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通勤手当の支給は義務ではない?実状とあわせて解説

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社会保険社会保険手続き

多くの会社では労働者の通勤に対して通勤手当を支給することが一般的です。通常、通勤手当の法律的な支払い義務はありません。

しかし、多くの会社では従業員に通勤手当を支給しているという実態があります。この通勤手当とは、社会保険労務上どのようなものなのでしょうか?今回はそんな通勤手当の持つ性質や内容について学んでいきましょう!

会社は通勤手当の支払い義務があるの?

原則として、労働基準法などにおいては通勤代の支給に関する規則はありません。そのため、通勤代の支給は義務づけられているわけではなく、会社が任意に支給していることになります。もし、通勤代を支給しなかったとしても、労働基準法としては違法となりません。

ただし、現状としてはほとんどの企業が一般的な通勤代を支給しているというのが実情です。そのため、法律的には通勤代の支給の必要性がないとしても、優秀な人材を確保するためには、通勤定期代を支給しないと集まらない恐れがあります。また、一度支給を始めた通勤代の支給を取りやめるのは、簡単ではないでしょう。

さらに、就業規則を定めており、そのなかに通勤手当を支給することの記載がある場合、就業規則がなくても雇用契約書において通勤手当の支給について明記されている場合は、契約として通勤手当を支給する義務が発生しますので注意してください。

義務ではない通勤手当を払っている理由

それでは、なぜ多くの企業は通勤手当を支給しているのでしょうか?独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査が、全国の民間企業20,000社から無作為に企業を抽出し、アンケートをとった結果、およそ89.8%の企業が通勤手当などを支給していると回答しました。通勤手当を支給する理由としては、次のようなことが考えられます。

  • 通勤手当を支給することで通勤方法を指定している(通勤災害に遭いづらい公共交通機関の利用を促す役割)
  • 限度枠はあるが非課税だから
  • 周りの会社が支給しているから(ただ、なんとなく)

一般的に事故に遭う可能性の少ない公共交通機関を利用させるという目的はもちろんのこと、通勤手当については合理的な経路であれば最大100,000円までであれば所得として計算する必要がありません。

こういった理由により、支給する企業が多いと考えられます。そのほかの要因としては、ほかの企業が支給していることから右へ倣えで支給しているだけという企業も少なくないでしょう。

アルバイトへの通勤代の支払について

企業や個人事業主の多くは、正規雇用や契約雇用の労働者に対して正当な通勤手当を支給していることでしょう。しかし、アルバイトやパートタイム労働者に対しては、通勤手当を支給していない、もしくは通勤手当の一部しか支給していないという企業も少なくありません。

しかし、政府が力を入れている働き方改革の柱の1つである「同一労働同一賃金」においては、この考え方では適切ではないとされています。同じ職場で雇用している以上、雇用契約内容の違いによって、通勤手当の支給に違いを出してはいけないと考えられています。現在は、この同一労働同一賃金はガイドライン案レベルであり、法的な規制はされていません。

将来的に法制度が整備されていくと、アルバイトやパートタイム労働者への不当な通勤手当の削減や不支給は、違法、無効となる恐れがあります。現在そのような契約形態になっているのであれば、働き方改革の動向について、注意しておくようにしましょう。

正規労働者・非正規労働者間の通勤手当格差について

先にご紹介したように、働き方改革における「同一労働同一賃金」のガイドラインは案の状態であり、今のところ法的拘束力はまったくありません。ただし、下級審段階ではあるものの、正規労働者と非正規労働者の通勤手当などをはじめとする、待遇格差において事業主側に不利な判決が示されている事例が増えてきています。

福岡地裁や大阪地裁においては、諸手当の格差について一部違法との判断により非正規労働者側の訴えを認めるとして、差額分の手当などの支払いが命じられています。同一労働同一賃金実現のための核は基本給などの大きな賃金となっているものの、法整備の観点や日本の終身雇用制や年功序列賃金などから見ると、その判断は複雑多岐にわたり、すぐに法令化するのは難しいとされています。

そのため、支給要件が明確で比較的簡単だといわれている通勤手当などの各種手当の格差是正については、早期の立法化など、事業主が賃金を決定する際の判断基準が明示されるだろうと予測されています。法令化されることを見越して、社会保険労務士などと連携して、事業所内での格差是正に取り組んでみるほうが良いかもしれません。

まとめ

通勤手当の支給は、法律上では支給が義務づけられていません。そのため、本来事業主としては、必ずしも通勤手当を支給する必要はありません。しかし、通勤災害回避のためや非課税となることなどの理由によって、多くの会社では通勤手当が支給されています。

ただし、これは正規労働者のみであり非正規労働者については適切に支給されていないケースも散見されます。働き方改革の柱の1つである同一労働同一賃金の観点からも、非正規労働者の通勤手当について見直す必要があるかもしれません。

佐藤 安弘|ワイエス社会保険労務士事務所

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