相談内容

福利厚生

投稿

給与前払いサービスの導入、アルバイトの前借り希望への対応と注意点

アルバイトの採用と定着のために、給与の前払い(働いた分を給料日前に受け取れる仕組み)の導入を検討しています。大阪で飲食店を展開する会社(従業員420名)の人事担当です。アルバイト約300名の多くは学生や20代で、面接でも「急にお金が必要なときに前払いしてもらえますか」と聞かれることが増えました。実際に店舗では、店長が個人的に立て替えるような対応をしていた例もあり、会社としてルール化する必要を感じています。
外部サービスを利用する方式と、自社で規程を定めて対応する方式があるようですが、手数料を従業員負担にしてよいのか、給与から差し引く際に労使協定が必要なのかなど、判断に迷う点が多くあります。
賃金の支払いに関するルールとの関係で、前払いの仕組みを設けるときに押さえておくべき点はどこでしょうか。労働基準法の非常時払いとの違いもあわせて知りたいです。

みなもさんの相談

大阪府/流通・小売・サービス

他の専門家からの回答

投稿

ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
給与前払い制度の導入自体は可能ですが、制度設計では労働基準法24条の賃金支払の原則に注意する必要があります。
まず「前払い」と「前借り」は分けて考えると分かりやすいです。
すでに働いた分の賃金の一部を通常の給料日前に受け取る制度であれば、賃金の支払時期を前倒しする仕組みです。一方、まだ働いていない将来分まで会社から受け取る場合は、賃金の前払いというより貸付の性格が強くなります。
前払い制度を設ける場合は、対象者、利用可能額、申請期限、支払方法、通常給与との精算方法等を就業規則又は賃金規程で明確にしておくことをお勧めします。
特に外部サービスを利用する場合は、そのサービスがどのような仕組みで資金を交付するのかを確認してください。会社が既往労働分の賃金を前倒しして支払う方式なのか、サービス会社が労働者に貸付等を行う方式なのかによって、法的な整理が異なります。
また、賃金は原則として全額を労働者に支払わなければなりません。 (mhlw.go.jp) そのため、サービス利用手数料を当然に給与から控除する制度は避けるべきです。会社が賃金から手数料等を控除するのであれば、法令に定めがある場合を除き、賃金控除に関する労使協定の要否を含め、全額払いの原則との関係を十分確認する必要があります。
さらに、前払い先が銀行口座ではなく資金移動業者の口座となる場合は、いわゆる賃金のデジタル払いに該当するかについても確認が必要です。デジタル払いには、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の利用、労使協定の締結、本人の同意等の要件があります。
なお、労働基準法25条には「非常時払い」という別の制度があります。
労働者が出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるため請求したときは、通常の給料日前であっても、会社はすでに働いた分の賃金を支払わなければなりません。これは会社が任意に設ける福利厚生としての前払い制度とは異なる法定の制度です。 (mhlw.go.jp)
したがって、前払い制度を導入しても、非常時払いの請求があった場合に「当社は前払いサービスを利用してください」と一律に処理するのではなく、労基法25条に該当するかを別途判断する必要があります。
今回のような多数のアルバイトを抱える飲食店では、店長による個人的な立替えは禁止し、会社の正式な窓口に一本化することが重要です。外部サービスを選定する際も、手数料の安さだけでなく、資金提供の法的な仕組み、賃金控除の方法、勤怠データとの連携、退職時の精算方法まで確認した上で導入することをお勧めします。
以上です。よろしくお願いいたします。

活躍している
専門家ランキング