相談内容

人事管理

投稿

冬季賞与の査定、産休・育休や休職で欠勤した期間は減額してよいですか

冬のボーナスの支給基準を整理しています。物流会社(従業員120名、埼玉)で労務と給与計算を担当しております。当社の賞与は査定期間中の出勤率と評価で金額を決めており、これまで欠勤の理由は区別せず日割りで減額してきました。今期は倉庫部門に、産休・育休から復帰した社員と、私傷病で2か月休職した社員がいます。同じ計算をしてよいのか、社内で疑問が出ました。育休などを理由とした不利益な取扱いは禁止と聞きますが、休んだ期間の分を減らすことまで問題になるのでしょうか。出勤率に応じて減額する場合と、賞与自体を支給しない場合の違いも含めて教えてください。

さんとてさんの相談

埼玉県/流通・小売・サービス

自社の場合も専門家に
相談してみませんか?

この相談内容を参考に、自社の状況に合わせて
質問できます。

この内容をもとに相談する

専門家からの回答

山口 光博のプロフィール画像

山口 光博

リモートワークスコンサルティング合同会社

投稿

人事・労務の相談室をご利用くださりありがとうございます。

結論から申し上げますと、産前産後休業や育児休業の期間、および私傷病休職の期間について、賞与の査定対象期間中に「現に勤務しなかった日数」を日割り等で減額・控除すること自体は法的に認められますが、現に休業した期間を超えて不利益に扱うことや、欠勤理由を問わず一律に賞与不支給とする対応には重大な法的リスクが伴います。

■産前産後休業・育児休業期間の賞与控除と不利益取扱いの禁止
労働基準法第65条に基づく産前産後休業、および育児・介護休業法第10条等に基づく育児休業等の期間は、労働義務が免除されている期間です。男女雇用機会均等法および育児・介護休業法では、これらの申出や取得を理由とする不利益な取扱いを厳格に禁止しています。 ただし、厚生労働省の指針(通達)においては、現に勤務しなかった期間について専ら「労務の不提供があったもの」として日割り等で算定対象期間から除外することは不利益取扱いには該当しないとされています。

したがって、産休・育休期間中に働かなかった日数分のみを合理的に計算して賞与から控除することは法的に問題ありません。 注意すべきは、休業した期間を超えて不利益に減額すること(例:1か月の育休取得に対して2か月分減額する、あるいは評価を不当に引き下げる等)や、育休等を取得したこと自体を理由として査定上のペナルティを科すことです。これらは不利益取扱いに該当し違法(無効)となります。

■私傷病休職期間の賞与における取り扱い
業務外の傷病(私傷病)による欠勤や休職期間についても、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、就業規則や賞与支給規定の定めに従って勤務しなかった期間分を日割りで控除・減額することは法的に有効です。私傷病休職は育児休業のような法律上の不利益取扱い禁止規定の直接の適用を受けないため、実労働日数に応じた査定を行うことが可能です。

■出勤率に応じた減額と「全額不支給」の相違点
査定期間中の出勤率に応じて金額を減額する処理(日割り計算等)は、労働の対償として現に提供された労務の量に応じた適正な算定であり、合理的な基準に基づいている限り適法です。 一方で、出勤率が一定基準に達しないことを理由に「賞与を全額支給しない(不支給とする)」措置については、注意が必要です。

就業規則や賞与規定にあらかじめ「査定期間中の出勤率が〇%未満の場合は支給しない」といった要件(出勤率要件)が明記されており、その規定の合理性が認められる場合には支給対象外とすることも可能です。 しかし、産休や育休の期間を出勤率算定上の「欠勤」として扱い、その結果として出勤率要件を満たさなくなったことを理由に賞与全額を不支給とするような運用は、実質的に育児休業等の取得を抑制し不利益を与えるものとして、判例上も公序良俗違反や法令違反として無効とされるリスクが極めて高くなります。

そのため、過半数労働組合または労働者の過半数代表者との協議・周知のもと、就業規則や賞与規程において「産休・育休および私傷病休職の期間は現に勤務しなかった期間として日割り計算で控除するが、取得自体を理由とする過度な減額や不当な不支給扱いは行わない」旨の明確な運用基準を整理されることをお勧めいたします。

以上、長文となりましたがご参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

自社の条件ではどうなる?
専門家に個別相談できます

  • 自社の状況に合わせた具体的なアドバイス
  • 実務に詳しい専門家が回答
  • 匿名で相談できるから安心
自社について相談する

活躍している
専門家ランキング