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職人の退職金について
従業員60名の建設会社で総務をしております。新潟で内装工事を請け負っており、職人は20代から60代まで幅広くいます。当社には退職金の制度がなく、長く勤めてくれた人が辞めるときに社長がその都度いくらか包む、というやり方をずっと続けてきました。先日、40代の職人から「うちは退職金はないんですか」と聞かれ、答えに詰まってしまいました。同業他社では建退共に入っているという話も聞きますし、中小企業向けの共済もあると聞いたことがあります。ただ、正直どれが自社に合うのか判断がつきませんし、一度始めたら途中でやめられないのではという不安もあります。60名程度の規模で退職金の制度を新しく作る場合、どういう点を押さえて考えればよいでしょうか。
あさぎりさんの相談
新潟県/建設・不動産
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退職金制度を設けること自体は法律上の義務ではありません。ただし、制度を設ける場合、常時10人以上の事業場では、適用対象、計算・支払方法、支払時期を就業規則に定める必要があります。御社では、まず過去の「社長が包んできた」支給実績を整理したうえで、職人には建退共、事務職等には中退共という組合せも含めて比較するのが良いと思います。
●制度を選ぶ際のポイント
職人の転職・現場移動が比較的多いなら「建設業界を通算する」建退共、会社で長期雇用する社員の退職金を整備したいなら中退共や会社独自制度が比較対象になります。職人と事務職で制度を分けることも考えられますが対象区分を合理的・明確にし就業規則等との整合を取る必要があります。
●建退共
建退共は、建設業を営む事業主が加入し建設現場で働いた日数に応じて掛金を納付する建設業界全体の退職金制度です。現在の掛金日額は320円です。労働者が会社を退職して別の建設会社へ転職しても、加入事業所なら掛金を通算でき、建設業界を離れたときに本人が退職金を請求します。建設業退職金共済事業本部
内装工事の現場職人も対象となります。大工、塗装工等だけでなく現場事務員など、建設現場で働くほとんどの労働者が対象です。一方、本社等の事務専用社員等は対象外です。
なお、会社都合で自由に制度をやめられるわけではなく、例えば被共済者の4分の3以上の同意又は掛金継続が著しく困難との厚生労働大臣の認定等が必要となります。
●中退共
建設業の場合は常用従業員300人以下又は資本金3億円以下なら加入できますので、従業員60名の御社は人数要件を満たします。掛金は会社が全額負担し月額5,000~30,000円(短時間労働者は2,000~4,000円の特例あり)から従業員ごとに選択します。
新規加入時は原則として加入後4か月目から1年間、掛金の2分の1(1人当たり上限5,000円)の国の助成があります。既存社員には新規加入時に最高10年まで過去勤務期間を通算できる制度もあります。
ただし、従業員は原則全員加入で一定の除外対象があります。同一従業員を建退共と中退共に重複加入させることはできません。会社として両制度を利用し、例えば対象となる現場職人を建退共、事務職を中退共とすることは可能です。
掛金減額には原則として本人の同意が必要で単なる経営不振を理由に自由に納付停止することもできません。
●会社独自制度
勤続年数、退職理由等に応じた柔軟な設計ができますが、資金準備を会社自身で考える必要があります。また、一度労働条件として制度化した後の減額・廃止は自由ではありません。就業規則を不利益に変更する場合、労働契約法9・10条により、必要性、不利益の程度、内容の相当性、労使交渉等を踏まえた合理性が必要です。
●現在の運用上の注意点
「社長がその都度包む」という制度でも、長期間反復し勤続年数等に応じた一定の基準で支給されていた場合、労働契約上の退職金として争われる可能性があります。まず過去10年程度について対象者、勤続年数、退職理由、支給額、算定方法の有無を整理することをお勧めします。
●導入前に確認すること
まず1.過去の支給実績、2.職人・事務職等の人数、3.勤続年数・年齢構成、4.年間掛金総額、5.既存社員の過去勤務をどう扱うか、6.定年・再雇用制度との関係を整理し、その後に「職人は建退共」、「全社員を中退共」及び「独自制度」の年間費用を比較すると判断しやすいでしょう。

