この記事でわかること
- 人材マネジメントは企業目標達成に向けた戦略
- 組織力と従業員のエンゲージメント向上がメリット
- 効率的な人材活用にはフレームワーク作成が重要
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人材・組織この記事でわかること
競合他社との差別化を図り、業績を高めるうえで人材マネジメントは欠かせません。
近年では人材マネジメントを重要視する企業も多いですが、誤った手法を用いると逆効果になる恐れもあります。
本記事では、人材マネジメントの基礎やメリット、ポイントなどを紹介します。
自社で人材マネジメントに課題を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
人材マネジメントとは、企業の目標達成を目指して、人材を有効的に活用する人事戦略です。
例えば、人材を採用・教育したり、適切な部署に配置させたりすることなどが該当します。
うまく人材マネジメントをおこなうことで、パフォーマンスや生産性の向上が見込め、企業の目標達成に期待できます。
現代の日本社会は、少子高齢化の影響で人材不足が課題となっています。
限られた人材で企業を成長させるためには、個人パフォーマンスの最大化が不可欠です。そのため、人材に合った育成方法を検討できる人材マネジメントが重要視されています。
また、終身雇用が当たり前だった昔と違って、現代は副業やテレワークなど、多種多様な働き方があります。
多様化する働き方に合わせられるよう、人材マネジメントを見直すことが大切です。
人材マネジメントを構成する要素は、主に以下の6つです。
・採用
経営戦略を踏まえて、自社が欲しい人材を可視化します。自社に合った人材を採用できれば、企業価値や優位性を高められます。
・教育
人材に合った育成プログラムを施します。新入社員の研修やOJTを駆使して、人材のスキルアップを図れる内容を計画することが大事です。
・評価
人材の業績に合わせて、人事評価をします。納得できるように昇給・昇格などをおこなうことで、人材のモチベーション維持につながります。
・報酬
人材の労力に見合った給与や福利厚生を与えます。インセンティブも報酬に該当します。評価と合わせて適切な報酬を与えることで、パフォーマンス最大化や定着率アップなどのメリットがあります。
・配置・異動
適材適所に人材を配置・異動させます。パフォーマンスを発揮できるように、定期的に配置場所の見直しをおこないます。
・福利厚生
育児休暇や休職など、働きやすい環境を整えます。他社にはない独自の福利厚生を実施すれば、より長く定着してくれるでしょう。
どの要素も、人材マネジメントにおいて欠かせないものばかりです。
全要素を含めて、高い効果が期待できる人材マネジメントをおこないましょう。
さまざまな企業が人材マネジメントを重要視する理由は、以下2つのメリットがあるためです。
各メリットについて順に見ていきましょう
人材マネジメントをおこなうことで、各人材に合った育成プログラムを計画したり、適材適所に配置できます。
また、一度採用した人材が競合他社に流れず、定着率の向上にも期待できるでしょう。
その結果、企業の組織力が全体的に高まり、業績アップにつながります。
人材のエンゲージメント向上に期待できるところも、人材マネジメントをおこなうメリットのひとつです。
自社に合った福利厚生や人事評価体制を整えることで、人材はモチベーションを維持しつつ、成長意欲を刺激できます。
優秀な人材が長く務めてくれるようになることは、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
人材マネジメントシステムを構成する際は、以下3つのポイントを押さえましょう。
これら3つのポイントを意識して、適切に人材マネジメントをおこないましょう。
人材マネジメントシステムを構成するうえで最も重要なことが、「経営戦略の明確化」です。
業績アップや企業の成長を目的に、手段のひとつとしておこなう戦略が人材マネジメントとなります。
そのような人材マネジメントが経営戦略と方向性が違っていると、見当違いの施策をおこなう可能性が高くなり、期待した効果を得られません。
まずは経営戦略を明確にして、どのような人的課題があるのかを分析し、人材マネジメントを活用することが大切です。
経営戦略の明確化で現状の人的課題を把握したあとは、自社にいる人材情報をまとめましょう。人的資源を可視化することで、具体的な人材マネジメントを立案できます。
