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電車の遅延で遅刻した日の給与
最近、電車の遅延で遅れて出社してくる社員が何人かいます。IT企業(東京・従業員50名)で労務を担当しています。普段は在宅が多いのですが、週に1回の出社日に限って遅延にあたることが多いようで、遅延証明書を出してくる人もいれば、何も言わずに30分くらい遅れて来る人もいます。今は特に給与から引いていませんが、ほかの社員から「遅刻しても引かれないのは不公平では」と言われてしまいました。電車の遅延はその人のせいではないので、引くのはかわいそうな気もします。かといって、遅延証明があれば遅れた分は働いたことにする、という扱いでいいのかも分かりません。皆さんの会社ではどうしているのでしょうか。
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専門家からの回答
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人事・労務の相談室をご利用くださりありがとうございます。
結論から申し上げますと、公共交通機関の遅延による遅刻であっても、労働が提供されなかった時間分の給与を差し引く「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づく対応は法律上可能ですが、公平性や従業員の納得感を高める観点から規律の明確化と適切な給与処理の手続きを行うことが求められます。
■ノーワーク・ノーペイの原則と遅れ分の取り扱い
労働基準法上、労働者が労働を提供しなかった時間については、使用者は賃金を支払う義務を負わないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されます。電車の遅延は不可抗力であり従業員本人の責任ではありませんが、会社側の責めに帰すべき事由にも当たらないため、遅延時間分について給与を減額(控除)すること自体は法的に不当な対応とはなりません。
一方で、企業実務においては「遅延証明書の提出」を条件として、遅延時間分を遅刻扱いとせず通常の出勤(勤務)として取り扱う運用も広く行われています。ただし、これらは法律で一律に定められた義務ではなく、各企業の就業規則や賃金規程の定めに委ねられています。
■全額払いの原則と減給の制裁の相違点
給与から控除する際の実務上の注意点として、「不提供労働時間の控除」と「制裁(懲戒処分)としての減給」の違いを明確に区別する必要があります。 実労働時間が不足した30分なら30分に対応する不提供時間分の金額を控除することは、労働の対償が発生していないため法第24条の全額払いの原則には違反しません。
しかし、例えば5分や10分の遅刻に対して30分や1時間分の金額を差し引くといった「実際の遅延時間以上のカット」を行うと全額払いの原則に違反します。実際の不提供時間を超える控除を行う場合は、就業規則に制裁規定を設けた上で労働基準法第91条に定める制限範囲内で行わなければなりません。
■遅延証明書の未提出者および公平性の確保
何も連絡せず遅延証明書も提出しない社員に対しては、通常の遅刻と同様に不提供時間分の給与を減額することが基本となります。一方で、遅延証明書を提出した社員に対してどのような取り扱いをするかについては、社内ルールを明確にし周知することが不公平感の解消につながります。
有給の取り扱いとするのか、あるいは不提供時間分を控除するのか、もしくは遅延証明書の提示により控除を免除するのかといった適用基準を就業規則や賃金規程に明記し、全社的に共通の運用を徹底することが重要となります。
以上、長文となりましたがご参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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