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通勤手当とは?支給義務の有無や非課税条件、今後の通勤手当のあり方をご紹介!

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社会保険社会保険手続き

多くの企業では労働者に通勤手当を支給しています。一方で、通勤手当を支給していない企業も存在します。

今回は通勤手当の支給義務や非課税条件、社会保険労務上、注意したいポイントを中心にご紹介します。

通勤手当の支払い義務について

労働基準法では、通勤手当の支給に関する規則はありません。
そのため、通勤手当の支給は義務ではなく、会社の任意で行われます。通勤手当を支給しなかったとしても企業側に罰則はありません。

しかし、労働力の確保を目的に、多くの企業が通勤手当(通勤定期など)を支給しており、通勤手当の全額支給は人材獲得のための重要な福利厚生と認識されています(通勤手当の支給金額の上限は企業が自由に設定できます)。

一方で、就業規則や給与規定、雇用契約書に通勤手当の支給に関する事項が明記されている場合は、通勤手当の支給義務が発生するため、注意が必要です。

通勤手当の課税について

平成28年4月、国税庁は通勤手当の非課税限度額の引き上げを行っています。
平成28年1月1日以降、月額15万までの通勤手当(グリーン席以外の新幹線も含む/タクシーは認められません)は非課税となります(改正前は月額10万円まで)。月額15万円を超えた金額は所得税・住民税の課税対象となりますが、経費が認められていない役員にも通勤手当の支給は認められています。

自動車や自転車などの交通用具を使用している人の非課税限度額は改正前と同じです。

【参考】[国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて](https://www.nta.go.jp/users/gensen/tsukin/index2.htm)

非課税対象の条件や社会保険との関係

通勤手当の非課税対象になるためには「最も合理的かつ経済的な経路を利用すること」が条件となります。

また、通勤手当は社会保険料の計算に含まれます。標準報酬月額の算定基礎手続きは非課税対象の通勤手当も考慮しなければいけません。

マイカー・自転車通勤の通勤手当

車やバイク、自転車で通勤する場合も通勤手当を支給することができます。
また、非課税限度額も適応されますが、片道の通勤距離に応じて、限度額が異なります。

片道の通勤距離 1カ月あたりの限度額
55km以上 31,600円
45km以上55km未満 28,000円
35km以上45km未満 24,400円
25km以上35km未満 18,700円
15km以上25km未満 12,900円
10km以上15km未満 7,100円
2km以上10km未満 4,200円
2km未満 全額課税

乗り物による優遇措置はなく、非課税限度額は共通です。
駐車場料金の負担は企業の任意で行われますが、企業が負担する場合は全額課税対象となります。また、通勤途中に有料道路を使用する場合、「上記の距離に応じた非課税限度額に有料道路利用料金を上乗せした金額」が非課税限度額として認められます。

【参考】[国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて](https://www.nta.go.jp/users/gensen/tsukin/index2.htm)

通勤手当を支払う理由

通勤手当を支払う理由

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(全国の民間企業20,000社から無作為に抽出)によると、約89.8%の企業が「通勤手当を支給している」と回答しています。
通勤手当の支給には、以下の理由が考えられます。

  • 通勤災害が起きにくい公共交通機関(電車やバス)の利用を促すため
  • 節税対策(法人税の減税)
  • 社会通念上、支給する企業が多いため
  • 労働力の確保

通勤手当の支給は「通勤災害の可能性が少ない公共交通機関を利用させることで従業員の安全を守る」、「法人税の減税」などのメリットがあります。
その他、「社会通念上、通勤手当の支給が一般的である」、「労働力の確保」も支給理由として考えられます。

アルバイト・パータイムの通勤手当

アルバイト・パータイムの通勤手当

正規雇用や契約雇用の労働者に通勤手当を支給している一方、アルバイトやパートタイム労働者には通勤手当を支給していない、または一部しか支給していない企業も少なくありません。

現在、「同一労働同一賃金」の考え方が広まり、「雇用形態による処遇格差」が問題視されているため、将来的に法制度が整備されていくことが予想されます。
そのため、アルバイトやパートタイム労働者への通勤手当の削減や不支給は「合理的なものではない」と判断され、違法・無効となる恐れがあります。

通勤手当と交通費との違い

アルバイトやパートタイムに通勤手当の代わりに交通費を支給する企業が存在しますが、通勤手当と交通費は異なります。交通費は営業や出張といった業務遂行に必要な移動費と定義されており、会計上も「旅費交通費」として計上(通勤手当は給与所得)され、非課税所得に分類されます。

通勤手当格差の判例

「同一労働同一賃金」のガイドラインは、現在、法的拘束力はありません。しかし、通勤手当をはじめとした正規労働者と非正規労働者の待遇格差は、事業主側に不利な判決が出る事例が増えています。

福岡地裁や大阪地裁では「諸手当の格差は一部違法」との司法判断がくだされ、企業側に手当差額分の支払いを命じる判決が出ています。

支給要件が明確な通勤手当は、格差是正の対象となりやすく、早期の立法化が予想されるため、社会保険労務士と連携の上、事業所内の格差是正に舵を切る企業も増えています。

まとめ

  • 通勤手当の支給は、法令上、義務ではなく、企業の任意で行われる。
  • 通勤手当は「通勤災害の少ない公共交通機関の利用を促す」、「法人税の節税」、「労働力の確保」などのメリットがある。
  • 平成28年1月1日以降、通勤手当の非課税限度額は月額15万円まで引き上げられている(マイカー・自転車通勤は変更なし)。
  • 交通費は営業や出張などの業務上必要な移動費であり、非課税所得に分類され、「旅費交通費」として計上される点で通勤手当とは異なる。
  • 雇用形態による通勤手当の処遇格差は、同一労働同一賃金の観点から望ましくない。
佐藤 安弘|ワイエス社会保険労務士事務所

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