相談内容
投稿
70歳近い再雇用ドライバー、適性診断の結果を理由に乗務を外せますか
高齢ドライバーの雇用継続について悩んでいます。物流会社で労務を担当しており(埼玉・従業員120名)、65歳を過ぎても嘱託で乗務を続けるドライバーが数名います。先日、68歳のドライバーが受けた適齢診断で、注意力や判断の項目に低い評価が出ました。本人は運転に自信があり、このまま中型車に乗り続けたいと話しています。事故のリスクを考えると、構内作業や助手への配置換えを検討したいところです。本人が同意しない場合でも、会社の判断で乗務から外すことはできるのでしょうか。その際に賃金を下げてよいか、契約更新の判断材料にしてよいかもあわせて伺います。
さんとてさんの相談
埼玉県/流通・小売・サービス
自社の場合も専門家に
相談してみませんか?
この相談内容を参考に、自社の状況に合わせて
質問できます。
専門家からの回答
投稿
人事・労務の相談室をご利用くださりありがとうございます。
結論から申し上げますと、本人が同意しない場合であっても、安全配慮義務の履行や事故防止の観点から、適性診断(適齢診断)の結果などの客観的なデータに基づき、会社の判断でドライバーを乗務から外し、構内作業や助手へ配置換えを命じることは可能です。
■配置換え(乗務外し)の法的根拠と人事権の行使
使用者は就業規則の定めに基づき、業務上の必要性に応じて労働者に対して配置転換や職務変更を命じる人事権を有しており、特に自動車運送事業においては、安全な運行を確保することが極めて高度な業務上の必要性として求められます。
労働安全衛生法や同種業務における安全配慮義務の観点から見ても、適齢診断において注意力や判断力の低下といった安全運転に支障をきたす客観的な結果が出ている場合、事故を未然に防止するために乗務から外す判断は、合理的な理由に基づく正当な人事権の行使と認められ、本人の同意が得られない場合でも、企業が負う安全配慮義務の履行を優先し、乗務から外す命を発することは法的に有効と解される可能性が高いです。
■配置換えに伴う賃金減額の取り扱い
職務の変更に伴い賃金を減額できるか否かは、貴社の雇用契約や就業規則、賃金規程の定め次第と考えられます。
貴社の就業規則や賃金規程において「乗務手当」などの職務手当が特定の乗務に対して支給される規定になっている場合、乗務を外れたことに伴い当該手当を不支給とすることや、職務の変更に伴う正当な格付けの変更(降格・降級)の結果として賃金が低下することは、制裁としての減給規制(労基法第91条)には抵触せず、職務変更に伴う当然の帰結として認められます。
ただし、職務変更と連動しない形での一方的な基本給の減額や、合理的な根拠を超えた大幅な引き下げは、労働条件の不利益変更として無効とされるリスクがあるため、規程に沿った適切な取り扱いが必要となります。
■契約更新(嘱託雇用継続)の判断材料
適齢診断の結果やそれに伴う適正評価は、有期労働契約(嘱託契約)の更新の可否や更新条件の判断材料として活用することが可能です。 65歳経過後の嘱託ドライバーとの契約においては、高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえつつも、安全な業務遂行能力の有無は雇用継続判断における重大な判断材料となります。
事前に就業規則や有期雇用の基準において「適性診断結果や健康状態、安全運行の可否」を更新判断の基準として明確に定めていれば、乗務不適格と判断されたことを理由に契約更新を拒否すること、あるいは乗務以外の職種への転換を条件として更新を提示することは客観的に合理的な理由となり得ます。
以上、長文となりましたがご参考になれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
自社の条件ではどうなる?
専門家に個別相談できます
- 自社の状況に合わせた具体的なアドバイス
- 実務に詳しい専門家が回答
- 匿名で相談できるから安心




