相談内容
投稿
派遣料金の引き上げ要請、労使協定方式の一般賃金水準と派遣先の配慮義務の関係は
派遣スタッフの受け入れについてご相談です。愛知県で自動車関連部品を製造する会社(従業員約1000名)の労務責任者で、工場の組立・検査工程に複数の派遣会社から常時数十名を受け入れています。先日、派遣元各社から『来年度に適用される一般賃金水準が引き上げられたため、派遣料金の改定をお願いしたい』という申し入れが相次ぎました。労使協定方式では毎年公表される水準を下回る賃金にはできないと理解しているのですが、提示された引き上げ幅は会社によって差があり、どこまでが妥当なのか判断がつきません。派遣先として料金交渉にどう臨むべきか、また配慮義務との関係で要請を断ることが問題になるのか、一般的な考え方を教えていただけますでしょうか。
こまち77さんの相談
愛知県/メーカー
自社の場合も専門家に
相談してみませんか?
この相談内容を参考に、自社の状況に合わせて
質問できます。
専門家からの回答
投稿
派遣先には、派遣元が労使協定方式による適正な待遇を確保できるよう派遣料金について配慮し、適切に交渉する義務があります。ただし、一般賃金水準の上昇率と同じ割合で派遣料金を引き上げる義務や、派遣元の提示額をそのまま受け入れる義務まではありません。特に2026年10月1日から派遣先指針が改正され、料金交渉に一切応じないこと等は法26条11項の趣旨を踏まえた対応とはいえないことが明確化されるため、今後は「根拠を確認したうえで実質的に交渉する」ことが重要です。
1.一般賃金水準と派遣料金は別物です
労使協定方式では、派遣元は、派遣労働者の賃金を「同種の業務・同程度の能力経験・地域」の一般労働者の平均的賃金以上となるよう決定する必要があります(派遣法30条の4、施行規則25条の9)。職種別基準値に能力・経験調整指数、地域指数等を反映するため、同じ工場でも職種や経験段階によって基準額は異なり得ます。
一般賃金には基本給・賞与等のほか、制度に応じて通勤手当や退職金相当額も考慮されます。一方、派遣料金には派遣労働者の賃金だけでなく、社会保険料の事業主負担、年休・教育訓練、採用・管理コスト等も含まれるため、一般賃金が5%上昇したから派遣料金も5%上げるということはありません。したがって、派遣会社ごとに値上げ幅が異なること自体は不自然ではありません。
2.「配慮義務」は値上げ要求の全面受諾義務ではありません
派遣法26条11項は、派遣先に対し、派遣元が労使協定の定めを遵守できるよう派遣料金について配慮することを求めています。
さらに2026年10月1日適用の改正派遣先指針では、料金交渉に一切応じない場合や、派遣元が法定待遇の確保に必要な額を提示して交渉したにもかかわらず、派遣料金がその必要額を下回る場合は、法26条11項の趣旨を踏まえた対応とはいえないと明記されます。
したがって、値上げを断るだけで直ちに違法になるとはいえません。しかし、根拠を確認せず一律に「値上げには応じない」とする対応は避けるべきです。
3.実務対応案
各派遣元に少なくとも 1.令和8年度→令和9年度の一般賃金水準、2.適用職種、3.能力・経験調整指数、4.愛知県等の地域指数、5.派遣労働者の賃金に実際に反映する増額、6.社会保険料等の増加、7.その他の値上げ要因について説明を求めるのが適切です。
そのうえで、「法定水準を満たすために最低限必要な増額」と「派遣元独自の人件費・管理費・利益等の改定」を分けて確認すると良いと思います。複数社に一律の値上げ率を適用する必要はなく、各社の賃金制度・現在の派遣料金・対象労働者等を踏まえて個別に交渉して差し支えありません。
自社の条件ではどうなる?
専門家に個別相談できます
- 自社の状況に合わせた具体的なアドバイス
- 実務に詳しい専門家が回答
- 匿名で相談できるから安心



