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ピープルマネジメントとは?実施するメリットや注目されている理由を解説

ピープルマネジメントとは?メリットや注意点・導入方法を解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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時代の変化が目まぐるしい近年において、「ピープルマネジメント」という新たなマネジメント手法が注目を集めています。人事担当者のなかには、最近ピープルマネジメントについて耳にすることが増えた方も多いでしょう。

本記事ではピープルマネジメントが注目されている理由や実施するメリットについて解説します。

ピープルマネジメントとは?

ピープルマネジメントとは?

昨今、注目されているピープルマネジメントとは一体どういったものでしょうか。まずはピープルマネジメントの特長や、これまでのマネジメントとの違いについて見ていきましょう。

従業員個人に向き合うマネジメント

ピープルマネジメントとは、従業員のモチベーションやワーク・ライフバランス、価値観などを含めた個人の成功にコミットするマネジメント方法です。従業員一人ひとりに向き合い、ポテンシャルを最大限発揮させることで、組織として前に進むことを目的としています。

これまでのマネジメントとの違い

項目 従来型マネジメント ピープルマネジメント
評価軸 数値・成果中心 成長・価値観・プロセス
管理方法 一律管理 個別最適
コミュニケーション 指示中心 対話中心
目的 成果最大化 個人と組織の両立

これまでのマネジメントでは、従業員がもつスキルや経験などのデータを一元管理する手法や、パフォーマンスや数値を重視する手法が一般的でした。

しかし、時代の変化は早く、新たな価値観をもつ世代が登場し始めています。そのため、組織として円滑に活動するためには、従来の手法ではない新たなマネジメント方法を模索しなければなりません。

マネジメントの手法が変化するなかで、ピープルマネジメントは一人ひとりの成功に真摯に向き合うことで、異なる価値観や世代が合わさった組織でも成果を上げることを目指しています。

ピープルマネジメントが注目されている理由

なぜピープルマネジメントが注目されているのか?

ピープルマネジメントが注目されている理由は以下のとおりです。

ピープルマネジメントが注目されている理由

  • 転職や独立が一般的となったため
  • 会社・仕事に求められることが変化してきたため
  • 人手不足が深刻化しているため
  • テクノロジーが目まぐるしい発展を遂げているため

転職や独立が一般的となったため

従来の日本社会では、入社してから定年までひとつの会社で働き続ける終身雇用制度が一般的でした。しかし、昨今では従業員の転職が珍しいものではなくなりつつあります。

また、フリーランスや副業など、働き方も多様化してきており、会社としては優秀な従業員をいかに長く自社で働いてもらうかについて真剣に取り組む必要が出てきました。そこで、従業員一人ひとりに向き合い、エンゲージメント(自社への愛着心)を高めるピープルマネジメントが注目されています。

会社・仕事に求められることが変化してきたため

従業員が会社・仕事に求めていることが変化してきたことも、ピープルマネジメントが注目されている理由のひとつです。

新たな価値観をもつ世代が登場してきており、給与や福利厚生などの待遇以外にも、ワーク・ライフバランスや身につけられるスキル、仕事の意義など、人によって会社・仕事に求めていることが多様化しています。

従来の画一的なマネジメントではなく、従業員一人ひとりの価値観に合わせたマネジメントが会社やマネージャーに求められています。

人手不足が深刻化しているため

現在、日本では主に少子高齢化による人手不足が深刻化しています。

多くの業界・会社で人材の争奪戦となっており、従業員側が有利な立場に置かれることが増えてきました。そのため、会社側はこれまで以上に従業員にとって魅力的な職場環境を用意する必要があります。

従業員にとって良い職場環境を構築するために、従業員個人の成功を重視し、職場への満足度を高めるピープルマネジメントが注目を集めています。

テクノロジーが目まぐるしい発展を遂げているため

ピープルマネジメントが注目されている理由としては、テクノロジーが目まぐるしい発展を遂げていることも挙げられます。テクノロジーの発展によって、これまで人がおこなってきた仕事の一部が機械やAIに置きかわりました。

マネジメントにおいても、従業員がもつスキルや経験などのデータを可視化できるツールが登場しています。そのため、AIやツールでは対応できない、従業員のモチベーションやエンゲージメントを重視する人ならではのマネジメントが重視され始めています。

