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マイナンバーは、「社会保障」「税」「災害対策」の分野で、それぞれの機関が情報を共有し、行政の効率化と国民の利便性を高め、より公平で公正な社会の実現を目的としています。
では具体的に、どのような情報がどういう目的で利用され、今後はどのように運用されていくのでしょうか。ここでは、マイナンバーの中身をより深く知っていただき、その運用によってどういう形で進化拡大していくのかをまとめていきます。
目次
マイナンバーの情報管理は政府や行政機関によって一元的に管理されているわけではありません。マイナンバーを導入するための法律である、いわゆる「番号法」が成立した際、一元管理されるような情報が飛び交っていたため、全国民のマイナンバー情報を国が一元管理していると思っている人もいるかもしれません。
実際には、これまでそれぞれの情報機関で管理されていた個人情報はそのままその機関が管理し、必要に応じて必要な情報のみをやりとりする分散管理という方法でマイナンバーの情報は管理されています。
データベースなどで一元的に管理するということはありません。
マイナンバーは、社会保障の分野においては、健康保険や雇用保険などの各種公的保険、さらには年金、福祉などで利用されます。
これらの分野の届出や申請の書類を提出する際にマイナンバーを用いることで、住民票や所得証明などの添付書類を提出する必要がなくなり(一部手続きを除く)手続きが簡素になるなど、これまで各種書類を入手していた負担が軽減されます。
マイナンバーは税金分野においても利用されます。確定申告を行う際には、源泉徴収票や国民年金保険料の控除証明書など多くの書類を提出しなければいけませんが、マイナンバーを利用することでそれらの提出が不要になります。
また、インターネットで確定申告を行うe-Taxを利用する際の申請もスムーズに行えるなど手続きが楽になります。
現在はまだ導入されていませんが、平成30年から預金口座へもマイナンバーが導入される予定で(開始当初は任意)、税務署などは脱税の疑いのある人の預金口座を把握することができ、公平な納税を期待することができます。マイナンバーの利用により、税金の手続き及び管理は飛躍的にスムーズになります。
マイナポータルは政府が運営するオンラインサービスで、パソコンなどを通して個人で利用することができます。マイナポータルではマイナンバーの利用状況を閲覧することができ、自分の年金や社会保険の納付状況などの確認が可能となるほか、アプリなどを利用した端末での公金決済もできるなど、各手続きにおける手間を大幅に省くことができます。
また、行政機関が自分の個人情報をやりとりした履歴の確認も可能となるので、公正な個人情報の取り扱いが期待できます。さらに、子育てに関するサービスを検索することができ、サービスへの申請もオンラインで行うことができる子育てワンストップサービスも提供されます。
マイナポータルの運用は平成29年7月の予定となっており、電子申請と公金決済サービスが利用可能となる予定です。
公的個人認証サービスとは、インターネット上での各種申請や手続きの際に、他者によるなりすましやデータの改ざんを発生させないために利用される本人確認の方法です。
電子証明書というデータの証明書を、マイナンバーカードなどの各カードにICチップを搭載することで利用することができます。マイナンバーカードは外部からデータを読み取られる恐れがありません。これは公開鍵暗号方式によるもので、公開鍵と秘密鍵という2つの鍵を用いてデータの暗号化と復号を行う方式となっています。
鍵を無理やり開けようとするとデータを記録したICチップが壊れる仕組みになっているので、鍵は秘密鍵を知っている本人にしか開けることができません。この2つの鍵が個人情報を守るための重要な働きをしています。
現段階におけるマイナンバーの大方の全容はお分かりいただけましたでしょうか。マイナンバーでは、目的外の利用を禁止し、なりすまし防止のため本人確認を厳格にしています。
また、情報を分散管理したままにし、電子証明書を二種類に分けることで、不正利用を防止するためのいろいろな対策が施されています。これらの情報保護対策や利用場面の拡大を踏まえて、これからマイナンバーを有効活用してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士法人岡佳伸事務所 代表 特定社会保険労務士 | 岡 佳伸
平成28年10月、社会保険労務士として開業。
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