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リスクアセスメント対象物質が2,900物質に拡大、工場の化学物質管理は何から始める?
愛知県で金属加工と塗装を行う工場を複数持つ製造業(従業員約1000名)で労務責任者をしております。2026年4月から労働安全衛生法のリスクアセスメント対象物質が約2,900物質へ拡大したと知り、社内の点検を始めたところです。当社では洗浄剤や塗料、接着剤など多くの化学物質を扱っており、現場ごとにSDSを保管してはいるものの、最新版に更新できているかまでは把握しきれていません。さらに2026年10月からは個人ばく露測定の精度に関する基準も施行されると聞いております。化学物質管理者の選任やリスクアセスメントの実施範囲について、当社のような規模の製造業がまず何から着手すべきでしょうか。現場作業者への周知の進め方とあわせて、一般的な考え方をご教示ください。
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専門家からの回答
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
2026年4月から、リスクアセスメント対象物質は約2,900物質まで拡大されています。洗浄剤・塗料・接着剤等を多数使用する製造業では、個々の物質をいきなり評価するのではなく、まず**「自社で何を、どこで、どのように使用しているか」を把握すること**が出発点です。
具体的には、次の順序で進めることをお勧めします。
化学物質の棚卸しとSDSの整備
工場・工程ごとに、塗料、シンナー、洗浄剤、接着剤、潤滑剤等の商品名、メーカー、使用量、使用場所を一覧化します。そのうえで最新版のSDSをメーカー等から取得し、成分欄を厚生労働省の「リスクアセスメント対象物一覧」と照合します。古いSDSが混在している場合は、ここを最優先で整理します。
化学物質管理者を中心とした管理体制の確認
リスクアセスメント対象物を製造・取扱い・譲渡提供する事業場では、化学物質管理者の選任が必要です。会社全体で1人ではなく、原則として対象物を取り扱う事業場ごとに管理体制を確認してください。また、保護具を使用させる場合には保護具着用管理責任者についても確認します。
リスクアセスメントを工程・作業単位で実施
対象物質が含まれていることが分かったら、「物質がある=直ちに測定」ではありません。使用量、揮発性、作業時間、換気設備、飛散・皮膚接触の可能性等からリスクを見積もります。厚生労働省のCREATE-SIMPLE等の支援ツールも活用できます。
その結果に応じて、代替物への変更、密閉化・局所排気装置、作業方法の改善、保護具という順序を意識して対策します。濃度基準値設定物質については、労働者のばく露を基準値以下にする必要があります。
2026年10月施行事項への準備
10月から個人ばく露測定について測定精度を担保する制度が施行されます。ただし、これは「2,900物質すべてについて10月から個人ばく露測定が義務になる」という意味ではありません。第三管理区分作業場等について、一定の資格・講習要件を満たす者による測定を求める仕組みなどが施行されます。また、濃度基準値についても2026年10月から新たに78物質が追加されますので、対象工程の確認が必要です。
現場への周知では、SDSを置くだけでは十分ではありません。「この洗浄剤にはどんな危険があるか」「どの局所排気を使うか」「どの手袋・保護具を使うか」「こぼした場合どうするか」まで作業手順に落とし込み、朝礼や安全衛生教育で反復して伝えることが重要です。
従業員約1,000名・複数工場という規模であれば、本社で「化学物質管理台帳」の共通様式を作り、各工場で棚卸し→SDS更新→対象物質判定→リスクアセスメント→対策→教育→定期的な見直しという一連の管理を統一するのが現実的です。特に塗装・洗浄工程など、ばく露リスクが高い工程から優先的に点検するとよいでしょう。
以上です。よろしくお願いいたします。
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