相談内容
投稿
技能実習から育成就労制度への移行、受け入れ企業が今から準備すべきことは
従業員約1000名の製造業(愛知県)で労務を統括しています。現在、複数の工場でベトナムとインドネシアからの技能実習生を20名ほど受け入れており、2027年4月施行の育成就労制度への移行準備を始めたところです。気になっているのは、新制度では一定期間経過後に本人の意向による転籍が認められる点で、せっかく教育した人材が都市部の同業他社へ移ってしまわないかと懸念しています。また、いま実習中の実習生が施行後にどのような扱いになるのか、経過措置の考え方もよく分かっていません。受け入れ企業として今年度中に着手しておくべき準備と、転籍を過度に恐れるのではなく定着につなげるための処遇面の考え方について、一般的な整理を教えてください。
こまち77さんの相談
愛知県/メーカー
他の専門家からの回答
投稿
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、「人材育成」と「人材確保」を目的として2027年4月1日から施行されます。原則3年間の就労を通じて、特定技能1号への移行につながる人材を育成する制度です。
大きな変更点の一つが「本人意向による転籍」です。ただし、自由にいつでも転籍できるわけではありません。同一の業務区分内であることに加え、一定水準の技能・日本語能力を有し、分野ごとに1年以上2年以下で設定される「転籍制限期間」を経過していること等が必要です。なお、転籍制限期間が1年を超える分野では、受入れ企業に一定の待遇向上措置が求められます。
したがって、受入れ企業としては、まず自社の製造業務が「育成就労産業分野」のどの業務区分に該当するのか、転籍制限期間や分野固有の要件を確認することが重要です。2026年9月1日からは育成就労計画の認定に係る施行日前申請も開始されていますので、新制度で2027年度から受入れを予定する場合は、監理支援機関との連携を含め、具体的な準備段階に入る時期です。
今年度中には、(1)対象業務区分・受入れ人数の整理、(2)育成就労計画・教育体制の検討、(3)日本語教育・技能向上支援、(4)賃金・昇給制度の見直し、(5)住居・生活支援体制、(6)技能実習から特定技能までを含めた中長期的な外国人材活用方針、を整理しておくことをお勧めします。
現在実習中の技能実習生については、2027年4月1日に一律に育成就労へ切り替わるわけではありません。同日時点ですでに来日している技能実習生等は、原則として認定済みの技能実習計画に基づき実習を継続できます。また、施行日時点で技能実習1号の者は2号へ、一定の要件を満たす2号の者は3号へ移行できる経過措置があります。現在の20名については、各人の実習開始日・号・実習終了予定日を一覧化し、誰が経過措置の対象になるかを個別に確認しておくとよいでしょう。
そして重要なのは、転籍を「防止する」という発想だけに偏らないことです。新制度では外国人側にも勤務先を選択する余地が広がるため、賃金だけでなく、昇給の見える化、技能習得に応じた評価、日本語教育、特定技能への移行支援、住環境、相談体制、職場でのコミュニケーション等が定着率を左右します。
特に都市部の企業との人材獲得競争を考えると、「3年間働けば何が身につき、賃金がどう上がり、その後どのようなキャリアを描けるか」を本人に明示できる制度設計が重要です。育成就労への移行は、外国人を「実習生」として管理する仕組みから、長期的な戦力として採用・育成・定着させる人事制度への転換と捉えて準備することがポイントです。
以上です。よろしくお願いいたします。