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インタビュー近年はさまざまなITツールの誕生により、より簡単に業務の改善・効率化に取り組めます。音声案内によって自動で電話に応答できるシステムを開発する株式会社電話放送局は、数多くの企業の電話業務にまつわる課題解決のためのサポートをおこなっています。
今回は同社の営業推進課の前田泰延さんに、電話業務の課題や自動化のメリット、2023年9月にリリースした代表電話取り次ぎを自動化するサービス「とりつぎ君」などについてお話をうかがいました。
目次
弊社は40年以上の歴史があって、古くは電話の転送をする仕組みを提供していた会社です。30年位前からは自動音声応答システム(IVR)のオンプレミス、そして20年位前からは、月額費用を払って使いたい機能を使いたい期間だけ使うといったクラウドサービス、最近の言葉で言うと「サブスク」でサービス提供を開始しました。
電話を受ける、電話を架ける、電話を取り次ぐと言った、電話対応業務にまつわることの効率化、自動化を支援するサービスを提供しています。
実は、今回の「とりつぎ君」というのは今から25年くらい前にリリースしているんです。ただ当時は「電話の取り次ぎは人がやるものだ」「あまりにも先進的すぎてお客様が自動音声応答に戸惑う」という時代背景もあって販売は好調とは言えませんでした。
しかし最近は、新型コロナウイルス感染症の拡大により在宅ワークをする方が増えて、どこの会社でも「電話番をするためだけに出社する」などといった問題があったと思います。世の中的に人手不足や人件費の高騰とかもあって「ここ(電話番)の部分って自動化でも許されるのではないか」という風潮になってきました。
さらに今は、こういったものを安価に提供できるようなプラットフォームが整備されています。そこでこのたび、弊社もクラウド型として「とりつぎ君」をリニューアルして再度販売を開始したというのが今回のリリースの背景です。電話の取り次ぎ業務でよくある、営業電話のお断り、担当者の携帯やダイヤルイン番号に直接電話してほしい内容を一次対応する…といった無駄なやりとりがなくなると思います。
そうですよね。今の若い世代の方って電話にどうでたらいいのか分からないらしいですよ。昭和世代の方は、家庭で普通に父親宛ての電話を取り次いだりしていました。ただ今の若い世代の子は考えられないと思います。それで社会に出て、いきなり「電話の取り次ぎをしろ」って言われても厳しいですよね。
発話に対応している点が大きな特長です。たとえば、自動音声応答システムが「経理部にかけたい場合は3を押してください」といったように、プッシュ操作し、用件を振り分ける機能は昔からありました。しかし「田中さん」など名指しで話して、田中さんのデスクの電話(携帯電話)を鳴らすことができるIVRはありません。あったとしても結構高価になってしまうのですね。それを弊社では、月額5万円で提供しているっていうのが強みになると思います。
そのほかにもお客さんが話した言葉や入力した数値によって、最適な取り次ぎ先に転送させることもできます。そのため発話とプッシュの両操作に対応しているというのが、特長として大きいですね。
▼とりつぎ君を使った取り次ぎイメージ
実はいうと、発話に対応するって結構難しくて。たとえば同じ名字の方が社内に2名いらっしゃる場合「営業部の田中さんですか?総務部の田中さんですか?」といった分岐も設定できます。
あと、どうしてもほかの言葉に聞き取られやすい名前の方が社内にいらっしゃる場合も「チューニング」ができるようになっています。わかりやすく言うと、三田(ミタ)っていう名字ですけど仮に「サンダ」って呼んだ方がいたとき、それを登録することもできて。「サンダ」と呼ばれても「ミタ」さんに着信するように設定することができます。
とりつぎ君では、発話のログを分析してチューニングした結果、振り分けたい部署や担当者に振り分けることができます。これは弊社がこれまで、コールセンター向けに音声認識やAIを使ったボイスボットを開発してきた経験が非常に生きているかなと思います。
▼発話ログイメージ
弊社と同じようなことができるサービスもありますが、ユーザー様がうまく使いこなせていないことがあります。少し工夫するだけで、さらに自動化率は高まることがあります。弊社では1,000社を超える導入実績がございます。どの様な電話が入るのか分析し、最適なコールフローや業務フローを提案します。
また、導入して終わりではなく、さらによりよく使っていただく為にサポート体制も充実しています。この手のサービスは、chatやメールサポートしか対応していない企業が多いですが、弊社は電話や面談で導入後のサポートも行います。その為、使いこなせない理由による、解約率はほぼありません。
▼管理画面イメージ
とりつぎ君は電話取り次ぎDXに必要な機能を備えていますが、ユーザー様からとりつぎ君では対応できない要件をいただいた場合、上位の多機能版ノーコードIVR「DHK CANVAS」をご紹介します。この他にも、クレジットカード決済を電話で受け付けたい場合は、PCI DSS準拠の高いセキュリティ環境で運用しているカード決済IVRをご紹介します。
弊社では電話対応業務を自動化する要件や、緊急性・重要性などを加味して、ユーザー様と打ち合わせをおこないます。入電した電話を担当者に取り次ぐべきものなのか、自動音声応答で対応していいものか、または音声だけではわかりにくい内容だったら課題解決するサイトURLをSMS(ショートメッセージサービス)送信し、サイト誘導させるのかなどいろんなパターンがあると思うのですが、そういったことを打ち合わせしてから提供しています。
