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2026年10月カスハラ義務化、店舗ごとの対応差を防ぐ統一基準について
大阪を中心に約28店舗の飲食・小売を展開する会社の本部人事担当(従業員420名)です。2026年10月のカスハラ対策義務化に向け、全店統一のマニュアルと判断基準を策定しています。しかし現状、現場では店長ごとに対応が異なり、悪質な客から暴言を受けたアルバイトを一方的に宥めて我慢させたり、逆に店長判断で出禁にしてトラブルが拡大したりしています。会社として労働者の安全配慮義務を果たしつつ、不当な要求を突っぱねるための法的な判断境界線と、店舗で使える標準的な初期対応ガイドラインの注意点を社労士の視点から教えてください。
みなもさんの相談
大阪府/流通・小売・サービス
他の専門家からの回答
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
2026年10月施行の改正労働施策総合推進法では、企業にカスタマーハラスメント対策が義務付けられます。複数店舗を展開する企業では、店舗ごとに対応が異なること自体が労務リスクとなるため、本部主導で統一した対応基準を整備することが重要です。
まず、会社には労働契約法第5条に基づく安全配慮義務があり、従業員を暴言や威迫などから保護する責任があります。そのため、「お客様だから我慢させる」という対応は適切とはいえません。一方で、些細な苦情まで一律に入店拒否や出入り禁止とすることも、トラブルを拡大させるおそれがあります。
実務上は、「正当なクレーム」と「カスタマーハラスメント」を区別する判断基準を明文化することが重要です。例えば、商品やサービスに関する改善要求自体は正当な苦情ですが、人格否定、侮辱、脅迫、長時間の拘束、土下座要求、SNSへの投稿をほのめかした威圧、不合理な金銭要求などはカスタマーハラスメントに該当する可能性が高いと考えられます。
店舗での初期対応は、次のような共通ルールを定めることをお勧めします。
(1)まず苦情内容を冷静に確認し、事実関係を把握する。
(2)暴言や威圧が始まった場合は、「そのような言動はお控えください」と一度注意する。
(3)改善されない場合は店長又は責任者へ引き継ぐ。
(4)危険を感じる場合や長時間拘束が続く場合は対応を終了し、必要に応じて警察へ通報する。
(5)対応内容を記録し、本部へ報告する。
特に重要なのは、「誰が」「どの段階で」「対応終了を判断できるか」を統一することです。現場の判断だけに委ねると、店舗間で対応にばらつきが生じ、従業員保護にも顧客対応にも支障が生じます。
また、悪質顧客への出入り禁止措置は、暴力行為、繰り返される暴言、従業員へのつきまといなど、客観的な事実を記録したうえで、本部を含めた一定の承認手続きを経て判断する運用が望ましいでしょう。
さらに、マニュアルだけでは十分ではありません。店長やエリアマネージャーに対し、ロールプレイを含めた研修を実施し、「謝罪すべき場面」と「毅然と対応すべき場面」の判断を統一することが重要です。
「従業員を守ること」と「顧客対応」を対立するものと考えるのではなく、「従業員の安全を確保しながら適切な顧客対応を行う」という方針を会社全体で共有することが、改正法への対応として最も重要と考えます。そのためには、(1)明確な判断基準、(2)店舗共通の対応フロー、(3)本部へのエスカレーション体制、(4)対応記録の保存をセットで整備することが、実務上のポイントとなります。
以上です。よろしくお願いいたします。

