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人事異動のパターン別手続きTips集~健康保険編~

更新日:

社会保険社会保険手続き

一口に人事異動といっても、従事する職務の異動、所属する部署の異動、転居を伴わない勤務地の異動もあれば、転居を伴う遠方の勤務地への異動など、さまざまなパターンがあります。入退社と比べると、一見加入状況に変動がないように感じられるせいか、思わぬパターンで必要な健康保険の手続きを見落としてしまいがちです。

そこで、それぞれのケースで求められる手続きとポイントを整理しました。

被保険者資格に異動が生じる前提条件とは?

まず異動が生じる場合は、雇用保険と社会保険の手続きが必要です。今回はこの社会保険の手続きについてご紹介します。下記で述べているとおり、社会保険は事業所単位で適用されています。そのため、同じ事業所内であっても異動により事業所が変われば、一度被保険者の資格を喪失し、新たに被保険者の資格を取得することになります。

社会保険について

一般的な中小企業は、全国健康保険協会(以下:協会けんぽ)という団体が運営している健康保険に加入しています。この協会けんぽは、事業所単位に適用される仕組みになっており、健康保険の適用を受けている事業所を「適用事業所」といいます。

そして、法律によって加入が義務づけられている「強制適用事業所」と、任意で加入する「任意適用事業所」の2種類に分けられ、適用事業所に使用されるようになった日より、被保険者の資格が得られます。

短時間労働者に対する適用対象の拡大

平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大され、短時間労働者も適用対象となっています。さらに平成29年4月から「労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所」「地方公共団体に属する事業所」で被保険者数が常時 500 人以下事業所が適用対象となりました。

適用対象者は、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の1~5までの項目に該当する方となります(※上記の短時間労働者とは、この5つすべての要件を満たした労働者のことをいいます)。

【平成29年4月からの適用対象者】

  1. 週の所定労働時間が 20 時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 従業員数が501人以上の特定適用事業所に勤めている、もしくは従業員数が500 人以下の事業所に勤めていて社会保険に加入することに労使で合意がなされていること

適用が拡大されたことで、短時間労働者に対する手続きなどが増加する可能性もあります。

詳細は、厚生労働省のページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/)をご確認ください。

また、適用事業所間で配置転換があった場合や、常時使用される者でなくなった場合などは、原則として被保険者資格を喪失することになります。

昇進や降格で必要な手続きとポイントとは?

役員等の昇進や降格による手続き

法人の理事・監事、取締役や代表社員、無限責任社員など法人代表者や業務執行者であって、労務の対価として報酬を受けている者については、その限度において使用関係にある者とみなされます。つまり、昇進人事または降格人事によってその地位に変動はないため、手続きは不要となります。

ただし例外として、報酬の額によっては被保険者と認定されないケースも存在します。また、昇給・降給をともなう場合は、月額変更届による手続きが必要です。

月額変更届とは

被保険者の標準報酬月額は、原則として次の「定時決定」が行われるまでは変更しません。しかし、被保険者の報酬が固定的賃金の変動に伴って大幅に変わり、定時決定を待たずに標準報酬月額を見直すことを「随時改定」といい、月額変更届による手続きが必要となります。この随時改定は、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行います。

【随時改定に必要とされる条件】

  1. 昇給又は降給等により固定的賃金が変わった
  2. 変動月から3ヶ月の間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、今までの標準報酬月額との間に2等級以上の差がある
  3. 3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者については11日)以上である

転居を伴う転勤で必要な手続きとポイントとは?

協会けんぽが管掌する健康保険に加入している被保険者が、住所を変更した場合は変更した住所を事業主に申し出ないといけません。

そして、申し出を受けた事業主は、「被保険者住所変更届」を速やかに日本年金機構へ提出する必要があります。ここでは、協会けんぽの健康保険のみ加入する場合の被保険者住所変更届の提出書類と提出方法についてご紹介します。

協会けんぽの健康保険のみ加入する際に提出する被保険者住所変更届

  • 被保険者に加えて被扶養者も変更となる場合は1枚目のみ提出(1枚目の被扶養配偶者の住所変更欄は記入する必要はありません)
  • 被保険者のみの場合は1枚目のみ提出
  • 被扶養配偶者のみの場合は届出不要

被保険者住所変更届の提出方法

電子申請・郵送・窓口持参のいずれかの方法で、事業所の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。

また、遠方への転勤や遠方からの転勤戻りなどで交通費が大きく変動した場合には、報酬月額変更届の手続きが必要となり、手続きと提出は事業主が行います。上記で述べた「昇進や降格で必要な手続きとポイントとは?」で解説した条件に当てはまる被保険者の報酬月額等を「月額変更届」に記入し、日本年金機構に提出しましょう。

転勤に必要な手続きを一括で済ませるには?

「被保険者資格に異動が生じる前提条件とは?」でも述べたように、社会保険は事業所ごとに被保険者と適用され、本社・支社等間の人事異動が行われる場合は被保険者の資格取得と喪失届の手続きを行わなくてはなりません。

しかし、本社について支社等を含めたひとつの適用事業所とする申請を行い、承認されれば、「一括適用」ができるようになり、事業所間異動のたびにこれらの手続きを行う必要がなくなります。手続きの効率化を図るためにも、ぜひ利用しましょう。この一括適用の承認を受けるには、以下1~5のすべての基準を満たしていなければなりません。

一括適用の申し込みが可能となる基準

  1. 一つの適用事業所にしようとする複数の事業所に使用されるすべての者の人事、労務及び給与に関する事務が電子計算組織により集中的に管理されており、適用事業所の事業主が行うべき事務が所定の期間内に適正に行われていること
  2. 一括適用の承認により指定を受けようとする事業所において、上記「1」の管理が行われており、かつ、当該事業所が一括適用の承認申請を行う事業主の主たる事業所であること
  3. 承認申請にかかる適用事業所について健康保険の保険者が同一であること
  4. 協会けんぽ管掌の健康保険の適用となる場合は、健康保険の一括適用の承認申請をあわせて行うこと
  5. 一括適用の承認によって厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営が著しく阻害されないこと

また、必要書類や承認申請先についての詳細は日本年金機構のページ(http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20121004.html)をご確認ください。

まとめ

今回は健康保険の人事異動のパターン別手続き方法をご紹介しました。新年度を迎えると新入社員の手続きや人事異動などで多忙を極め、さらに平成29年4月から短時間労働者に対する適用が拡大したので、健康保険の手続きをついつい見落としてしまう……なんていうことも考えられます。

そうならないために、早め早めに対処していくと良いでしょう。より良い会社作りのためにも、その都度必要になる手続きをしっかりと覚えておいてください。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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