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同業他社からの中途採用、前職の競業避止義務の誓約書はどこまで有効?
下半期のエンジニア採用を進めるなかで気になっている点があり、ご相談します。東京でSaaSを開発・提供する会社(従業員50名)の労務担当です。応募者に同業のクラウドサービス企業の出身者が複数おり、面談で「前職で競業避止義務の誓約書を書いている」と申告する方もいました。採用後に前職から指摘を受ける事態は避けたいのですが、こうした誓約書はどこまで効力があるものなのでしょうか。また、当社でも入社時に秘密保持と競業避止の誓約書を取りたいと考えています。有効性を保つために盛り込むべき条件や、退職者にとって行き過ぎた制限とならないための線引きについて教えてください。
おちゃっぱさんの相談
東京都/IT・インターネット
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ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
競業避止義務の誓約書を提出していても、それだけで退職後の同業他社への転職が一律に禁止されるわけではありません。
退職後の競業避止義務は、労働者の職業選択の自由を制約するため、その有効性は限定的に判断されます。裁判例では、会社に保護すべき正当な利益があるか、本人の地位や業務内容、禁止される業務や地域の範囲、禁止期間、代償措置の有無などを総合的に考慮します。
したがって、「退職後2年間は一切の同業他社に就職してはならない」といった広範な定めは、そのまま当然に有効となるものではありません。一方、重要な技術情報、顧客情報、営業秘密等に接する立場の社員について、対象となる競合企業や業務を限定し、合理的な期間に絞るなどした場合には、有効と判断される可能性があります。
中途採用時には、応募者に前職の誓約書を可能な範囲で確認してもらい、禁止期間、対象企業、対象業務等を確認することをお勧めします。ただし、前職の営業秘密や顧客名簿、ソースコード等を持ち込ませたり、面接で開示させたりすることは避けるべきです。採用時に「前職の秘密情報を持ち込まず、使用しない」旨を確認しておくことも有用です。
自社で誓約書を作成する場合も、「同業他社への転職禁止」を目的とするより、自社が保護する必要のある利益を具体的に定めることが重要です。
例えば、秘密保持の対象となる情報を明確にした上で、競業避止については、対象者を機密性の高い情報に接する社員等に限定し、禁止する業務、競合企業の範囲、期間などを必要最小限に設定します。代償措置の有無も有効性を判断する要素となります。
特にSaaS企業では、一般的なエンジニアとしての知識や経験まで退職後に利用できないとすることは避け、独自のソースコード、非公開の技術情報、開発計画、顧客情報等の保護を中心に制度設計することが適切でしょう。
実務上は、全社員に一律の厳しい競業避止義務を課すよりも、全社員には秘密保持義務を明確にし、競業避止義務は役員、管理職、重要技術や営業秘密に接する社員など必要性の高い者に限定する方法が、合理性を説明しやすいと考えます。
以上です。よろしくお願いいたします。