この記事でわかること・結論
- 【目的】 1on1を「話して終わり」にせず、対話を「線」でつないで個人の成長を促す。
- 【構成要素】 日時・テーマ・コンディション・アクション・フォローの5項目を最小単位とする。
- 【運用】 直後の5分でデジタル記録し、定期的な振り返りでマネジメントの質を向上させる。

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人材・組織この記事でわかること・結論
1on1を実施しているものの、「毎回その場限りで終わっている」「前回の話が活かされていない」と感じたことはないでしょうか。
1on1は、継続してこそ価値が生まれる取り組みですが、その効果を大きく左右するのが「記録が残っているかどうか」です。
本記事では、1on1を“話して終わり”にしないための1on1シートの考え方と、すぐに使えるテンプレート例、現場で続けるための運用ポイントを整理します。
目次

1on1シートとは、上司と部下の1on1ミーティングの内容を記録・蓄積するためのシートです。
多くの企業で1on1が導入されるようになりましたが、「話して終わり」「その場の雑談で終わっている」というケースも少なくありません。
1on1を単なるコミュニケーションの場で終わらせず、組織や個人の「成長につながる対話」に変えるために欠かせないのが記録、この1on1シートです。
シートを活用することで、対話が「点」から「線」へと変わり、成長の最大化とリスク回避を同時に実現できます。
人は過去の会話を正確に覚えていません。「前回何を話したか」が曖昧だと話は毎回リセットされます。シートに残すことで前回からの変化や進捗が一目でわかり、1on1が“点”ではなく“線”としてつながります。
記録があれば「何が決まり、何が次回までの宿題なのか」が明確になります。これは部下の成長を促すだけでなく、上司自身が「問いの立て方が浅かった」「支援が足りなかった」など自らのマネジメントを振り返る材料にもなります。
評価や配置転換に関するやり取りが、後から「言った・言わない」のトラブルに発展するケースは少なくありません。日常的な記録があれば、会社としてどのような支援や説明を行ってきたのかを客観的に示すことができます。
1on1シートは、部下を管理するためのものではなく、組織と個人の双方を守るための“記録ツール”でもあるのです。1on1を本当に意味のあるものにしたいのであれば、「話すこと」だけで満足せず、「残すこと」までをセットで考えましょう。シートはそのための、最もシンプルで実践的な仕組みです。

