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売上1,000万円以下の中小規模事業者への影響

アウトソーシングとは?BPOや人材派遣との違いを、対象業務・メリットでご紹介!

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること

  • アウトソーシングをおこなうことで、自社にどんな利益があるか
  • アウトソーシングに適した具体的な業務内容
  • アウトソーシングで知っておきたいリスク
  • アウトソーシングの新たな契約形態について

近年、アウトソーシングを活用する企業が増えています。アウトソーシングはBPOや人材派遣と似ている経営手法でもあり、その違いを明確にしておくことは経営戦略を立てるうえでも重要となります。

今回はアウトソーシング・BPO・人材派遣の違いや、その対象業務、活用するうえでのメリットをご紹介します。

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、自社でおこなっていた業務全体またはその一部を外部の企業やスタッフに切り出し、対応を依頼する手法です。対象の業務は企業内で対応するのではなく、社外の人材や専門企業に委託します。業務の依頼を受けた業者(アウトソーサー)は、委託された業務を成果物として納品する役割を担います。

アウトソーシングは選択と集中の経営戦略のひとつでもあり、コスト削減や業務効率化、品質向上を実現できます。

BPO、人材派遣との違い

アウトソーシングとBPO、人材派遣は似ている手法ですが、内容には大きな違いがあります。業務そのものを外部に委託するか、代行する人員を供給するかという点も比較検討する要素でもあります。

アウトソーシング BPO 人材派遣
ビジネスモデル アウトソーシング会社が委託された業務を遂行する 業務の遂行に加え、業務全体をひとつのパッケージとして請け負い、課題を解決する 派遣会社が人材を派遣する 派遣会社が人材を派遣する
対価が発生するタイミング 業務の遂行と成果物の納品 アウトソーシングに同じ 人材の派遣と派遣先での労働
スタッフとの雇用契約 アウトソーシング会社との雇用契約 アアウトソーシングに同じ 派遣会社との雇用契約
スタッフへの指示 アウトソーシング会社が指示する アウトソーシングに同じ 派遣先企業が指示する

アウトソーシングは人手不足で業務が回らないときや、特定の作業を任せたいときに有効な手段です。

BPOはアウトソーシングの一部であり、必要な業務や部署に対して、外部業者が業務を請け負い、対応する点ではアウトソーシングと同じ定義となります。

しかし、BPOの場合、業務の代行に加えて経営戦略の一環として業務全体を請け負い、業務効率化なども課題として取り組みます。そのため、BPOはコンサルティングを兼ねた経営戦略のひとつともいえます。

業務を依頼するアウトソーシングに対し、人材派遣は「業務をおこなう人員の提供」を依頼します。人材派遣は不足した人員の補充を第一の目的としています。派遣先で業務を完結する必要がある、派遣先の管理職とのやり取りが必要といった場合に有効な手段です。

アウトソーシングの対象業務とメリット

アウトソーシングの対象業務とメリット

アウトソーシングとBPO、人材派遣では、それぞれ最適な業務が異なります。アウトソーシングに適した業務は提携業務や重要度が低いノンコア業務、高度な専門知識や技術が必要となる専門業務が多いといえます。ここでは、アウトソーシングに最適な業務や活用するメリットをご紹介します。

インソースとアウトソースとは

アウトソーシングを実施する際は、インソース(内製化)についても考慮しなければなりません。

インソースとは、アウトソーシングしていた業務を自社で再び業務を引き取り、自社の人材で実務をおこなうことです。

業務効率化では、専門性の高い業務をアウトソーシングすることで、相対的なコスト削減につながりますが、すべてアウトソーシングをおこなっていては、費用対効果が薄まります。

そこで、新たにアウトソーシングを実施する際は、既にアウトソーシングをおこなっている業務のうち、インソースできる業務を洗い出し、業務内容の整理・可視化をおこなうことが大切です。

一般的にインソースとアウトソーシングできる業務は、以下の業務に分類できます。

インソースとアウトソーシングの業務分類
インソース アウトソーシング
専門業務 一般業務
コア業務 ノンコア業務
戦略的業務 非戦略的業務

専門業務、コア業務、そして戦略的業務はインソース(内製化)が望ましいといえます。
高度な知識・経験・判断力を有する人材が管理・推進していき、自社の実績や利益向上に責任を持ちます。

こうした事業戦略に関わる業務は社外秘にもなりやすく、一方で専門業務はノウハウの蓄積につながり、企業の資産につながります。

一方で、定型化できる一般業務やノンコア業務、利益を直接生み出さない業務はアウトソーシングを活用した方が費用対効果は高いといえます。

アウトソーシングの対象業務

従来のアウトソーシング業務は、パートタイムやアルバイトでも対応できるような単純作業がほとんどでしたが、近年では業務範囲も広がり、内制コストが割高な専門分野を外部業者に委託する企業が増えています。

社内ネットワーク環境の構築やシステムの設定・運用・保守といったIT業務、コールセンター、営業に必要な提案資料作成、テレアポによる見込み顧客の開拓、工場での商品製造、福利厚生、給与計算や労務管理、経理や会計の事務処理、人材採用など、職種や業務内容は多岐に渡ります。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングのメリットには、業務効率化や企業競争力の強化といった経営側のメリットが多いといえます。特に管理部門を想定した場合のメリットが多く、以下の効果が期待できます。