ピープルマネジメントの具体例

ピープルマネジメントは概念だけでなく、日常業務の中で実践されます。具体的には以下のような取り組みが挙げられます。

  • 週1回の1on1でキャリアや悩みをヒアリングする
  • 個人の強みに応じた業務アサインを行う
  • 成果だけでなくプロセスも評価する
  • ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を設計する

このように、従業員一人ひとりに最適化されたマネジメントを行う点が特徴です。

メンバーとの信頼関係を築ける

ピープルマネジメントを導入し、うまく活用することで、メンバーとの信頼関係を築けます。定期的な1on1や細やかなフィードバックなどを通じて、これまで以上にメンバー個人に向き合うこととなるからです。

信頼関係を築くことで、メンバーのモチベーションの向上や、ポテンシャルを最大限発揮させることに繋がります。

質の高いコーチングをおこなえる

質の高いコーチングをおこなえることも、ピープルマネジメントの導入で期待できる効果のひとつです。

ピープルマネジメントでは、これまでの成果主義的なマネジメントと異なり、数値以外にもさまざまな観点からメンバーの成功を目指します。メンバーの成功にコミットするためには、それぞれがもつ価値観や特性をしっかりと把握し、寄り添うことが必要です。

そのため、一人ひとりのメンバーに合った質の高いコーチングをおこなえます。

メンバーのエンゲージメント向上に繋がる

個人に寄り添うピープルマネジメントを導入することで、メンバーのエンゲージメント向上にも繋がります。従来のマネジメント手法では、どうしてもマネージャーとメンバーとの間に距離が生まれることがありました。

しかしピープルマネジメントでは、一人ひとりに親身に向き合うため距離が縮まり、結果として会社や組織への愛着心を表すエンゲージメントの向上に繋がります。エンゲージメントが向上すると、生産性や組織力の向上、離職率の低下などさまざまなメリットをもたらすことが期待できます。

離職率の低下につながる

ピープルマネジメントを導入することで、従業員一人ひとりの満足度やエンゲージメントが高まり、結果として離職率の低下につながります。

従来の一律的なマネジメントでは、個人のキャリア志向や価値観が軽視され、「評価されていない」「成長できない」といった不満が離職の要因になりがちでした。一方、ピープルマネジメントでは、1on1を通じてキャリアの方向性や悩みを継続的に把握し、個人に合わせた役割や目標設定を行います。

例えば、「マネジメント志向の社員にはリーダー業務を任せる」「専門性を高めたい社員にはスキル特化の業務をアサインする」といった対応が可能になります。このように、自分に合った成長機会が提供されることで、従業員は組織に対する納得感を持ちやすくなり、結果として離職の抑制につながります。


採用コストの削減につながる

ピープルマネジメントの実践により離職率が低下すると、新たな人材を採用する必要性が減少し、結果として採用コストの削減につながります。

一般的に、中途採用1人あたりのコストは数十万円〜数百万円にのぼるとされており、求人広告費やエージェント手数料だけでなく、採用工数や教育コストも含めると企業への負担は小さくありません。さらに、早期離職が発生した場合は、これらのコストが無駄になるリスクもあります。

ピープルマネジメントによって既存社員の定着率が向上すれば、こうした採用の回数自体を減らすことができます。また、社内のエンゲージメントが高まることで、リファラル採用(社員紹介)などの低コストな採用手法も活性化しやすくなります。

結果として、採用にかかる直接費用・間接費用の両面で効率化が図れます。


生産性の向上につながる

ピープルマネジメントは、従業員の主体性を引き出すことで、生産性の向上にも寄与します。

従来のトップダウン型のマネジメントでは、指示待ちの姿勢になりやすく、業務効率や創造性が十分に発揮されないケースも見られました。一方、ピープルマネジメントでは、個人の強みや関心を踏まえた役割設計や目標設定を行うため、「自分ごと」として業務に取り組む意識が高まります。

例えば、分析が得意な社員にデータ活用業務を任せたり、顧客対応に強みを持つ社員にフロント業務を担わせたりすることで、能力を最大限に活かすことができます。また、1on1を通じて業務上の課題を早期に解消できるため、無駄な手戻りやストレスも減少します。

