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南海トラフ地震臨時情報で工場を自主的に止めた場合、休業手当は必要ですか
9月1日の防災の日を前に、BCP(事業継続計画)の見直しを進めています。愛知県で製造業を営む会社(従業員約1000名)の労務責任者です。当社の工場は南海トラフ地震の想定震源域に近く、「巨大地震注意」などの臨時情報が発表された際に、夜勤を含む操業を続けるか自主的に止めるかの判断基準がまだ定まっていません。実際の被害が出ていない段階で会社の判断により操業を停止した場合、休業手当の支払いは必要になるのでしょうか。年次有給休暇の充当との関係や、夜勤帯に臨時情報が出た場合の安否確認・帰宅指示で注意すべき点も含め、一般的な考え方を伺いたいです。
こまち77さんの相談
愛知県/メーカー
他の専門家からの回答
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意等)が発表されたという理由だけで、当然に休業手当が不要になるわけではありません。特に、実際の被害がなく操業可能であるにもかかわらず、会社が安全面を考慮して自主的に操業停止する場合は、原則として労基法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」と評価され、平均賃金の60%以上の休業手当が必要になる可能性が高いと考えます。
厚生労働省も、地震による休業について、休業手当が不要となる「不可抗力」には、(1)原因が事業の外部から発生したこと、(2)通常の経営者として最大の注意を尽くしても休業を避けられなかったこと、の両方が必要としています。施設の被災等で操業そのものが不可能な場合とは異なり、「念のため止める」という自主判断は(2)を満たすとは限りません。
したがって、臨時情報発表時のBCPでは、次のように段階を分けておくことをお勧めします。
(1)「臨時情報が出たら一律休業」としない
工場所在地の被害状況、津波等の危険性、交通機関、行政からの避難情報、設備の安全性、原材料・電力供給等を確認し、「操業継続」「一部停止」「全面停止」を判断する基準をあらかじめ設定します。内閣府も企業にBCP等による事前の備えを求めています。
(2)年休を一方的に充当しない
会社が「今日は休業なので有休にします」と一方的に年休処理することは原則できません。本人から年休取得の申出があれば利用できます。また、労使協定による計画的付与は別ですが、自由に取得できる年休を少なくとも5日は残す必要があります。
(3)夜勤中に臨時情報が出た場合は「直ちに帰宅」が安全とは限らない
まず工場内・周辺の危険性、交通機関や道路状況等を確認し、工場内待機と帰宅のどちらが安全かを判断します。操業停止・設備停止の手順、従業員の安否確認、帰宅可否の判断、家族との連絡方法等をBCPに盛り込んでおくことが重要です。
なお、安否確認への回答を休日・勤務時間外にも義務付ける場合には、その方法や回答期限、労働時間性にも配慮が必要です。「可能な範囲で回答」とするなど、災害時に本人・家族の安全確保を最優先できる仕組みが適切でしょう。
実務上は、「臨時情報=無給休業」とあらかじめ決めるのは避け、会社の自主的な予防休業は原則として休業手当を支給し、実際の被災・避難指示・ライフライン停止等で操業が客観的に不可能になった場合には、不可抗力として個別判断するという設計が安全です。
また、就業規則・BCPに「臨時情報発表時の操業判断者、判断基準、従業員への連絡方法、休業時の賃金取扱い」を明文化しておくことをお勧めします。
以上です。よろしくお願いいたします。

