「キッズウィーク」という言葉を聞いたことはありますか?
「キッズウィーク」とは、地域ごとに夏休みなどの長期休業を分散化させることで、大人と子供が一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出しやすくするための取り組みをいい、平成30年度からスタートする予定です。キッズウィークの推進は働き方改革と表裏一体の、いわば休み方改革の推進でもあります。今回はキッズウィークについてご紹介します。
「働き方改革」という言葉は最近ニュースなどでも聞く言葉かと思いますが、今回ご紹介するキッズウィークは前に述べたように、働き方改革と表裏一体の休み方改革を推進するものだといえます。
大人と子供が一緒に過ごせる時間を増やし、家庭生活の充実や多様な活動機会の実現を目指すのがキッズウィークです。政府は2017年7月18日に1回目の「大人と子供が向き合い休み方改革を進めるための「キッズウィーク」総合推進会議」を開催し、キッズウィーク実現に向けた話し合いがスタートしました。
会議には安倍晋三内閣総理大臣をはじめ、関係省庁の大臣、さらには企業や経済団体、観光業団体、教育委員会、PTA連合会など各業界の有識者が出席しました。
キッズウィークが実現することで「大人と子供が一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出」することが期待されます。
また趣味に打ち込んだり、友人知人との絆を深めたり、さらには観光需要が平準化することによる雇用の拡大や、地域活性化の推進なども予想できます。これらのことを現実のものとするために、官邸主導で次のような対応策の実施が検討されています。
夏休みなどの長期休業を各学期の平日に分散化させる。
学校休業日の分散化に伴い労働者も休暇が取りやすくすることを目指す(有休取得率の向上)。
文化、スポーツ団体や企業に親子が一緒に楽しめるプログラムの提供を要請する。
「大人と子供が向き合い休み方改革を進めるための「キッズウィーク」総合推進会議」、「地域における休み方協議会(仮称)」、「観光ビジョン推進地方ブロック戦略会議WG」、「ロゴマークやキャッチフレーズによる盛り上げ」など政府と地域、民間が共同してキッズウィークの推進を図る
キッズウィークは「学校休業日の分散化と有給休暇取得で大人と子供が共にゆったりとした休日を!」という言葉を掲げ、大人と子供が一緒に休日を過ごすことを国民全体で盛り上げていこうとするものです。
キッズウィークでは大きく分けて次の3つを目指しています。
子供達が豊かな心、人間性を育むには家族や友人など多くの人とゆっくりと休日を過ごして絆を深め、趣味に取り組み、地域行事に参加することが重要です。休みの分散化はそれを促進する効果があり、家庭や地域の教育力向上につながると考えられます。
休みの分散化およびそれに伴う大人の有休取得によって、親子の時間が増え地域行事や体験活動、さらには旅行などさまざまな活動を行うことができます。子供にとっても、大人にとっても貴重な経験を得る機会となり、大人に関しては自身の働き方を見直す機会とすることで、より充実した休みの実現につながると考えられます。
年間を通して、さまざまな時期に休みが生まれることから観光需要も分散化され、ゴールデンウィークなど従来のハイシーズンにおける混雑が緩和、宿泊料金や飛行機チケットの低廉化が期待できます。それに伴い、雇用機会の創出や地域活性化などにも貢献することが期待できるのです。
ここまで読んで本当に実現できるのか?と思う方もいるかもしれません。
しかし、政府ではキッズウィーク推進に向けた体制とどういった取り組みを行うか、その方向性をはっきりと示しています。推進体制としては、国と地域の連携を図ることで実現に向けて取り組みを進めていきます。
たとえば、国は関係省庁との協議、有識者で構成される会議を開催し意見交換などを行い、地域は自治体、学校、商工会や商工会議所、NPOなど、実際にキッズウィークを行う際の関係者との協議を行います。
さらに、国と地域が協力してワーキンググループを構成し状況の共有を図ります。取り組み内容に関しては、政府として次の取り組みを掲げています。
キッズウィーク実施にあたって学校や企業、さらには観光業や各自治体などへの働きかけが必要です。また、各家庭によって事情が異なることも予想されます。政府としては、官民が連携することでこれらの関係各所との協議を行い、環境整備を目指していくこととなります。
今回は、多くの人の休み方を大きく変えるかもしれない取り組みである、キッズウィークについてご紹介しました。実施に向けた取り組みは始まったばかりですが、2018年からの実施を予定しています。
企業の労務担当者としては、その動向を見守りつつ、実際に実施されることになった場合に会社としてどのような対応をするか、考えておくことが重要です。また、会社にとって有休を取られると困る繁忙期などに有休取得が集中しないよう、対策を考える必要があるかもしれません。
大学卒業後、日本通運株式会社にて30年間勤続後、社会保険労務士として独立。えがお社労士オフィスおよび合同会社油原コンサルティングの代表。
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