このように、個々のパフォーマンスが最適化されることで、結果として組織全体の生産性向上につながります。


組織の持続的な成長につながる

ピープルマネジメントは、短期的な成果だけでなく、組織の持続的な成長にも大きく寄与します。

人材の定着率が高まり、継続的に育成が行われることで、組織内にノウハウやスキルが蓄積されていきます。特に、経験や知見が社内に残ることで、業務の属人化を防ぎつつ、再現性の高い成果創出が可能になります。

また、従業員が安心して意見を発信できる環境(心理的安全性)が整うことで、新しいアイデアや改善提案が生まれやすくなります。これにより、変化の激しい市場環境においても柔軟に対応できる組織へと進化します。

さらに、育成された人材が次の世代を育てる好循環が生まれることで、外部環境に左右されにくい強固な組織基盤を構築することができます。

ピープルマネジメントの導入の流れ

ピープルマネジメントを効果的に導入するためには、単に制度や施策を取り入れるだけでなく、段階的に組織へ浸透させていくことが重要です。ここでは、実務で押さえておきたい基本的な導入ステップを解説します。


1.現状の課題整理

まずは、自社のマネジメントにおける課題を明確にします。

例えば、「離職率が高い」「評価への不満が多い」「上司と部下のコミュニケーションが不足している」など、現場で起きている問題を洗い出すことが重要です。現状を把握せずに施策を導入してしまうと、課題とズレた取り組みになり、十分な効果が得られません。

従業員アンケートや面談結果、離職データなどを活用し、定量・定性の両面から課題を整理しましょう。


2.方針設計(評価・育成)

次に、ピープルマネジメントをどのような方針で運用するのかを設計します。

具体的には、「どのような人材を育成したいのか」「評価は何を重視するのか」といった軸を明確にします。従来の成果主義とどのようにバランスを取るのかも重要なポイントです。

例えば、「成果だけでなくプロセスや行動も評価する」「個人のキャリア志向に応じた育成を行う」といった方針を定めることで、組織全体の方向性が統一されます。


3.マネージャー教育

ピープルマネジメントの成否は、現場のマネージャーに大きく左右されます。

そのため、1on1の進め方やフィードバックの方法、傾聴スキルなど、実践的なスキルを習得するための研修が不可欠です。考え方だけでなく、「具体的にどう行動すればよいか」まで落とし込むことが重要です。

また、マネージャー同士での情報共有や振り返りの場を設けることで、運用のばらつきを防ぐことができます。


4.1on1の導入

ピープルマネジメントの中核となる施策が1on1です。

定期的に対話の機会を設けることで、メンバーの状態や課題を把握しやすくなり、適切なサポートが可能になります。ただし、単なる進捗確認ではなく、「キャリア」「悩み」「モチベーション」などをテーマにした対話を行うことが重要です。

頻度は週1回〜月1回程度が一般的ですが、組織の状況に応じて最適な運用を設計しましょう。


5.KPI設定・改善

最後に、施策の効果を測定するためのKPIを設定し、継続的に改善を行います。

代表的な指標としては、エンゲージメントスコア、離職率、1on1実施率、生産性などが挙げられます。これらの数値を定期的に確認し、改善点を洗い出すことで、施策の精度を高めていくことが可能です。

ピープルマネジメントは短期的な成果が見えにくいため、中長期的な視点で運用し、PDCAを回し続けることが成功のポイントです。

ピープルマネジメントを実施する際のポイント

ピープルマネジメントを実施する際のポイント

ピープルマネジメントを実施する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

ピープルマネジメントを実施する際のポイント

  • マネージャー陣にマネジメント研修をおこなう
  • 1on1を導入する
  • マネジメントの質を高める
  • アナリティクスツールを導入する

マネージャー陣にマネジメント研修をおこなう

ピープルマネジメントは、これまでのマネジメント手法とは考え方や目標が異なります。そのため、ピープルマネジメントを会社に浸透させるには、まずマネージャー陣に研修を実施することが重要です。

