この記事でわかること・結論
- 2026年の年末調整で対応が変わる時期
- 主な4つの変更点
- 申告書、扶養確認、年末調整システムで確認したいこと

この記事でわかること・結論
年末調整の準備を始めると、「今年はどの申告書を使うのか」「毎月の給与計算も変える必要があるのか」と迷うことがあります。
2026年の年末調整では、基礎控除、給与所得控除の最低保障額、扶養親族等の所得要件、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除が主に変更されます。ポイントは、2026年11月までの毎月の源泉徴収事務への変更はなく、12月の年末調整で改正後の控除額などを反映することです。
また、2027年1月からは新しい源泉徴収税額表を使う給与事務も始まります。年末調整とあわせて翌年の源泉徴収事務の準備もしておきましょう。
この記事では、年末調整 2026の変更点を、人事労務担当者・給与担当者が確認しやすいように整理します。
2026年度税制改正による所得税の基礎控除の引き上げなどは、原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に適用されます。給与担当者がまず押さえたいのは、毎月の給与計算と年末調整で対応時期が異なることです。
| 時期 | 給与事務での見方 |
|---|---|
| 2026年11月まで | 毎月の給与等の源泉徴収事務は原則として変更なし |
| 2026年12月1日以後におこなう年末調整 | 改正後の控除額などを使って、2026年分の年間税額を精算 |
「2026年の年初から毎月の源泉徴収税額が変わる」のではなく、「12月の年末調整で改正後のルールを反映する」と考えると整理しやすくなります。年末調整関係書類は、12月1日前から従業員に提出してもらうこともできます。
次の章で、2026年分の年末調整で実際に確認する変更点を見ていきます。
【参考】国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
2026年分の年末調整では、控除額や扶養判定に関わる項目が見直されています。ここでは、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」で示された主な変更点を、4項目に絞って整理します。
基礎控除額は、本人の合計所得金額に応じて変わります。2026年分の年末調整では、従業員の申告内容をもとに、次の表に沿って控除額を確認します。
| 本人の合計所得金額 | 2026年分の基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超~655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超~2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超~2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
※給与収入だけの場合の金額は、特定支出控除などの適用がある場合には異なることがあります。
合計所得金額は、給与収入そのものではありません。副業収入など給与以外の所得がある場合もあるため、給与収入だけで基礎控除額を判断しないようにしましょう。給与収入だけの従業員でも、給与所得控除後の金額をもとに考えます。
給与所得控除の最低保障額は、65万円から74万円へ引き上げられます。あわせて、2026年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されています。
実務では、計算式を個別に追い直すよりも、年末調整システムや給与計算システムが2026年分の表に対応しているかの確認が優先事項です。自社で計算表を管理している場合は、前年分の表をそのまま使わないように注意しましょう。
基礎控除や給与所得控除の見直しにより、扶養控除などの対象となる親族の所得要件も変わります。代表的な区分は次のとおりです。
| 区分 | 2026・2027年分の所得要件 | 給与収入だけの場合の目安 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 合計所得金額62万円以下 | 136万円以下 |
| ひとり親の生計を一にする子 | 総所得金額等の合計額62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族 | 合計所得金額62万円超~123万円以下 | 136万円超~197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 合計所得金額62万円超~133万円以下 | 136万円超~207万円以下 |
| 勤労学生 | 合計所得金額89万円以下 | 163万円以下 |
新たに要件を満たす親族について控除を受ける場合は、扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要です。従業員から相談を受けるときは、「誰の」「どの控除」なのかを確認しましょう。
23歳未満の扶養親族がいる場合、2026年分と2027年分の新生命保険料の控除額が最高6万円になります。新制度と旧制度双方の保険料を支払っている場合には、控除額が最も大きくなる組み合わせで控除を受けることが可能です。
生命保険料控除全体の上限は12万円のまま
今回の特例で変わるのは、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の限度額のみです。介護医療保険料控除や個人年金保険料控除を含めた、生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。
ここからは、年末調整を進めるうえで企業側が確認したいことを整理します。申告書、従業員への確認、システム対応、社内スケジュールに分けて見ていきましょう。
基礎控除額の引き上げなどに伴い、年末調整関係書類の様式が変更されています。特に「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、記載欄や判定欄を確認しておきたい書類です。
保険料控除申告書では、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例に対応した記載が必要になります。紙で配布する場合も、システムで回収する場合も、2026年分の様式を使っているかを確認しましょう。
【参考】令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
扶養親族等の所得要件が変わるため、前年は対象外だった親族が2026年分では対象になることがあります。従業員には、配偶者や扶養親族の所得見込みをあらためて確認してもらいましょう。
社内案内では、「昨年対象外だった人も確認してほしい」「新たに控除を受ける場合は申告書の提出が必要」など、従業員が何を確認すればよいかを具体的に示すことが大切です。
年末調整ソフトや給与計算ソフトを利用している場合は、2026年分の税制改正に対応したバージョンになっているか確認します。控除額、扶養親族等の所得要件、申告書の入力欄、保険料控除の計算欄などが主な確認対象です。
クラウドサービスを利用している企業も、更新が自動で反映されるとは限りません。ベンダーからの案内、更新時期、管理者側で必要な設定を確認しておくと、年末の処理が進めやすくなります。
年末調整では、申告書の配布、回収、内容確認、修正依頼、再提出までに時間がかかります。2026年は変更点を従業員に説明する必要があるため、例年より早めに案内文や社内FAQを用意しておくことをおすすめします。
2026年分の年末調整とあわせて、2027年1月からの新しい税額表や防衛特別所得税も確認しておきましょう。
令和9年分の源泉徴収税額表は、2027年分の給与等について、所得税、防衛特別所得税、復興特別所得税を合わせて源泉徴収する際に使うものです。令和8年度税制改正で基礎控除の引き上げなどがおこなわれたことに伴い、税額も変更されています。使い始める時期は、2027年1月1日以後に支払うべき給与等からです。2026年分以前の給与等の税額計算には使用しません。
2027年1月以後は、防衛特別所得税が導入されます。給与等の源泉徴収では、所得税に加えて、防衛特別所得税と復興特別所得税を合わせて徴収します。
なお、防衛特別所得税の導入と同時に、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%へ引き下げられます。防衛特別所得税1%と合わせた税率は2.1%で、両税を合わせた税率自体は改正前と変わりません。
給与担当者は、2026年分の年末調整を終えたあと、翌年最初の給与計算までに税額表やシステム設定を切り替える必要があります。
【参考】防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし|国税庁
2026年の年末調整では改正後の控除額などを反映します。11月までの毎月の源泉徴収事務は原則として変わらないため、12月の年末調整で必要となる対応を確認しておきましょう。
担当者は、申告書様式、扶養親族等の所得見込み、保険料控除の特例、システムの更新状況を確認しておくことが大切です。また2027年分の給与から新しい源泉徴収税額表を使うため、年明けの給与計算に向けた準備も進めておきましょう。

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