たとえば営業時間外にかかってきた電話が、会場までのアクセス方法に関する問い合わせ電話だったら、SMSで地図や目的地のルート掲載しているURLだけを自動で送り返すことも可能です。営業時間の確認だけだったら、そもそも人がでなくても自動音声応答で返すだけでもいいはずですよね。
まず、毎日発生していた電話取り次ぎ業務が自動化できます。電話の取り次ぎって、電話を取り次いでメモを書いてメモを要約して、それをチャットやメールで担当者に連携して、その一連の流れで約5〜10分かかります。もし10分かかるとして、1日10件だったら100分ですよね。月に営業日が20日あったとしたら結構な時間になります。そこで、このとりつぎ君を導入することで、業務の効率化によって、人件費の削減を実現できます。
あと新入社員が入社したときや社員の部署異動、退職者がでたとき、総務の方は電話の取り次ぎ方法を更新しなければいけません。そこでとりつぎ君があれば、少なくとも電話取り次ぎの教育コストはなくなりますし、忙しい時期でも担当部署へ手間をかけずに取り次げるようになります。
そうですよね。実際に現場の方にとって電話の取り次ぎって、集中力途切れるし、かといって失礼な対応をすると会社のイメージも悪くなりますし、大事な顧客だったらなおさら丁寧な対応をしなくてはいけないので、なるべくやりたくないことだと思います。
実は電話の取り次ぎ応対だけで、結構会社のイメージも左右されますよね。僕らはコールセンター業界が主なお客さんですが、コールセンターだけど電話が鳴りっぱなしとか、電話をかけてから「只今電話が混み合っています」って仮に30分待たされたら、そこの会社の商品を買うのをやめようってなるじゃないですか。そこで電話の取り次ぎを自動化するだけで、そういった機会損失がなくなると思います。
掛け手にとっても、一発で担当者に繋がる方がうれしいですよね。また経営層からの「人材をもっと価値の高い業務に割り当てたい」っていうニーズも、代表電話のDXで実現できると思います。
とりつぎ君はまさに、そういう方のためのサービスです。それで貴重な新入社員が辞めるとかもありますしね。今の若い世代からすると、とりつぎ君は早く導入してくれっていうサービスだと思います。
とりつぎ君は電話番号を持っているすべての企業におすすめです。その中でも、特におすすめは、取引先など外部とのやりとりが多い部署です。他にも全国に営業所や支店がある企業、売りこみの営業電話が多く、出たくない電話対応にリソースを奪われている部署です。
あとイメージしにくいかもしれないですけど、多店舗展開している企業の各店舗に入れるのもおすすめですね。たとえば不動産の賃貸や販売の店舗で、電話に出られないことで機会損失を生んでしまうことがあります。そこでとりつぎ君を入れるだけで、機会損失を防ぐことができます。
ほかには、飲食店だと、ランチタイムや夜のピーク時に電話が鳴りっぱなしって結構あるじゃないですか。そういうのは、現場に負担がかかりますよね。そういう時にとりつぎ君を入れておけば、たとえば「予約の取り消しは1を押してください」と音声を流して、キャンセルする内容をお客様に発話してもらうことで、ピークの時間帯に、貴重な人員を電話対応へ割くことがなくなります。
そうですね。使い方次第で電話業務の至るところを自動化できると思います。自治体では、例えば「印鑑証明書」などの要件だけ伝えてもらったらその担当者に繋げる、などもいいかもしれないです。
あと学校や塾とかも、保護者などからの電話対応担当の方がいるわけではないですよね。たとえばインフルエンザで休校だってなったときに、保護者から電話が殺到すると思いますが、あれは先生が対応していることが多いと思います。とりつぎ君なら、そういったところも自動化できます。
今後、「既存取引先自動取り次ぎ(仮称)」と「迷惑電話ブロック(仮称)」という機能を実装予定です。「既存取引先自動取り次ぎ(仮称)」では、すでにお取引があっていつも同じ電話番号からかけてくるというのが分かっていれば、電話が着信した際に自動的に担当者に繋ぐことができます。エフアンドエムの木村様が弊社の代表電話に電話したら、自動的に私に繋がるようにするというイメージです。
対して「迷惑電話ブロック(仮称)」では、特定の方からの電話に出たくない場合は、「迷惑電話ブロック(仮称)」に登録すれば電話が繋がらなくなります。
今後も新しい機能が実装される予定です。現時点でも必要な機能を網羅していますが、これで終わりではなくてお客様の声がする方にアップデートをしていきます。
一つの目安としては、電話対応する量が月に100件以上あるのであれば導入を検討することをおすすめします。電話の取り次ぎを人で対応するのは時代錯誤です。少し言い過ぎがかもしれませんが、それぐらいもったいないと思っています。電話の取り次ぎに社員が追われているようであれば、導入価値は十分にあると思います。
電話業務に関するストレスって大きく分けると、掛け手のストレス・受け手のストレス・経営のストレスの3つの芯があると思っていて。掛け手は「電話をしても繋がらない」「たらい回しにされる」。受け手からすると「自分に関係ない電話をとりたくない」。経営者からすると「そんなことに人員を割いている場合じゃない」「もっと効率化できないのか」とか、電話の取り次ぎって誰も幸せになりません。そういった点をとりつぎ君なら、すべて解決できます。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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