ピープルマネジメントとはどういったものなのかをマネージャー陣が理解することによって、メンバーに対して適切なマネジメントをおこなえます。

1on1を導入する

一人ひとりに向き合うピープルマネジメントでは、1on1を導入することが必要不可欠です。

一対一で話す機会が増えることによって、メンバーに対する理解が深まり、信頼関係の構築に繋がります。すでに1on1を導入している会社でも頻度を高め、メンバーと向き合う機会を積極的に増やしましょう。

マネジメントの質を高める

メンバーと向き合う機会を増やすことは重要ですが、ただ機会を設けるだけではピープルマネジメントの導入に成功したとはいえません。

次におこなうべきは、マネジメントの質を高めることです。対話するなかで見えてきたメンバーの課題や求めていることに対して、どうマネジメントしていくのかを経営層も交えて考えていく必要があります。

ピープルマネジメントは画一的なマネジメントとは異なり、明確な正解の方法が見えにくい手法です。そのため、試行錯誤を重ねながら進めていくことが重要となります。

アナリティクスツールを導入する

ピープルマネジメントを効率的に進めるアナリティクスツールとは、自社の従業員の属性・行動データを蓄積して分析するツールです。

多くの部下を抱える会社では、上司の数が圧倒的に足りず、部下のマネジメントに手が回らないことがあります。アナリティクスツールによって、自社組織の問題点を可視化し、より客観的にマネジメントがおこなえる点がメリットです。

ピープルマネジメントの注意点

ピープルマネジメントの注意点

ピープルマネジメントは時代に適した新たな手法ですが、一方で以下のような注意点もあります。

ピープルマネジメントの注意点

  • マネジメントの形式化
  • 定着までに時間がかかる
  • マネージャーの負担が増える
  • 評価が属人化しやすい
  • 効果が見えにくい

マネジメントの形式化

ピープルマネジメントを導入する際は、1on1やフィードバックが形式化しないよう注意しましょう。マネジメントの内容がともなわず、形式的になってしまうと、ただ時間を浪費するばかりで成果に繋がらない恐れがあります。

マネジメントの形式化を防ぐためには、まずマネージャー陣にしっかりと研修を実施し、そのうえで日々一人ひとりに最適なマネジメントを考えて実践していくことが重要です。

定着までに時間がかかる

ピープルマネジメントは、新たな手法であるため、会社に定着するまでに時間がかかる可能性があります。そのため、一気に会社の制度や方針を変えてしまうと従業員が着いてこられず、かえって組織に悪影響をおよぼす恐れがあります。

ピープルマネジメントを実施する際は、短期間での成果を求めず、従業員の様子を見ながら計画的に導入していきましょう。

マネージャーの負担が増える

ピープルマネジメントは個別対応が前提となるため、マネージャーの業務負担が増加しやすい点にも注意が必要です。

例えば、1on1の実施、個別の目標設定、フィードバックの作成など、従来よりも時間と労力がかかります。マネージャーのリソースが不足している状態で導入すると、かえってマネジメントの質が低下する恐れがあります。

対策としては、業務の見直しやツールの活用により、マネージャーの負担を軽減することが求められます。


評価が属人化しやすい

個人に寄り添うマネジメントである一方で、評価基準が曖昧になると、評価のばらつきが生じるリスクがあります。

マネージャーごとの判断に依存すると、「評価の納得感」が損なわれ、かえって従業員の不満につながる可能性があります。特に、評価制度と連動している場合は注意が必要です。

そのため、評価指標や判断基準をある程度標準化し、定期的にすり合わせを行う仕組みが重要となります。


効果が見えにくい

ピープルマネジメントは短期的な成果が数値に表れにくく、効果を実感しづらいという課題があります。

例えば、エンゲージメントや信頼関係の向上は、すぐに売上などの指標に反映されるわけではありません。そのため、導入初期に「効果がない」と判断され、施策が途中で止まってしまうケースもあります。

これを防ぐためには、エンゲージメントスコアや離職率などのKPIを設定し、中長期的な視点で効果を測定することが重要です。

まとめ

ピープルマネジメントが注目されている理由や実施するメリットについて解説しました。考え方や働き方が多様化した現代において、従来の手法とは異なり、従業員個人の成功に向き合うピープルマネジメントが求められています。

価値観や世代が異なる従業員を束ね、組織活動を円滑に進めるために、本記事を参考にピープルマネジメントの導入を検討してみましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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