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在職老齢年金の基準額が62万円に、再雇用ドライバーの働き控え解消の注意点
定年後再雇用のドライバーの処遇についてご相談します。当社は埼玉の物流会社で、従業員120名のうち60歳以上の再雇用ドライバーが10名ほど在籍しています。これまで在職老齢年金の支給停止を気にして勤務日数を抑える方が多く、人手不足の中で運行計画の悩みの種でした。2026年4月から支給停止の基準額が月51万円から62万円に引き上げられたと聞き、希望者には勤務日数や賃金を増やす提案をしたいと考えています。改正内容の理解はこれで正しいでしょうか。また、再雇用者の労働条件を引き上げる際に契約や社会保険の面で注意すべき点があれば教えてください。
さんとてさんの相談
埼玉県/流通・小売・サービス
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
ご認識について、重要な修正点があります。2026年4月からの基準額は62万円ではなく「65万円」です。 62万円は法改正成立時の令和6年度価格で、その後の賃金変動を反映した2026年度(令和8年度)の実際の支給停止調整額は65万円となりました。日本年金機構も、2026年4月から「51万円→65万円」と案内しています。
在職老齢年金は、原則として「老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額」が65万円以下であれば老齢厚生年金は全額支給され、65万円を超えると、超過額の2分の1が支給停止されます。なお、老齢基礎年金はこの調整の対象ではありません。
ここで注意したいのは、単純に「月給+年金」で判断するわけではないことです。総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額+直近1年間の標準賞与額合計÷12です。したがって、賞与のある再雇用者について勤務日数や賃金を増やす場合には、賞与も含めて個別に試算する必要があります。
今回の改正は、まさに高齢者の「働き控え」を緩和する趣旨ですので、人手不足への対応として、本人の希望を確認したうえで勤務日数や賃金を増やすことは合理的な対応だと思います。
ただし、労働条件を変更する場合には、勤務日数、所定労働時間、賃金等を本人と合意し、再雇用契約書・労働条件通知書を変更しておくことをお勧めします。また、同じ仕事・責任であるにもかかわらず、年金受給者であることだけを理由として賃金を不合理に低く設定するような運用は避ける必要があります。
社会保険については、勤務日数・時間や賃金の増加により、これまで社会保険に加入していなかった方が加入要件を満たす可能性があります。また、すでに加入している方でも、固定的賃金の増額等により随時改定(月額変更届)の対象となることがあります。
さらにドライバーの場合は、年金対策だけで勤務を増やすのではなく、改善基準告示による拘束時間・休息期間等の規制や、60歳以上の方の健康状態、安全運転への配慮も併せて確認することが重要です。
したがって、会社から一律に「65万円まで働けます」と案内するより、希望者ごとに(1)
年金の基本月額、(2)標準報酬月額、(3)過去1年間の賞与、(4)希望する勤務日数・賃金を確認し、年金への影響を試算したうえで労働条件を変更するという進め方が適切です。
なお、65万円は2026年度の額であり、今後も賃金変動に応じて毎年度改定されます。
制度確認には、日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」 が分かりやすい資料です。
以上です。よろしくお願いいたします。