例えば、現状の人的資源でクリアが見込めそうなら「育成」や「人材配置の洗い出し」を、人材不足が原因だと判明した場合は「採用」に力を入れるといいでしょう。
人的資源を可視化するなら、タレントマネジメントシステムの利用がおすすめです。システムで集めた社員データを分析すれば、人材マネジメントに役立ちます。
人的資源の在り方を考えることも、人材マネジメントシステムを構成する際に重要となります。
どれだけ良い人材をそろえても、パフォーマンスを発揮できない部署に配置しては能力を活かせません。
また、人材を採用しても育成・評価体制が整っていなければ悪循環に陥る恐れがあります。
当初の目的を達成できるように、適切な人材配置や体制を整え、人材マネジメントを実行しましょう。
人材マネジメントをおこなう際、どのような人・場合でも対応できるように、フレームワークを作成しておくことをおすすめします。
ただ、企業によって抱える人的課題が異なり、共有して利用できるフレームワークはありません。そのため、自社に合ったフレームワークを自作することが必要です。
自社に合った人材マネジメントのフレームワークを作成する時は、3つの考え方を意識しましょう。
人材マネジメントのフレームワークが企業の目標とズレが生じていると、目標達成の見込みが薄くなります。
企業目標との方向性が合っていれば、フレームワークの共有により、適した人材が育ちます。また、従業員が働きやすい環境となりやすいです。
自社の目的に沿った人材マネジメントのフレームワークを作成するために、将来の人材像に合わせ、逆算して計画を立ててみましょう。
企業目標と人材マネジメントの方向性を合わせた状態で、「目標を達成させるために何をすればいいのか」を従業員に考えてもらい、目標を立てられるようなフレームワークを作成します。
経営者側が立てた目標より、自分で立てた目標の方がモチベーションは高まるものです。
仕事に対するやる気が上がり、結果的に企業目標の達成に近づきやすくなります。
一度作成した人材マネジメントのフレームワークは、同じ効果でずっと利用できるわけではありません。
時間が経つにつれて自社の課題や目標は変化し、当初作成した人材マネジメントのフレームワークが通用しなくなるケースは多いです。
新たな人的課題や時代の流れに合わせて、人材マネジメントのフレームワークも柔軟に変えていきましょう。
ここでは、他企業がおこなった人材マネジメントの事例をまとめています。
自社で人材マネジメントを実践する前に、具体的な施策や結果などを把握しておくといいでしょう。
東京ディズニーランド・リゾートでおなじみの『株式会社オリエンタルランド』は、人材マネジメントの一環として「ファイブスタープログラム」という制度を実施しています。
ファイブスタープログラムは、キャストの良い言動を見た上司がその場でカードを渡して称える制度です。
カードをもらったキャストはモチベーションが向上し、より質の良い仕事をおこなうようになり、その結果、顧客サービス満足度が高まり、来客数の増加に期待できます。
人材マネジメントを取り入れたことが功を奏して、東京ディズニーランドやリゾートにいる従業員のおもてなし技術が高いのでしょう。
グローバル化を進める『楽天株式会社』は、さまざまな人材の採用・育成・定着などの課題を抱えていました。
この課題を解決すべく、おこなった人材マネジメントが「人事データ統一基盤の刷新」です。結果として、人事データの把握が容易になり、多国籍の人材も適材適所に配置できるようになりました。
楽天本社と海外グループの人事システムが異なると、同じやり方でもミスコミュニケーションが生じやすくなります。
グローバルイノベーションカンパニーを目指す『楽天株式会社』にとって、おこなった人材マネジメントは目標達成までの大きな一歩となったでしょう。
今回は、人材マネジメントの基礎やメリット、ポイントなどについて紹介しました。
人材マネジメントとは、企業の目標達成に向けて、人材を有効的に活用する人事戦略のことです。企業の組織力や人材のエンゲージメントが向上して、限られた人材で目標達成に期待できます。
人材マネジメントシステムを構成する際は「経営戦略の明確化」「人的資源の可視化」「人的資源の在り方」が重要です。フレームワークを作成すると、より効率的な人材マネジメントが実施可能となります。
本記事を参考にして、ぜひこの機会に人材マネジメントをおこない、競合他社に負けない組織を作りましょう。
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