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アンケート会社員300名を対象に実施したアンケートでは、リスキリングに取り組む人が学んでいるスキルの上位に「AI・生成AIの活用スキル」が挙がりました。しかし「取り組みたいができていない」と答えた人が49.0%に達し、その最大の理由は「何を学べばよいかわからない」(32.9%)でした。また今後5年のキャリアについて「副業・フリーランスも視野に入れている」が40.0%でトップとなるなど、会社員が自分自身のスキルと将来を真剣に考えていることがうかがえます。
ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotなど、現在は多くの生成AIが存在し、それぞれ得意分野や特徴が異なります。「なんとなく話題だから使ってみた」という状態を脱し、自分の仕事や目的に合ったAIを選べるようになることが、AIスキルを身につける第一歩です。
本記事では、アンケート結果をもとにリスキリングとAI学習の現状を整理したうえで、主要AIの違いをわかりやすく比較解説します。
目次
「AIを学んだほうがいい」とはわかっていても、何から手をつければよいかわからない──そんな状態の人は少なくありません。当メディアが会社員300名を対象に実施したアンケートでも、その実態がデータとして浮き彫りになりました。

リスキリングへの取り組み状況を尋ねたところ、「取り組みたいが、できていない」が49.0%と最も多く、「少しずつ取り組んでいる」34.3%、「必要性を感じていない・考えていない」8.7%、「積極的に取り組んでいる」8.0%という結果になりました。
実際に取り組んでいる人(積極的+少しずつ)を合わせると42.3%。一方で「意欲はあるが行動できていない」層が約半数を占めるという構図が浮き彫りになりました。リスキリングは「やりたい気持ちはある」が現実の壁に阻まれている、という状態が多くの会社員の実態と言えるでしょう。

リスキリングに取り組んでいると回答した方に、習得しているスキルの分野(複数回答)を聞くと、最も多かったのは「AI・生成AIの活用スキル」が30.7%、次いで「IT・デジタルスキル(プログラミング・データ分析など)」18.7%、「語学(英語など)」14.7%、「専門資格・国家資格」13.3%、「ビジネス・マネジメントスキル」11.3%と続きます。
AI・生成AIスキルが断トツの1位に挙がっている点は時代を象徴しています。IT・デジタルスキルと合わせると約5割を占めており、デジタル系スキルへの関心の高さが際立ちます。人事側が学び直しを促進する際も、「何を学ぶか」だけでなく「学んだことをどう証明し評価するか」という仕組みをセットで設計することが重要です。

「取り組みたいができていない」と回答した方に、その主な理由(複数回答)を聞くと、「何を学べばよいかわからない」が32.9%でトップ。「時間がない」24.1%、「モチベーションが続かない」15.9%、「費用がかかる」15.3%、「学んでも社内で活かせる場がない」6.5%と続きます。
最大の障壁が「時間」や「費用」ではなく、「何を学べばよいかわからない」という方向性の不明確さであることは注目に値します。会社員が学び直しへの意欲をもちながらも、自身のキャリアゴールと学ぶべきスキルを結びつけられていない状況が透けて見えます。
人事としては、研修制度の整備だけでなく、1on1やキャリア面談を通じた「個人の目標と学びの接続支援」に力を入れることが急務です。また、「AIを学びたいけど何から?」という疑問に答えるうえでも、まずはAIの種類や得意分野を知ることが出発点になります。次のセクションでは、現在広く使われている主要AIの違いをわかりやすく整理します。
「AI(人工知能)」という言葉は以前から存在していましたが、近年急速に普及しているのは「生成AI(ジェネレーティブAI)」と呼ばれる種類のAIです。従来のAIが「決まったルールに従って分類・予測をおこなうもの」であったのに対し、生成AIは「テキスト・画像・音声・コードなどのコンテンツを新たに生み出す」ことができます。
2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTは、誰でも自然な日本語で会話できるインターフェースを提供したことで、生成AIを一気に身近な存在にしました。「質問すると答えが返ってくる」「文章や企画書を作ってくれる」という体験は、多くの人にとって初めてAIを「使えるもの」として実感させるきっかけとなりました。
生成AIはアウトプットの種類によっておおまかに以下のように分類できます。
本記事では、会社員が日常業務で最も活用しやすい「テキスト系AI」に絞って、主要な4つのAIの違いを比較します。

