の生活へ時間を割けるため、労働時間の管理が在宅勤務者の裁量に委ねられます。そのため、事業主側で適切な労働時間の管理が困難となり、従業員によっては長時間労働につながり、結果的に生産性が低下する恐れがあります。

コミュニケーション不足

近年では、チャット形式のメッセージツールやビデオ通話によって、離れた場所でも円滑なコミュニケーションが取れるようになりました。一方で、在宅勤務はインターネットを介したコミュニケーションが中心となるため、職場の空気感を正確に感じられない、顔を合わせた直接的なやりとりよりも意思疎通が伝わりにくいなどのコミュニケーション不足が増える恐れがあります。その結果、業務への支障が発生する可能性が考えられます。

労災保険上の課題

在宅勤務者は、業務とプライベートの境界線が曖昧になることが多く、労災保険の対象となる就業中の状況(事業所または外出先で発生した事故、または通勤中の事故など)を適用することが難しい場合があります。そのため、在宅勤務制度を導入する場合、「労働者性」と「使用従属性」の観点から、対象となる労働者と事業所に勤務する労働者との同一性を明確にしなければいけません。

「労働者性」と「使用従属性」については後ほど解説します。

そのほかにもセキュリティー対策の徹底や緊急対応への初動の遅れ、在宅勤務の向き・不向きなども在宅勤務制度のデメリットに挙げられます。

在宅勤務制度の導入前の準備

在宅勤務制度の導入には、対象となる従業員が自社の労働者に該当するように、事前の準備が必要です。

※ご紹介する内容は厚生労働省が公表している「在宅勤務者についての労働者性の判断について」を基に解説にしております。

労働者性・使用従属性とは

労働者性とは、自社に所属する労働者が自営業者や家内労働者と区別し、労働基準法第9条で規定されている「労働者」に該当するかどうかの判断基準です。

使用従属性とは、使用者の指揮監督下にある状況、勤務時間・場所の拘束がある状態を指します。

在宅勤務制度を導入する際は、この2つの視点で業務監督を行わなければいけません。

在宅勤務者の労働者性(使用従属性)の判断基準

在宅勤務制度の導入には、対象となる労働者に「労働者性」と「使用従属性」が認められるかどうかが重要です。労働者性と使用従属性の判断基準の項目は以下のとおりです。

  1. 仕事の依頼や業務従事の指示などに対する諾否の自由の有無

    業務にあたり、「自分でやる、やらない」といった諾否を決められるかどうか

  2. 業務遂行上の指揮監督の有無

    業務の進捗状況を本人からの報告などにより把握・管理を行っているかどうか

  3. 拘束性の有無

    勤務時間が定められており、本人の自主管理および報告により使用者が管理しているかどうか

  4. 代替性の有無

    従事する業務に代替性が認められているかどうか

  5. 報酬の労務対償性の有無

    報酬が「時間給」、「日給」、「月給」など時間を単位として計算されているかどうか

以上の項目が「労働者性」と「使用従属性」の判断基準となります。

在宅勤務制度を補強する要素とは

在宅勤務制度を補強する要素として、以下の項目が挙げられます。

事業者性(自営業者・家内労働者)の有無

事業者性の有無では「業務に必要な設備の負担」と「報酬の額」が該当します。

  • 業務に必要な設備の負担関係

    自宅作業で必要なパソコンやインターネット回線など必要な設備が無償貸与されていれば、事業者性を薄めるものと判断されます。

  • 報酬額

    報酬額が、同会社の同種の業務に従事する正規従業員に比べて著しく高額であれば、事業者性を強めるものと判断されます。

これら事業者性が否定されれば、労働者性または使用従属性が高いと判断が補強されます。

専属性の程度

専属性の程度は以下の観点から補強の要素として判断されます。

  • 他社の業務に従事することが制約されており、事実上困難な場合には、専属性の程度が高いと判断されます。
  • 報酬に固定給や最低保証などがあるなど、生活保障的要素が強いと認められる場合も、専属性の程度が高いと判断されます。

これら専属性が肯定された場合、「労働者性」または「使用従属性」が高いと判断が補強されます。

その他

そのほかにも以下の観点も補強の要素として判断されます。

  • 報酬について給与所得としての源泉徴収を行っているかどうか
  • 労働保険の対象としているかどうか
  • 採用や委託などの選考過程が正規従業員の場合と同様であるかどうか

