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中途採用のリファレンスチェック導入、本人同意や内定取消しの注意点は?

下半期はエンジニアの中途採用を強化する計画で、ミスマッチを減らすためにリファレンスチェック(前職の上司などへの評判照会)の導入を検討しています。東京のIT企業(従業員50名)で労務と採用実務を担当しています。前職への照会は本人の同意があれば問題ないのか、個人情報保護法や職業安定法との関係で収集してはいけない情報はあるのか、社内に知見がなく不安です。また、内定後のチェックで応募書類と大きく異なる事実が判明した場合、内定取消しはどこまで認められるのでしょうか。導入にあたって整備しておくべき社内ルールとあわせて教えてください。

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小川 宏太朗

小川社会保険労務事務所 代表

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1.本人の同意と収集できる情報
職業安定法5条の5は募集企業に対し求職者の個人情報を募集目的達成に必要な範囲で目的を明らかにして収集・利用することを求めています。厚労省指針は本人以外から収集する場合も「本人の同意の下」で行うこととし、同意は具体的・詳細に説明したうえで自由意思による明確なものでなければならないとしています。したがって、会社が応募者に知らせず前職へ照会することは避けるべきです。
同意書では少なくとも、実施目的、照会先、取得する情報の範囲、採否への利用、外部サービス利用の有無を分かるようにする必要があります。
採用前もこの規制を受けます。内定後はこれに加え、既に労働契約が成立している場合には内定取消しの制約が生じ入社後の契約解消は解雇として労働契約法16条の問題になります。

2.照会してよい事項と避ける事項
エンジニア採用なら、在籍期間、役職、担当業務、技術的役割、業務実績、職務遂行状況、チームでの役割等、職務能力・適性に直接関係する事項に限定するのが基本です。
厚労省指針は、人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地等、思想・信条、労働組合加入状況を収集禁止としています。厚労省はさらに、家族、住宅・生活環境、宗教、支持政党等の把握や身元調査を、公正採用選考上避けるべき事項としています。
また、健康・病歴、障害、犯罪歴等は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当し取得に本人同意が必要です。しかし、同意さえあれば採用目的で自由に収集できるという意味ではありません。
通常のエンジニア採用で職務上の必要性がないのであれば収集しない方が良いと思います。

3.内定後に虚偽が判明した場合
リファレンスチェックと応募書類が食い違っただけでは直ちに内定取消しはできません。
最高裁・大日本印刷事件(最二小判昭和54年7月20日)は、採用内定を労働契約と認め取消しについて内定時に知ることができず、知ることも期待できなかった事実で取消しが客観的に合理的かつ社会通念上相当である場合に限定しています。
したがって、学歴・職歴・資格・担当業務等について、採否判断の重要な前提を意図的に偽り、真実なら採用しなかったと客観的に評価できるほど重大な場合には取消しの余地があります。一方、元上司の「評価が低い」「相性が悪かった」といった主観的評価だけでの取消しは難しいです。
取消し前には、本人への事実確認・説明機会を設け、資料との照合や複数情報源による確認を行うべきです。

4.実務対応
1.対象職種・実施時期、2.本人同意の方法、3.照会先、4.質問可能・禁止事項、5.判断方法、6.アクセス権限、保存期間・削除、7.本人からの訂正・説明への対応、8.外部業者利用時の委託先管理を明確化する必要があります。
特に、「本人同意」、「職務関連情報への限定」、「センシティブ情報を原則取得しない」、「一つの評価だけで採否を決めない」、「内定取消し前に本人確認」の5点が重要です。

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