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過重労働解消キャンペーンを前に、工場の入退門記録と勤怠の乖離はどう点検する?
11月の過重労働解消キャンペーンに向けて、社内の点検を始めました。当社は愛知県で自動車部品を製造しており、従業員は約1000名です。工場の勤怠は職場長が承認する自己申告方式ですが、試しに入退門ゲートの記録と突き合わせたところ、2交替の班を中心に毎日30分〜1時間ほどの差がある社員が少なくないことが分かりました。本人に聞くと「着替えたあと休憩所で一服してから帰っている」という説明も多く、すべてが労働時間とは言い切れません。記録に差がある場合、どの程度の差から実態調査が必要になるのでしょうか。また、調査の結果、労働時間と判断された分は過去にさかのぼって賃金を支払う必要があるのかも教えてください。
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人事・労務の相談室をご利用くださりありがとうございます。
入退場記録と自己申告による労働時間との間に「著しい乖離」が存在する場合は、具体的な時間数にかかわらず原則として実態調査が必要です。また、調査の結果として実際の労働と認められた時間については、過去にさかのぼって割増賃金を支払わなければなりません。
■労働時間の適正な把握と実態調査の基準
厚生労働省が定めるガイドライン(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)に基づき、自己申告制により労働時間を管理している事業場において、入退場記録等の客観的なデータと自己申告時間との間に著しい乖離が生じているときは、実態調査を実施し必要な補正を行うことが使用者の義務とされています。
実態調査を開始すべき具体的な「乖離の時間数」について法令上の明確な一律の数値基準はありませんが、企業実務上および労働行政の点検においては、1日あたり30分程度の差であっても継続的に生じている場合は十分調査対象となります。本件のように毎日30分〜1時間ほどの乖離が2交替制の班等で頻発している状況は、ガイドラインに言う「著しい乖離」に該当するため、実態調査の実施が強く求められます。
■労働時間の判断基準と私的生活時間の区分
労働基準法上の「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指し、客観的な実態に基づき判断されます。本人の弁明にある「着替え後の休憩所での喫煙や談笑」といった時間は、使用者の指示や業務上の拘束がなく完全な自由利用が保障されている場合、原則として労働時間には該当しません。
しかしながら、着替え行為自体が「所定の作業着や保護具の着用を義務付けられている」ものであれば、その着用時間や準備・後始末は使用者の指揮命令下の作業として労働時間に該当します。調査の際は、個々の「乖離時間」において、義務付けられた準備・後始末時間と、完全な私的時間・自由時間がどのように分かれているかを明確に区分・特定することが重要です。
■過去の割増賃金の遡及支払義務
実態調査を行った結果、これまで自己申告から漏れていた時間帯において「着用義務のある着替え等を行っていた」「引き継ぎや残務処理などの業務を行っていた」など、使用者の指揮命令下の労働であったと認められた場合、当該時間分は労働時間の補正を行わなければなりません。
労働基準法第37条に基づき、法定労働時間を超えて労働させた部分については、過去の対象期間にさかのぼって未払いの時間外手当(割増賃金)を支給する義務が発生します。なお、同法上の賃金請求権の消滅時効期間は当分の間3年と定められているため、実態に応じて最大3年分まで遡及して請求・支払義務が生じるリスクを考慮して対処する必要があります。
以上、長文となりましたがご参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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