相談内容
投稿
労基法改正で週44時間の特例が廃止に?小規模店舗のシフトへの影響
大阪府内で飲食店を約30店舗展開する会社(従業員420名)で人事を担当しています。多くの店舗は正社員とアルバイトを合わせて10〜20名ですが、一部の小規模店舗は常時使用する労働者が10人未満のため、接客娯楽業の特例措置対象事業場として法定労働時間を週44時間として運用し、44時間までは割増賃金の対象外という前提で給与計算をしてきました。
最近、労働基準法の見直しの議論のなかで、この週44時間の特例を廃止して全業種で週40時間に統一する案があると知りました。対象となる店舗は限られるものの、店舗ごとにシフトの組み方と給与計算の設定を分けているため、変更となれば準備に時間がかかりそうです。
特例が廃止された場合、実務ではどのような点が変わるのでしょうか。人員の増減で店舗の人数が10人以上になったときの扱いも含め、今のうちに確認しておくべきことを教えてください。
みなもさんの相談
大阪府/流通・小売・サービス
他の専門家からの回答
投稿
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
現時点(2026年9月14日)では、週44時間の特例措置はまだ廃止されていません。 現行法では、常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の事業場について、1日8時間・週44時間の特例が認められています。飲食店は接客娯楽業に該当します。
一方、厚生労働省の研究会報告では、特例対象事業場の多くが実際には週40時間以下で運用していることなどから、「特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべき」とされています。その後も労働政策審議会で労働基準関係法制の検討が続いていますが、現段階では「○年○月から廃止」と施行日が決まったものではありません。
仮に廃止されて週40時間に統一された場合、ご質問の店舗では影響が大きく、例えば1週間に43時間勤務させている場合、現在は週44時間以内なので週の法定時間外労働はありませんが、廃止後は原則として40時間を超える3時間が時間外労働となり、36協定の対象となるとともに、原則25%以上の割増賃金が必要になります。なお、現在でも1日8時間を超えれば、週44時間以内であっても原則として時間外労働になります。
また、特例の「10人未満」は会社全体の420人ではなく、店舗という事業場単位で判断します。このため30店舗を一括して判断するのではありません。
特に注意したいのが人数の増減です。「常時10人未満」は、ある日に9人だったから適用されるという単純なものではなく、その事業場で通常使用している労働者数によって判断します。正社員だけでなく、パート・アルバイトも含めて実態を見る必要があります。一時的な増減ではなく、店舗拡大等によって通常10人以上を使用する状態になれば、その店舗は44時間特例の対象から外れ、週40時間が原則となります。
したがって、今の段階で30店舗について、(1)44時間特例を利用している店舗、(2)各店舗の通常の労働者数、(3)週40時間を超えるシフトが何時間あるか、(4)給与システムの割増開始ライン、(5)36協定・就業規則の内容を一覧化しておくことをお勧めします。
特に今回は法改正を待たず、44時間運用店舗について「週40時間にした場合に追加で発生する残業時間・割増賃金」を試算しておけば、特例廃止が正式決定された際にもシフト変更や人員配置をスムーズに進められるでしょう。
以上です。よろしくお願いいたします。