相談内容
投稿
エンジニアから教育訓練休暇給付金の相談、無給の休暇制度を設ける際の注意点
受託開発と自社サービスを手がけるIT企業(東京・従業員50名)で労務を担当しております。先日、若手エンジニアから「数ヶ月まとまって学び直しをしたいので、教育訓練休暇給付金を使えないか」と相談を受けました。調べたところ、この給付金を利用するには会社に無給の教育訓練休暇制度があることが前提のようです。当社に該当する制度はなく、これを機に規程の整備を検討しています。休職に近い制度になりそうですが、対象者の範囲や取得期間の上限、休暇中の社会保険料の本人負担分の扱いなど、決めておくべき事項がよく分かっておりません。制度を新設する場合、どのような点を規程に定めておくべきでしょうか。休暇中に他社での就業を希望された場合の考え方も、あわせてご教示いただけますと幸いです。
おちゃっぱさんの相談
東京都/IT・インターネット
他の専門家からの回答
投稿
1.教育訓練休暇給付金の前提
教育訓練休暇給付金は雇用保険の一般被保険者が労働協約・就業規則等に基づき、自発的に職業に関する教育訓練を受けるため、事業主の承認を得て30日以上の無給の休暇を取得した場合の生活保障です。休暇開始前の算定基礎期間が5年以上等の要件があり、給付日数は90・120・150日です。会社の「教育訓練休暇制度」と国から本人に支給される「教育訓練休暇給付金」は別制度です。
2.制度新設時に定めたい事項
会社としては少なくとも次をまとめて定めることをお勧めします。
●対象・取得要件:雇用形態、勤続年数、申請期限、業務引継ぎ等。ただし給付金利用を想定するなら、本人の自発的申出、会社承認、30日以上の無給休暇など法定要件と整合させます。対象訓練は大学・大学院等、教育訓練給付の指定実施者による訓練、その他職業安定局長が定める訓練等です。
●期間・手続:休暇上限、延長・再取得、申請書類、訓練内容・期間・実施機関の確認、受講証明、定期報告、復職日・復職手続を定めます。給付金は休暇開始後30日ごとの認定が基本で会社にも賃金月額証明等の手続があります。
●賃金・社会保険等:給付対象日は原則無給です。雇用関係を維持する休職であれば、健康保険・厚生年金の被保険者資格は通常継続し保険料負担も生じるため、本人負担分を毎月振込、復職後精算等のどの方法で徴収するかを事前に定めるのが重要です。 住民税は無給となれば異動届を提出し、普通徴収への切替えが必要となる場合があります。
●人事上の扱い:休暇期間を勤続年数、賞与、昇給、退職金等に算入するかは、法令に反しない範囲で会社制度として明確化します。
3.副業・他社就業
教育訓練休暇給付金は休暇中に自己の労働等による収入を得ていない日について支給され、収入を伴う就労をした日は支給対象になりません。したがって、他社就業を全面的に給付金と両立はできません。
会社として副業を禁止・制限できるかは別問題で、既存の副業規程、秘密保持、競業、健康管理等を踏まえて判断します。
4.就業規則
50名規模であれば休暇制度を新設する際は就業規則を変更し過半数組合または過半数代表者の意見を聴取して所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。
税務上の取扱いは税理士、競業・副業制限や復職不能時の契約終了等に関する法的判断は弁護士にも確認して頂ければと思います。給付対象となるかは最終的にハローワークが判断するため制度導入前に事業所管轄ハローワークへ確認することをお勧めします。