上記の項目が肯定された場合、「労働者性」または「使用従属性」が高いと判断が補強されます。

雇用保険を満たす雇用契約書・就業規則

在宅勤務者には、事業所勤務労働者との「同一性」が確認できれば、原則として雇用保険の被保険者として扱われます。「同一性」を認めるには、以下の項目を雇用契約書や就業規則に明記しなければいけません。

  • 指揮監督系統の明確性

    業務遂行状況を直接的に管理することが可能な特定の事業所が、当該在宅勤務者の所属事業所として指定されていること

  • 拘束時間などの明確性

    所定労働日・休日が就業規則や勤務計画表などにより予め特定されており、各労働日の始業および終業時刻、休憩時間などが就業規則などに明示されていること

  • 勤務管理の明確性

    各日の始業・終業時刻などの勤務実績が、事業主により把握されていること

  • 報酬の労働対償性の明確性

    報酬のなかに「月給」、「日給」、「時間給」など勤務した期間または時間を基礎として算定される部分があること

  • 請負・委任的色彩の不存在

    機械、器具、原材料などの購入、賃借、保守整備、損傷、事業主や顧客などとの通信費用について本人の金銭的負担がない、または事業主の全額負担であること、他の事業主の業務への従事禁止について、雇用契約書や就業規則などに明示されていることが挙げられます。

在宅勤務制度の労働時間管理について

在宅勤務制度の労働時間管理は、みなし労働時間制度が適用されます。

みなし労働時間制とは

みなし労働時間制とは、事業場以外で業務に従事し、かつ労働時間の算定が困難な場合に、一定の労働時間労働したものとみなす特例措置です。

在宅勤務制度では、指揮監督が効きにくく、対象労働者の裁量によって、なか抜けなども可能であることから、みなし労働時間制による労働時間管理が適用されます。

原則、所定労働時間がみなし労働時間となりますが、それを超えた労働時間が通常必要となる場合は、労使協定で定めることにより、その通常必要となる時間がみなし労働時間となります。

【関連】[運用に注意が必要な「事業場外のみなし労働時間制」とは]

在宅勤務制度をみなし労働時間制にする要件

在宅勤務者の労働時間管理にみなし労働時間制度を採用する場合は、以下の要件が必要となります。

  • 業務が自宅で行われていること
  • 自宅に設置してあるパソコンが使用者の指示により、常時通信可能な状態になっていること
  • 作業が随時使用者の具体的な指示に基づいて、行われていること

上記の項目を満たすことで、みなし労働時間制度による労働時間管理が認められます。

【参考】厚生労働省 「自宅でのテレワーク」という働き方https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet.pdf

みなし在宅勤務における適切な労働時間

みなし労働時間制度における労働時間は就業規則で定めた所定労働時間としています。しかし、みなし労働時間制度で導入した労働時間が法定労働時間を超えた場合、労使協定(36協定)を締結し、管轄する労働基準監督署長へ届けなければいけません。

また、法定労働時間を超えた場合、時間外労働や深夜・休日労働による割増賃金を支払う必要があります。

そのため、在宅勤務制度の対象労働者にも、一般労働者と同様の労働時間が適切と考えられます。その他の詳細は参考URLをご確認ください。

【参考】厚生労働省 「自宅でのテレワーク」という働き方https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet.pdf

まとめ

  • 在宅勤務制度とは、自宅を働くことを前提に企業との雇用・請負契約を結び、在宅勤務を認める人事制度である。
  • 在宅勤務制度の導入メリットにはワーク・ライフ・バランスの実現、肉体的・精神的負担の軽減、優秀な人材の確保・定着などがあり、一方で労働時間の管理が困難、社員同士のコミュニケーション不足、労災保険上の課題などのデメリットもある。
  • 在宅勤務制度を導入するには、対象者が「労働者性」と「使用従属性」の2つの視点から、事業所勤務労働者との同一性が認められる必要がある。また、雇用保険の被保険者として扱うためには雇用契約書や就業規則への明記が必要である。
  • 在宅勤務制度の労働時間管理には「みなし労働時間制」が採用され、労働基準法に定められた適切な労働時間を設定すべきである。
社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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