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同業他社からの中途採用、前職の競業避止義務の誓約書はどこまで有効?

下半期のエンジニア採用を進めるなかで気になっている点があり、ご相談します。東京でSaaSを開発・提供する会社(従業員50名)の労務担当です。応募者に同業のクラウドサービス企業の出身者が複数おり、面談で「前職で競業避止義務の誓約書を書いている」と申告する方もいました。採用後に前職から指摘を受ける事態は避けたいのですが、こうした誓約書はどこまで効力があるものなのでしょうか。また、当社でも入社時に秘密保持と競業避止の誓約書を取りたいと考えています。有効性を保つために盛り込むべき条件や、退職者にとって行き過ぎた制限とならないための線引きについて教えてください。

おちゃっぱさんの相談

東京都/IT・インターネット

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1.競業避止義務の有効性
経済産業省は裁判例上、1.会社に守るべき利益があるか、2.従業員の地位・職務、3.地域、4.期間、5.禁止する業務の範囲、6.代償措置、などを総合して合理性を判断するとしています。
したがって、「退職後2年間、全国で同業他社への就職を一切禁止」など、対象業務を限定せず広範囲に転職を禁止する条項は問題になりやすくなります。特にSaaSのエンジニアについて、単に技術経験を有するというだけで「クラウド・SaaS企業への転職全般」を禁止するのは、会社が保護すべき具体的な技術情報等との関係が薄ければ、有効性が認められにくいです。
実際、大阪地裁令和6年10月31日判決(令和5年(ワ)2681号)は地域制限がなく退職後5年間という長期間で、代償措置もない競業避止条項について職業選択・営業の自由を不当に制約するとして公序良俗違反で無効としました。

2.今回の中途採用での対応
応募者から申告があった場合は、可能であれば本人に前職の誓約書を確認してもらい、「期間」「禁止対象の事業・職種」「対象顧客」等を把握することが重要です。ただし、前職の秘密文書そのものを無断で提出させることは避けるべきです。
それ以上に重要なのは、前職のソースコード、設計資料、顧客情報、価格情報、開発計画等を持ち込ませないこと及び使用させないことです。競業避止義務が無効でも、営業秘密の不正取得・使用・開示は別問題です。不正競争防止法上の「営業秘密」は、秘密管理性・有用性・非公知性を満たす情報で、不正使用等には差止めや損害賠償等があり得ます。
採用する会社が前職の営業秘密だと認識しながらそれらの情報を利用するなどした場合には、不正競争防止法上の責任等を問題にされる可能性があります。しかし、単に競合企業出身者を採用しただけで、当然に採用くた会社が責任を負うわけではありません。

3.自社で誓約書を取る場合
全社員を一律に「退職後は競合会社に就職してはならない」とするより、重要なソースコード、非公開の開発情報、事業戦略、重要顧客情報等に実際にアクセスする者に対象を絞り、禁止する「事業・職務」「期間」「顧客・競合範囲」を守るべき利益に必要な範囲まで限定する方が合理性を説明しやすくなります。代償措置も重要な判断要素ですが、それだけで有効・無効が決まるものではありません。
また、競業避止義務は競合する仕事そのものの制限であり、秘密保持義務は秘密情報の使用・開示の制限であり分けて考える必要があります。SaaS企業では広範な転職禁止よりも秘密情報の範囲を明確化しアクセス管理・退職時のデータ返還等を徹底することが重要です。

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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
競業避止義務の誓約書を提出していても、それ...

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