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高年齢雇用継続給付が10%に縮小、再雇用オペレーターの時給はどう設定すべき?

定年後の再雇用者の処遇について相談させてください。福岡でコールセンターを運営する会社(従業員約250名)の人事労務マネージャーです。当社は60歳定年で、その後は1年更新の嘱託社員として65歳まで再雇用しており、時給は定年前の7割程度に設定してきました。これは高年齢雇用継続給付を受け取れることを前提に組み立てた水準でしたが、2025年4月以降に60歳を迎える方は給付率が15%から10%に下がったと知りました。実際、今年再雇用したベテランオペレーターから「先に再雇用された先輩より手取りが少ないのはなぜか」と質問を受けています。給付の縮小に合わせて再雇用時の時給水準を見直す場合、どのような点に注意すべきでしょうか。また、定年前と同じ受電業務を担当してもらう場合、7割という水準自体に問題はないのでしょうか。

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小川 宏太朗

小川社会保険労務事務所 代表

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高年齢雇用継続給付が最大15%から10%へ縮小されたことを理由に、会社が再雇用者の時給を引き上げる法的義務はありません。 一方、「定年前賃金の7割なら適法」という法律上の規定もありません。 定年前と同じ受電業務を行い、責任・勤務形態・配置変更の範囲等もほぼ同じなら、「定年後再雇用だから7割」と一律に設定するのではなく、基本給・手当等ごとに待遇差の理由を説明できるかを確認すべきと思います。

●高年齢雇用継続給付の変更
2025年4月1日以降に60歳到達等した者は、60歳時点等の賃金に比べて各月賃金が75%未満であること等を要件として給付対象となり、64%以下まで低下した場合は各月賃金の10%、64%超75%未満では低下率に応じ10%未満となります。したがって、再雇用賃金が70%なら10%が支給されるわけではありません。例えば60歳時賃金30万円、再雇用後20万円(66.67%)なら給付額は月14,540円です。
2025年3月31日以前に60歳到達等した者には従前の最大15%が適用されます。この制度改正によって、新旧の再雇用者で可処分所得に差が生じること自体はあり得ます。

●「7割」の適法性
高年齢者雇用安定法9条は65歳までの雇用確保を求めていますが、再雇用賃金を定年前の何%にすべきかという基準は定めていません。ただし、厚労省は厚労省は、就業実態や生活の安定等を考慮し適切な賃金となるよう努めることを求めています。
さらに1年更新の嘱託社員にはパートタイム・有期雇用労働法が適用されます。8条では、職務内容、職務内容・配置変更の範囲、その他の事情を、各待遇の性質・目的ごとに考慮し、不合理な待遇差を禁止しています。これらが通常の労働者と同一なら9条の均等待遇規定も問題となります。比較対象は「本人の定年前賃金」そのものではなく、現在の通常の労働者です。
厚労省ガイドラインも定年後再雇用者であることだけで待遇差が当然に合理化されるものではないと明記しています。

●判例と今回の実務
長澤運輸事件(最判平成30年6月1日)は、定年後再雇用を「その他の事情」として考慮できるとしましたが、賃金総額だけで判断せず、基本給・手当等それぞれの趣旨を個別に検討するとしました。「再雇用なら3割減額してよい」という判例ではありません。
さらに名古屋自動車学校事件(最判令和5年7月20日)は、定年前基本給の60%を基準にした高裁判断を破棄し、基本給・賞与の性質・目的、労使交渉の具体的経緯等を検討する必要があるとしました。つまり「60%」「70%」といった割合だけでは適法性を判断できません。
ご相談の事例では7割を機械的に維持するより、1.受電内容、2.クレーム・SV対応等の責任、3.勤務時間・シフト、4.異動・配置転換、5.目標・評価、6.基本給・職務手当等の目的を正社員と比較し、その差に対応した賃金を再設計することをお勧めいたします。 給付縮小分を補填する場合も、時給を上げれば給付率・給付額が下がり得るため、「会社賃金+給付」の試算を行うべきです。
従業員には「会社が先輩より低く設定したから」ではなく、2025年4月の法改正で対象者ごとに給付率が異なることと、会社賃金とは別制度であることを説明するのが適切と思います。

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