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取得率の低い夏季休暇を年次有給休暇の計画的付与へ変更する際の注意点
受託開発を中心とするIT企業(従業員約50名)で労務を担当しています。当社では特別休暇として夏季休暇3日を設け、7〜9月の好きな時期に取得できる制度にしていますが、プロジェクトの繁忙で取り切れない社員が多く、形骸化しています。そこで来年度から夏季休暇を廃止し、代わりにお盆前後に年次有給休暇の計画的付与(一斉付与)を導入する案を検討しています。特別休暇の廃止は不利益変更にあたるのでしょうか。労使協定など必要な手続きや、年5日の取得義務との関係、入社直後で年休日数が少ない社員の扱いなど、注意すべき点を教えてください。
おちゃっぱさんの相談
東京都/IT・インターネット
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
ご質問のケースでは、「夏季特別休暇3日を廃止し、その3日を年次有給休暇の計画的付与に置き換える」ことは、慎重に進める必要があります。
まず、現在の夏季休暇3日が就業規則上の「有給の特別休暇」であれば、その廃止は、従業員が年休とは別に取得できていた有給休暇3日を失うことになります。したがって、一般的には**労働条件の不利益変更に該当し得ます。**就業規則によって変更する場合は、不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働者側との協議状況等を踏まえた合理性が必要です(労働契約法9・10条)。
「取得率が低いから廃止する」という理由だけでは十分とは言い切れません。例えば、経過措置を設ける、夏季休暇を一部残す、福利厚生面で代替措置を講じるなど、不利益を緩和する方法も検討した方が安全です。
一方、年休の計画的付与を導入すること自体は可能です。その場合、(1)就業規則に計画的付与を規定し、(2)労働者の過半数代表者等と書面による労使協定を締結する必要があります。労使協定は労基署への届出は不要です。
重要なのは、計画的付与の対象にできるのは、保有する年休のうち5日を超える部分だけという点です。労働者が自由に取得できる年休を最低5日は残さなければなりません。例えば年休10日の社員であれば、最大5日まで計画年休とすることができます。
また、計画年休として実際に取得した日数は、年10日以上の年休が付与される労働者に対する「年5日の取得義務」の5日に算入できます。例えば計画年休で3日取得していれば、本人が別途2日以上取得すれば5日の義務を満たします。
問題となるのが入社直後の社員です。年休がまだ付与されていない者や、「5日を残すと計画付与に回せる年休が足りない者」を一斉休業させる場合、その日を年休扱いにはできません。この場合、特別有給休暇を付与する、年休を前倒し付与する等の措置が考えられます。何も措置せず会社都合で休業させる場合には、原則として休業手当(平均賃金の60%以上)の問題が生じます。
したがって実務上は、単純に「夏季休暇3日を廃止→計画年休3日に変更」とするのではなく、不利益変更の合理性を検討したうえで就業規則を改定し、労使協定を締結するとともに、新入社員等への特別有給休暇の扱いまでセットで制度設計することをお勧めします。
以上です。よろしくお願いいたします。