この記事でわかること・結論
- 法人マイナンバー(法人番号)とは
- 個人マイナンバーとの違い
- 法人マイナンバー(法人番号)が必要になるタイミング
この記事でわかること・結論
法人マイナンバー(法人番号)とは、国の機関や設立登記法人、国税に関する届け出が規定されている団体に付与される13桁の番号です。法人マイナンバーは、社会保険や労働保険の手続きで記載する重要な番号でもあります。
今回はマイナンバー(個人番号)の法人版である法人マイナンバー(法人番号)をご紹介します。
目次
法人マイナンバー(法人番号)とは、行政の効率化や利便性の向上、公平・公正な社会の実現、そして新たな価値の創出を目的として、発行される法人専用の13桁の管理番号です。
株式会社や一定の規定を満たした企業、行政機関・地方公共団体に発行され、すべての企業に発行されるわけではありません。個人用マイナンバーと同様に申請者の情報照合や転記、入力に使用できるため、作業効率化の向上への貢献が期待されています。
その他、行政・国民が各種サービスに必要な確認書類を省き、手続きの簡素化が可能です。
個人マイナンバーとは、日本国内に住民票を置いているすべての人に割り当てられる、12桁の個人識別番号です。行政サービスの利便化や災害対策を目的に導入され、個人識別・追跡が可能となります。
法人マイナンバーと個人マイナンバーは、通知方法や利用範囲、管理方法などに違いがあります。
法人マイナンバーと個人マイナンバーの違い | ||
---|---|---|
項目 | 法人マイナンバー | 個人マイナンバー |
通知方法 | 登記上の所在地に通知 | 通知カードを簡易書留で郵送 |
公表方法 | 国税庁の法人番号公表サイト | 本人以外への公表禁止 (利用範囲の限定) |
利用範囲 | 制限なし | 社会保障 (各種年金管理、雇用保険、福祉)、税金、災害対策(支援) |
利用者 | 誰でも利用できる | 取り扱い担当者に限定 (国・地方自治体・事業主) |
罰則規定 | 指定事業主の未取得は行政指導 ・罰則あり |
職権乱用による情報漏洩 ・盗用には重い罰則 |
情報連携の際の符号変換 | なし | あり |
法人マイナンバーは、指定→通知→公表の流れで取得できます。
法人マイナンバーは設立登記法人(株式会社)や国の機関、地方公共団体(都道府県・市区町村)、その他の法人・団体に該当する場合、国税庁長官から法人マイナンバー番号の指定を受けます。
指定を受けた場合、発行手続きは必要ありません。
上記以外の団体でも一定の要件を満たしていれば、届け出によって、法人マイナンバーを発行できます。
登記上の所在地に、法人マイナンバーが発行された旨の法人番号指定通知書が送付されます。紛失しないように保管しておきます(保管義務はありません)。
法人マイナンバーを指定された団体は、法人マイナンバーとともに名称、所在地が国税庁の法人番号公表サイトで公表されます。
【参考】国税庁 法人番号とは
法人マイナンバーは、国税庁の「法人番号公表サイト」で確認できます。調査対象となる法人の商号・法人の所在地を入力すれば、該当する法人マイナンバーの閲覧が可能です。また、マイナンバーの入力でも法人情報を閲覧できます。
法人マイナンバーがインターネット上で公表されている理由には、個人用マイナンバーの活用方法を知ってもらう目的が考えられます。
顧客情報をマイナンバーで管理することで、公開された企業の所在地から新たな営業先の開拓に利用するなど、法人同士のつながりを広め、経済活性化にもつながります。
個人マイナンバーと同様に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険(雇用保険と労災保険)の手続きで法人マイナンバーが必要となる場合があります。
平成28年1月から、労働保険の手続き申請時に、法人マイナンバーと従業員の個人マイナンバーが必要となりました。
平成29年1月以降には、健康保険や厚生年金の申請書類に、従業員の個人マイナンバーと法人マイナンバーの記入欄が追加されました。従業員のマイナンバーを取得する際は、利用目的を共有し、運転免許証などと照合して本人確認も行わなければなりません。取得した個人マイナンバーは暗号化処理を行い、厳重に管理します。
このように社会保険や労働保険の申請時は、法人ナンバーの記載が義務付けられています。法人マイナンバーを取得していない場合、行政指導や罰則が発生するため注意しましょう。
法人マイナンバーは、社会保険・労働保険の手続き時以外にも活用できます。
法定調書では、法人マイナンバーの記載が義務付けられています。
所得税・相続税が発生した際に税務署に提出する書類
原則、税務署に提出する書類には法人マイナンバーが必要となり、従業員に交付する書類には必要ありません。源泉徴収票は、税務署に提出する際は法人マイナンバーと従業員の個人マイナンバーが必要ですが、従業員に交付する書類には必要ありません。公的機関に提出する書類は、原則マイナンバーが必要と覚えておきましょう。
店舗を伴う開業には、業種によっては複数の公的機関への届け出が必要です。飲食店開業の場合、
など複数の行政機関にそれぞれ書類を提出しなければいけません。しかし、法人マイナンバーを使用すれば、行政機関側での情報連携が可能になるため、ひとつの行政機関に提出するだけで必要な手続きが完了します。
法人マイナンバーは、企業の名称や所在地も一緒に掲載され、なりすましの防止につながります。その結果、会社の健全性・透明性の証明として活用でき、取引開始前に法人マイナンバーを調べる企業も少なくありません。
また、法人マイナンバーを取引コードの代わりに活用することで、事業部や関連子会社毎に管理していた取引コードを整理統合でき、管理業務の業務削減にもつながります。
法人マイナンバーは会社を立ち上げる際の各種手続きに必要不可欠である一方、行政機関への手続きを簡素化するメリットがあります。また、法人マイナンバーは自社の健全性・透明性を社会に示し、取引コードの整理統合への活用も可能です。
法人マイナンバーをうまく活用して、ビジネス拡大につなげていきましょう。
社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞、女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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