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残業削減でドライバーの手取りが減少、賃金制度の見直しと不利益変更の注意点
賃金制度の見直しについて助言をいただきたく存じます。埼玉県内で運送業を営む会社(従業員120名)の労務担当です。時間外労働の上限規制や改善基準告示への対応を進めた結果、ドライバー1人あたりの残業時間が以前よりかなり減り、時間外手当込みの月収が下がった社員から不満が出ています。若手の離職も出始めたため、下半期に基本給と運行手当の水準を組み替え、長時間労働に頼らずに一定の収入を確保できる制度へ切り替えたいと考えています。ただ、既存の手当を廃止したり支給要件を変えたりすると、乗務のしかたによっては現在より下がる社員も出てきます。こうした変更が不利益変更にあたるかどうかの判断基準や、従業員への説明の進め方、移行時の経過措置の考え方について教えてください。
さんとてさんの相談
埼玉県/流通・小売・サービス
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
賃金制度の見直し自体は可能ですが、「総人件費が維持されるから問題ない」ではなく、個々の労働者について不利益が生じるかを確認することが重要です。
まず、残業時間の適正化によって時間外手当が減少すること自体は、実際の時間外労働が減った結果ですので、通常は賃金の不利益変更とはいえません。一方、基本給・運行手当等の減額、既存手当の廃止・支給要件の厳格化などにより、同じ働き方をしても従来より賃金が下がる場合は、労働条件の不利益変更の問題となります。
就業規則によって不利益に変更する場合、労働契約法9条・10条により、原則として労働者との合意が必要であり、合意なく変更する場合には、変更後の就業規則を周知したうえで、その変更が合理的であることが必要です。合理性については、(1)不利益の程度、(2)変更の必要性、(3)変更後の内容の相当性、(4)労働組合等との交渉状況、(5)その他の事情を総合的に判断します。
今回の場合、「時間外労働の上限規制・改善基準告示を遵守し、長時間労働に依存しない賃金体系へ転換する」「若手を含む人材確保・定着を図る」という制度変更の目的には相応の必要性が認められるでしょう。ただし、それだけで個々の大幅な減額が当然に認められるわけではありません。
実務上は、まず過去6~12か月程度の給与データを使って、現行制度と新制度を社員ごとに比較する賃金シミュレーションを行うことをお勧めします。特に基本給、運行手当、歩合給、時間外手当を分け、「同程度の乗務をした場合に誰が、月額・年額で何%減るのか」を把握します。
減額者が生じる場合には、例えば6か月~2年程度の調整給(経過措置)を設け、急激な収入減を緩和する方法があります。「初年度は差額の100%、次年度50%を保障し、その後終了」といった段階的縮小も考えられます。期間は一律に決まるものではなく、不利益の大きさ等に応じて設定します。
説明時には、「残業代を基本給に付け替える」という説明ではなく、安全・健康確保と法令遵守を前提として、長時間労働をしなくても安定した収入を得られる賃金制度へ転換するという目的、新旧制度の具体的な計算方法、本人への影響、経過措置を資料で示すことが大切です。
また、制度変更後も時間外労働が発生すれば、当然、別途適正な割増賃金の支払いが必要です。固定残業代を導入・再設計する場合も、通常賃金部分と固定残業代部分、対象時間数等を明確にしておく必要があります。
以上です。よろしくお願いいたします。