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2026年12月施行の改正公益通報者保護法、通報者探索の禁止で社内調査はどう変わる?

機械部品を製造する会社(愛知県・従業員約1000名)で労務責任者をしております。当社は内部通報窓口を設置済みで、通報をきっかけにハラスメントや不正の事実調査を行うこともあります。2026年12月施行の改正公益通報者保護法では、正当な理由なく通報者を特定しようとする探索行為が禁止され、罰則も強化されると聞きました。一方で、工場内の通報は内容から部署が絞られやすく、関係者への聞き取りを進めるだけで通報者が推測されてしまう懸念があります。探索の禁止に触れずに事実確認の調査を進めるには、一般的にどのような点に注意すべきでしょうか。

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小川 宏太朗

小川社会保険労務事務所 代表

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2026年12月1日施行の改正法でも内部通報を端緒とした通常の事実調査まで禁止されるわけではありません。重要なのは、調査の目的を「誰が通報したか」ではなく「不正・ハラスメント等の事実があったか」に置き、通報者を特定させる情報を必要最小限にすることです。改正法11条の3は、事業者が正当な理由なく「公益通報者を特定することを目的とする行為」をすることを禁止しています。

1.探索と通常調査の境界
部署・日時の確認、関係者への事実ヒアリング、メール・勤怠・防犯カメラ・業務記録の確認は、違反事実の有無を調べるために必要な範囲なら探索にはなりません。一方、「誰が通報したのか」と聞くことや通報者しか知らない情報から人物を絞り込む、通報を知り得た者を洗い出すなど目的が通報者特定に向かえば11条の3に抵触します。
したがって、少人数の工場で適正な事実調査をした結果、周囲が「○○さんでは」と推測することと、会社がその人物を確認・特定しようとする探索とは区別されます。ただし、推測されやすい情報を必要以上に開示すれば、範囲外共有等の別の問題が生じます。

2.ヒアリング・情報共有
消費者庁の改正後「指針の解説」では通報者を特定させる情報の閲覧者を必要最小限とし、真に必要不可欠でなければ調査担当者にも共有しないことを示しています。また、調査の契機が公益通報であることを関係者に伝えず調査する方法も明示されています。したがって「内部通報があった」と告げず、会社が把握した事象として「○月○日にこの行為があったか」等を確認することは問題ありません。
被通報者等には通報者を詮索しないよう注意喚起し、通報文面をそのまま見せず、必要な事実だけに加工・マスキングして質問する運用が適切です。また、通報者情報を人事・法務・経営層だからと当然に共有してはいけません。

3.ハラスメント調査
必要な調査を実施するため、例外的に通報者を特定する必要性がありその探索行為自体について正当な理由が認められる場合については改正後の指針解説において限定的とされています。その例として、匿名通報について、通報者がどの場面で不正を認識したのか特定しなければ必要な調査・是正ができない場合に守秘義務を負う従事者が特定につながる事項を質問することを挙げています。
したがって、ハラスメント被害者への聞き取りや被害者の確認自体が禁止されるものではありません。特に被害者と通報者は同一とは限らないため、「被害者を確認する調査」と「通報者を探す行為」を分ける必要があります。

4.罰則について
「罰則強化」されたのは公益通報を理由とする解雇・懲戒をした行為者への6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人への3,000万円以下の罰金等です。従事者の通報者特定情報に関する守秘義務違反には30万円以下の罰金があります。

5.実務対応案
調査開始時に「目的は違反事実の確認」であることを関係者で確認し、1.通報者情報と調査資料を分離、2.調査担当者へ渡す情報を最小化、3.質問は「誰が言ったか」ではなく「何があったか」に限定、4.通報契機であることを原則伏せる、5.確認した資料・ヒアリングの必要性を記録する、という対応が良いと思います。

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