業態転換とは? 概要や活用方法、事業再構築補助金を解説

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不確実性の高い経営環境を突破するためには、新規事業の創出、新市場への参入、縮小市場における既存事業からの脱却が必須となります。

中でも自社の技術力やブランド力を活かし、営業活動を変える業態転換は有効な経営戦略のひとつです。

ポストコロナ社会において、ICT活用を前提とした業態転換も活発になっており、行政も積極的に助成制度・補助金を提供しています。

この記事でわかること

  • 業態転換の概要と活用方法
  • 業態転換に活用できる助成金制度
  • 業態転換の成功事例
監修者
田坂 伸一

Growthix Capital 株式会社
https://growthix.co.jp/

国内最大のMBAスクールで運営するサーチファンド研究会監事。2011年大手ハウスメーカーへ入社。
注文住宅営業部門にて3年間住宅展示場営業に従事。その後、同社内にて資産家を対象とした相続対策・資産運用の商品提案・販売部門を設立・運営。2017年税理士法人系M&Aブティックに転じ、中堅・中小企業の後継者問題の解決と発展的事業承継のためM&Aアドバイザリー業務に従事。

業態転換とは

業態転換とは

業態転換とは、自社で提供している商品・サービスの取り扱いを変えずに、営業方法(販売方法等)を転換する経営戦略のひとつです。

店舗販売の比率を減らし、ECサイトでの販売比率を増やす、デリバリーサービスの強化などの施策が該当します。

近年では、ICT(情報通信技術)の活用を前提に業態転換をおこなう企業が増えており、既存事業の更なる成長や業績不振への打開策等の利益確保を目的とした取組みとして、採用されています。

業種と業態の違い

業態転換と混同されやすい経営戦略のひとつに業種転換があります。

業種とは、企業または個人が取り扱う商品・サービスの内容です。

建築業や製造業、卸売・小売業、情報通信業等に大きく分類できます。また、大分類された業種はさらに小さく分類されます。

業種転換は、取り扱っている自社の商品・サービス自体を転換するため、商品・サービスを変えずに営業方法のみを変える業態転換とは大きく異なります。

広義の意味では「全くの異業種に参入する」、「異業種に転換する」も同じ業態転換と定義されます

業態転換の活用方法

業態転換の活用方法

業態転換は、時代や消費者の購入経路の変化に応じて、おこなわれます。

業態転換では、新たな顧客層の開拓・獲得や利益率の向上(コスト削減)、迅速なマーケティング施策の実施などに活用できます。

一方で、店舗改装を伴う業態転換では設備入れ替えや従業員の再教育など導入までに時間と経費が必要な上、業態転換による新規顧客の開拓・獲得につながらない可能性もあります。

そのため、既存事業のテコ入れをおこなう際は綿密な経営計画を立案した上で実施しなければなりません。

業態転換を成功させるためには、企業が既に持っている技術力、営業力、高品質な商品・サービスの保有が前提となりやすく、ブランド力の維持も重要な要素となります

事業再構築補助金について

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築の支援を目的とした新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などに利用できます。

※時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受け、行政機関が指定する期間内で売上が減少した事業主(減少率は最新情報をご確認ください)

最新の事業再構築補助金については、経済産業省の事業再構築補助金サイトをご確認ください。

近年の業態転換ではICT活用が注目

従来の店舗型販売からECサイトへと移行する中堅企業も増えており、業態転換においてもICT活用が必要不可欠となっています。

ICTの活用は新たな顧客層(SNSを利用する20代~30代等)の獲得や地方創生にも効果的です。

一方で、業態転換では人件費や管理コストの削減が可能です。SaaSに代表されるようなクラウド管理システムによって、迅速な運営ができ、新規事業・既存事業を問わずに売上向上・利益確保が期待できます。

業態転換の事例について

業態転換の事例について

業態転換は新規事業への参入や市場が縮小する既存事業からの脱却を目指した経営戦略として、長い歴史を誇ります。

現在、日本経済を支える企業の中には業態転換により、新規事業の創出、既存事業からの脱却に成功した事例も数多く報告されています。

富士フイルム株式会社の化粧品事業への参入

富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)はデジタルカメラやカメラ付携帯電話(スマートフォン)の登場により、フイルム市場の縮小に対応するため、同社が持つ高い技術力(フイルム劣化を防ぐ抗酸化技術やレンズの開発技術)を用いて、化粧品・医薬品事業への業態転換を試み、成功に収めています。

株式会社ローソンによるコンビニエンスストアへの業態転換

株式会社ローソンは米国「ミルクショップローソン」が事業拡大に向けて、牛乳以外にも日用品の取り扱いを始め、1959年に買収が実施されて以降、現在のコンビニエンスストア運営システムとして機能し続けてきた歴史があります。

業態転換と相性が良いフランチャイズシステムもコンビニエンスストアへの業態転換が生み出した企業戦略といえます。

LINE株式会社によるコミュニケーションツールへの参入

LINE株式会社は、オンラインゲームコミュニティサイト「ハンゲーム」を運営する韓国企業NHNが日本で立ち上げた企業です。

NAVERやLivedoorなど検索サービスを手掛けていた企業を買収し、高い技術力の下、日常生活で利用できるメッセンジャーツールとして「LINE」を開発。

現在も重要なコミュニケーションツールとして機能しています。

業態転換:まとめ

業態転換は、企業の成長や危機から脱却に効果的です。

現在では、業務効率化やコスト削減の観点からも業態転換を実施する企業が増えています。

中でも中小企業の躍進(小規模企業者から中堅企業への成長)には、新たな顧客層の獲得など販路拡大につながりやすく、注目されている経営戦略でもあります。