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カスハラ対策義務化、委託元クライアントへの対応要求は可能ですか?
コールセンター(250名)を運営するBPO企業の人事労務マネージャーです。2026年10月のカスハラ対策義務化を控え対応を検討中ですが、受託先の顧客からの激しい暴言や過度な要求でオペレーターが精神的ダメージを受ける事例が頻発しています。会社としてスタッフを守るため受電打ち切りや案件辞退を検討したいのですが、委託元クライアントから「契約違反だ」と圧力を掛けられる懸念があります。改正法のもと、受託企業としてどこまでクライアントに是正対応を求める権利・義務があり、安全配慮義務違反を防ぐための法的な判断基準はどうなるのでしょうか?
ななめさんの相談
福岡県/流通・小売・サービス
他の専門家からの回答
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
ご相談のケースでは、2026年10月施行の改正労働施策総合推進法(カスタマーハラスメント対策の義務化)を踏まえると、受託企業である貴社は、顧客対応業務であっても従業員をカスタマーハラスメントから保護するための措置を講じる義務を負います。
カスタマーハラスメント対策義務は、委託元やその顧客との契約関係よりも、まず従業員の安全・健康を確保するという使用者責任を前提とするものです。したがって、暴言・脅迫・人格否定・長時間拘束・過度な要求などによりオペレーターの心身の健康が損なわれるおそれがある場合は、会社は労働契約法第5条の安全配慮義務の観点からも、適切な対応を講じなければなりません。
そのため、実務上は次のような対応を段階的に実施することが重要です。
カスハラの判断基準(暴言、威迫、繰り返しの過度な要求等)を社内基準として明文化する。
一定の基準に達した場合は、責任者への引継ぎ、警告、受電終了を認める運用を整備する。
悪質・反復事案については、委託元へ事実を報告し、対応方針の協議を求める。
オペレーターへのメンタルケアや相談体制を整備し、記録を保存する。
また、委託元との契約についても見直しが重要です。例えば、委託契約に「カスタマーハラスメントが認められる場合は、受電終了、一時対応停止又は業務内容の見直しを行うことができる」「委託元は悪質な顧客への注意・是正に協力する」旨の条項を設けておくことで、契約上のトラブルを防止しやすくなります。
ご質問の「委託元へ是正対応を求めることができるか」については、法令上、委託元に直接的な是正命令権が認められるわけではありません。しかし、受託企業には従業員を保護する義務があるため、業務遂行上必要な措置として、悪質事案への対応や契約内容の見直しを求めることは十分合理的と考えられます。
さらに、委託元から「契約違反」と指摘された場合でも、受電終了等が事前に定めた基準に基づき、従業員の安全確保を目的とした相当な措置であれば、その合理性は認められやすいと考えられます。一方、明確な基準がないまま恣意的に案件を拒否すると、契約上の紛争につながる可能性もあります。
したがって、今後は「従業員保護」と「契約履行」を両立させるため、(1)社内のカスハラ対応基準の整備、(2)委託元との役割分担・協力体制の明確化、(3)委託契約へのカスハラ対応条項の追加を進めることが重要です。これにより、安全配慮義務違反のリスクを低減するとともに、委託元との認識のずれによるトラブルも防ぎやすくなるでしょう。
以上です。よろしくお願いいたします。

