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ドライバーの副業は認めるべき?労働時間の通算と改善基準告示の拘束時間の関係
ドライバーの副業申請への対応に悩んでいます。従業員120名の物流会社(埼玉)で労務を担当しており、先日トラックドライバーの一人から「休日に他社で配送のアルバイトをしたい」と申し出がありました。労働時間が本業と副業で通算されることは把握していますが、ドライバーには改善基準告示の拘束時間や休息期間の定めもあり、副業先での運転時間をどう考慮すべきかが分かりません。過労運転を防ぐ観点から、会社はどこまで副業の内容を把握・制限できるのでしょうか。認める場合の申請ルールや上限設定の一般的な考え方を教えていただけますか。
さんとてさんの相談
埼玉県/流通・小売・サービス
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
結論として、ドライバーの副業を一律禁止する必要はありませんが、他社での配送・運転業務については、一般職より厳格な許可基準を設けることが適切です。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業は原則認める方向としつつ、安全配慮義務、秘密保持、競業、誠実義務等に支障がある場合には禁止・制限できるとしています。特に過重労働によって本業に支障が生じる場合は、制限する合理性があります。
まず、労基法上、副業先も「雇用」であれば、本業と副業の労働時間は事業主が異なっても通算します。会社は本人の申告等により副業先の所定労働時間・実労働時間を把握し、法定労働時間や時間外労働の上限規制との関係を管理する必要があります。
さらにトラックドライバーでは、改善基準告示を踏まえた健康・安全確保が極めて重要です。現在、トラック運転者については、拘束時間は原則として年3,300時間・月284時間以内、1日の休息期間は「継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない」とされています。
ここで注意したいのは、労基法38条の「労働時間の通算」と改善基準告示の「拘束時間・休息期間」は同じ概念ではないことです。したがって、単純に両社の「拘束時間」を労基法38条によって機械的に通算する、という整理ではありません。
しかし、例えば本業終了後や本来の休日に他社でトラックを運転すれば、本業との間で十分な休息が確保できず、疲労した状態で翌日の運転業務に就く危険があります。 会社には安全配慮義務もありますので、「休日だから自由」として副業先の勤務を全く把握しない運用はお勧めできません。
したがって、副業許可制・届出制を設け、少なくとも、
(1)副業先・業務内容(運転業務か)、(2)契約形態、(3)勤務日・勤務時間、(4)副業先での実労働時間・運転時間、(5)本業開始までに確保できる休息時間
を申告させるのが適切です。
また、「副業は週○時間まで」と一律の時間数だけで管理するより、本業・副業を合わせて過重労働にならないこと、本業勤務開始まで原則11時間、少なくとも9時間の休息確保を目安とすること、改善基準告示や36協定の上限に抵触するおそれがないことなどを許可条件とする方が実務的でしょう。
特に「休日に他社で配送」という副業は、実質的にドライバーの休養日を失わせる可能性があります。申請内容から疲労蓄積や過労運転のおそれが具体的に認められる場合には、勤務日数・時間の縮減を求め、それでも安全確保が困難なら副業を不許可・制限することも合理的と考えます。
重要なのは、「副業だから禁止」ではなく、「ドライバー本人と第三者の安全を確保できる範囲で認める」という制度設計です。定期的な実績申告と、勤務状況が申請内容を超えた場合の再審査まで就業規則・副業規程に定めておくことをお勧めします。
以上です。よろしくお願いいたします。