形だけシートを用意しても、項目設計が曖昧だと「メモの寄せ集め」で終わってしまいます。重要なのは、最低限押さえておくべき項目を明確にし、誰が使っても同じ質の記録が残る状態をつくることです。ここでは、実務で本当に機能してきた5項目を紹介します。
これら5項目を揃えるだけで、1on1は驚くほど“実務に効く仕組み”に変わります。
「いつ、誰と、どの頻度で」行っているかは、振り返る際に非常に重要です。異動や兼務が発生する組織では記録の起点となります。また、実施間隔が空きすぎていないかを確認し、対話を可視化するための指標にもなります。
「業務の進捗」「キャリアの不安」などテーマを整理して残すだけで十分な材料になります。テーマが整理されていれば、後から「最近この話題ばかりだな」といった対話内容の偏りにも気づきやすくなります。
「表情が明るかった」「少し疲れている様子」など、主観で構いません。定量化できない情報を言葉で残しておくことで、数か月分の記録から変化の兆しや不調のサインに早く気づけるようになります。
誰が、何を、いつまでにやるか。「資料を見直す」といった小さな一歩で十分です。行動に落ちる形で合意しシートに残すことで、上司・部下双方に適度な緊張感と責任が生まれます。
上司側の宿題を明確にすることで、1on1が一方通行にならず、信頼関係が強化されます。また、フォロー事項を明示しておくことで「前回のあれ、どうなりましたか?」と次回の対話が自然に決まります。
これらのテンプレートは、完璧に使い分ける必要はありません。組織の成長フェーズや相手に合わせて組み替えて使うことが、1on1シートを形骸化させない最大のコツです。
まずは、どの企業・どの部署でもすぐに使える基本型の1on1シートです。初めて1on1シートを導入する場合は、まずこの形から始めるのが無難です。
実施日:__年__月__日
参加者:上司( )/部下( )
① 今回話したテーマ
・
・
② 部下の状態・コンディション
・表情・雰囲気:
・気になった点:
③ 決まったアクション(誰が/何を/いつまでに)
・
・
④ 次回までのフォロー事項(主に上司側)
・
箇条書きで十分です。「きれいに書く」より「続けて書ける」ことを優先してください。
目標管理と1on1を連動させたい場合は、進捗確認に特化したシートが有効です。評価面談とは切り分けつつ、「今どこにいるか」を確認するためのフォーマットです。
対象期間:__年__月〜__月
目標(OKR/MBO):
① 現在の進捗状況
・順調/やや遅れ/停滞
・理由:
② 課題・つまずいている点
・
③ 次回までのアクション
・部下:
・上司:
④ 次回確認ポイント
・
「未達を詰める」ためではなく、「軌道修正する」ために使います。
コンディション変化を早期に把握するためのテンプレートです。深掘りしすぎず、変化に気づくることを目的に設計します。
最近の体調:□良い □普通 □あまり良くない
最近の気分・モチベーション:□高い □普通 □低め
①ストレスを感じている要因(あれば):
・業務量/人間関係/評価/私生活/その他
②部下のコメント:
・
③ 上司としての対応・フォロー:
・
数値やチェックの「変化」を見ることが目的で、診断はしません。
新人・若手には、「できていないこと」より「できるようになったこと」を残す設計が重要です。スキルマップと組み合わせて使うことを前提にします。
対象期間:__年__月__週
① 今週できるようになったこと
・
② うまくいかなかったこと・困ったこと
・
③ 現在身につけようとしているスキル
・スキル名:
・進捗状況:
④ 次回までのチャレンジ
・
⑤ 上司からのフィードバック
・
成長を「感覚」ではなく「記録」で残すことが目的です。
1on1シートは、作っただけでは意味がありません。成果を左右するのは「どう運用するか」です。ここでは、現場で無理なく続けるための運用ルールを整理します。
1on1の記録には、評価やコンディションといった重要な個人情報が含まれます。デジタル保管の際はセキュリティ配慮が必須です。紙で運用する場合は、置き場所や持ち出し管理を徹底してください。
実際に私の会社でも、1on1シートを導入したことで、「言ったつもり」「聞いたつもり」による認識のズレが激減しました。
「何を話したか」「何を決めたか」「どこまで進んだか」を事実ベースで確認できるようになり、フィードバックが具体的な対話に変わりました。その結果、以下のような好循環が生まれています。
1on1シートは、日々の対話を丁寧に残し、信頼を積み重ねていくための実務ツールなのです。
1on1シートは、1on1を「その場限りの対話」から「成長につながる仕組み」へ変えるための実務ツールです。ポイントは、完璧な議事録をつくることではありません。次回の対話が少しでも前に進むための情報が残っていることです。
運用が形骸化しそうな時は、以下の項目だけに絞って継続することを優先してください。
・日時・参加者
・話したテーマ
・部下の状態
・決まったアクション(誰が/何を/いつまでに)
・次回までのフォロー事項
大切なのは、話す→記録する→振り返る、のサイクルを回して、対話を継続的なものにしていくことです。その積み重ねによって、1on1は部下の行動や変化を継続的に捉え、支援につなげるための実務として定着していきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。
2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。
経営危機を乗り越えた経験を生かし、コンサルティング業や、ラジオ・YouTube・コラムなど、各種メディアで発信中。
これまでに1700社以上を支援し、継続顧客割合は75%台。
地元宮崎でも地域振興に尽力し、延岡市立地促進コーディネーターや延岡デジタルクロス協議会人材支援委員長を務める。
2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。