「とりあえずChatGPTを使っている」という方も多いかもしれませんが、AIによって得意分野や強みは異なります。仕事の目的に合ったAIを選ぶことで、業務効率は大きく変わります。まず4つのAIの概要を比較表で確認しましょう。
| AI名 | 提供元 | 得意分野 | 主な利用シーン |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | OpenAI(米国) | 汎用テキスト生成・対話・画像生成(有料版) | 文章作成・アイデア出し・情報整理・コード生成 |
| Claude | Anthropic(米国) | 長文処理・文章品質・安全性 | 長文要約・報告書作成・丁寧な文章生成 |
| Gemini | Google(米国) | Googleサービス連携・最新情報アクセス | 検索連動・GmailやGoogleドキュメントとの連携 |
| Copilot | Microsoft(米国) | Microsoft Office連携 | Word・Excel・PowerPoint・Teamsへの直接組み込み |
ChatGPTは2022年の登場以来、世界で最も広く使われている生成AIのひとつです。文章作成・翻訳・要約・アイデア出し・コード生成など幅広い用途に対応しており、「まず何かAIを試してみたい」という入門にも最適です。
有料版(ChatGPT Plus)では画像生成機能(DALL-E)やウェブ検索機能も利用でき、GPTsと呼ばれるカスタムAIを作成・活用できる点も特徴です。
ClaudeはAI安全性の研究に注力するAnthropicが開発した生成AIです。最大の特徴は、非常に長い文章(数万文字規模)を一度に処理できる能力と、生成するテキストの品質の高さにあります。丁寧で読みやすい日本語文章を生成することが得意で、誤情報を断定的に伝えないよう設計されている点も特長のひとつです。
GeminiはGoogleが提供する生成AIで、GmailやGoogleドキュメント・スプレッドシートなどのGoogleサービスと深く連携しているのが最大の特徴です。Google検索と連動しているため、最新のニュースや時事情報にアクセスしながら回答を生成できます。Googleアカウントがあれば無料で利用できるため、すでにGoogleのビジネスツールを使っている企業にとっては特に親和性が高いAIです。
CopilotはMicrosoftが提供するAIアシスタントで、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなど、ビジネス現場で広く使われているMicrosoft 365のアプリケーションに直接組み込まれています。「Excelで関数を自動作成してほしい」「Teamsの会議を自動で要約してほしい」「PowerPointのスライドをAIに作ってほしい」といった用途に強く、日常業務に溶け込む形でAIを活用できます。
どのAIが自分に合うかは、普段使っているツール環境や業務内容によって変わります。Microsoft 365をメインで使っているならCopilot、Googleワークスペース中心ならGemini、文章品質や長文処理を重視するならClaude、まず幅広く試したいならChatGPTが入口として選ばれやすいでしょう。複数を使い比べることで、自分の業務に最も合ったAIが見えてきます。
AIスキルの習得は、業務効率化という即効性に加え、社員一人ひとりのキャリア形成にも長期的に役立ちます。アンケートからは、社員が自身のキャリアと学びをどう捉えているか、そして企業の支援実態についての重要なデータが見えてきます。

今後5年のキャリアについて尋ねたところ、「副業・フリーランスも視野に入れている」が40.0%でトップ。「現職でスキルを磨き、社内でキャリアアップしたい」は9.7%、「リスキリングを通じて異業種・異職種へ転換したい」は8.0%でした。
「副業・フリーランス視野」が4割を占めるこの結果は、会社員が自分のスキルを社外でも通用するかたちで高めたいという意識を持ち始めていることを示しています。
一方、社内でのキャリアアップを志す人が1割に満たないことは、企業側にとって厳しい数字です。社内でのキャリアパスが魅力的に見えていないことの表れでもあり、リスキリングを通じて「社内でも成長できる実感」をもてる環境づくりが急務と言えます。

勤務先のリスキリング支援状況については、「ほとんど支援されていない」30.7%、「まったく支援されていない」30.0%と、合計で60.7%が支援不足を感じていることがわかりました。一方「十分に支援されている(研修・費用補助など)」はわずか3.0%にとどまっています。
約半数が「取り組みたいができていない」状態であるにもかかわらず、企業の支援が届いていない現実が浮き彫りになりました。リスキリングは個人の自助努力に委ねられがちですが、それでは組織全体のスキルアップにはつながりません。
研修費用の補助、eラーニング環境の整備、学習時間の確保といった環境的支援と、方向性を示すキャリア面談の実施が、今後の人事施策において重要な位置を占めてくるでしょう。

国のリスキリング支援制度(給付金・補助金など)についての認知状況は、「まったく知らない」34.7%、「知っているが活用したことはない」30.7%、「名前は聞いたことがある程度」29.7%、そして「知っており実際に活用したことがある」はわずか5.0%という結果でした。
制度を「まったく知らない」または「名前だけ知っている」という層が合計64.4%を占めており、制度は整備されつつあるが現場への浸透はほぼ進んでいないという実態が明らかになりました。人事担当者としては、公的制度の情報を従業員に積極的に伝達するインフォメーション機能を担うことが、今後一層求められます。
今回のアンケートから浮かび上がったのは、「AIを学びたい気持ちはある、でも何から始めればいいかわからない」という多くの会社員の声です。リスキリングに取り組む人が学ぶスキルの筆頭にAI・生成AIが挙がっている一方で、約半数が「取り組みたいができていない」という現実は、個人の意欲だけでは解決しない問題を示しています。
AIごとの違いを知ることは、その「どこから始めるか」という問いへの最初の答えになります。ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotはそれぞれ得意分野が異なります。自分の業務環境や目的に合わせて1つ選び、まず使ってみることが学び直しの出発点です。
AIスキルの習得は、社員が社内でいきいきと活躍し続けるための力であり、企業の競争力を高める投資でもあります。「社員のために・自分の将来のために」という前向きな姿勢で、学び直しへの一歩を後押ししていきましょう。
| 調査名 | 転職・リスキリングに関するアンケート |
|---|---|
| 調査対象 | 企業で働く会社員300名 |
| 調査期間 | 2026年3月29日〜2026年4月12日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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