項目 具体的な効果
業務効率化 管理部門で煩雑になりがちな書類作成・管理など事務作業を軽減
企業競争力の強化 社員の教育が不要、パソコンやシステムに関する専門知識をもつ人材によって、自社にノウハウがなくても質の高い業務遂行ができる
品質向上 その業務の専門家に依頼することで、品質を維持しながらリスクを回避し、最短で仕事が仕上がる
組織のスリム化 自社の人材をアウトソーシング会社に転籍させることで、親会社は人員の最適化やコスト削減を実現できる

アウトソーシングは社内の事務作業と人件費の削減に加え、業務品質の向上や業務効率化の実現により、注力すべき事業に人員や資源を集中させることができます。本来集中すべきコア業務に尽力することは、企業の成長が迅速に促進します。

アウトソーシングにおける注意点

アウトソーシングを実施する際は、以下に注意する必要があります。

アウトソーシングは、業務効率化や費用の削減、迅速な業務遂行などの利点がある一方で、社内ノウハウが蓄積できないデメリットもあります。

自社の基幹業務を支える周辺業務においても、全体最適を考慮した際、アウトソーシングを内製化した方が費用対効果は高い場合もあります。

また、社内にノウハウがないため、アウトソーシング先が提示する委託料金の相場が見えにくいというリスクもあり、適正価格で業務を委託できているかの判断ができないことも
少なくありません。

さらにアウトソーシングの中には社外秘である内部情報を取り扱う機会もあります。外部へと情報が漏れた際、社会的信用の低下など大きな損害が発生する可能性も考慮して、アウトソーシングの導入を検討しなければなりません。

アウトソーシングかBPOか、その判断基準とは

アウトソーシングかBPOか、その判断基準とは

BPOはアウトソーシングの一部ですが、経営戦略の一環として業務全体をひとつのパッケージとして請け負う点がアウトソーシングとは異なります。BPOは業務遂行だけでなく、効率化や標準化といった企業が抱える課題の解決に取り組み、同時進行で全体最適の効果を生み出すことを目指します。

アウトソーシングとBPOのどちらを選択するかは、依頼する業務の目的で判断します。

判断軸 BPO
業務の見直し・コスト削減が必要 BPO
改善策の策定・提案・実行 BPO
繁忙期・人手不足 アウトソーシング
継続的に利用する BPO
定型作業の実施 アウトソーシング
プロジェクト単位 BPO

定型作業のみ依頼をおこなう場合はアウトソーシングが最適です。企業の業務効率化やコスト削減、課題解決のために業務全体を俯瞰して判断し、改善策の策定・提案・実行が必要な場合はBPOを選択しましょう。BPOは業務を代理で遂行するだけではなく、経営の目線で課題を捉え対応する点が、作業のみを委託するアウトソーシングとの違いです。

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アウトソーシング以外の新たなソーシング

アウトソーシング以外の新たなソーシング

現在、インターネット技術の向上と新たなビジネスモデルの創出により、新たなソーシングが登場しています。

新たなソーシングの登場

  • コ・ソーシング
  • マルチソーシング
  • クラウドソーシング
  • オフショアソーシング

新たなアウトソーシングのあり方

現在では、受託企業と受託企業が対等な立場でアウトソーシングをおこなうコ・ソーシングなど新たなアウトソーシングの形態が登場しており、経営戦略上、柔軟なアウトソーシングを選択する企業が増えています。

コ・ソーシングとは

コ・ソーシングとは、アウトソーシングにおいて、受託企業と受託企業が対等の立場で作業をおこない、利益配分をおこなう契約形態です。

依頼する業務を全体的に委託するアウトソーシングとは異なり、受託企業はインソース(内製化)を同時に進める点が特徴的です。

また、受託企業のノウハウを得られるため、アウトソーシングのデメリットであるノウハウ蓄積機会の損失を防げます。

アウトソーシングは受託企業のコスト削減のみを追求しますが、コ・ソーシングでは想定を上回る利益が上がった場合、受託企業と受託企業で折半して配分するため、企業間の戦略的提携の一種として活用しています。

マルチソーシングとは

マルチソーシングとは、業務ごとに最適な受託企業を選定することで、複数の受託企業と契約を結ぶアウトソーシングの形態です。

業務ごとに最適な受託企業を選定することで、適切な統括管理がおこなえ、管理能力・コスト削減の意識低下を防ぐことができます。

クラウドソーシングとは

クラウドソーシングとは、インターネット上で不特定多数の企業または個人に業務を発注する形態です。

依頼主は人材採用・制作コストを削減でき、受注主は専門的なスキルを活かし、裁量をもって業務に取り組めます。

条件交渉や打ち合わせは、インターネット上でおこない、成果物によって報酬を得る業務委託契約のような形態で業務を発注できます。

グローバルソーシングとは

グローバルソーシングとは、システム開発や運用を人件費が安い海外から受託企業を選定し、アウトソーシングをおこなう概念です。

中国の改革開放やインドの経済自由化、東南アジアの経済発展を後押しに、システム開発に限らず、さまざまな業務について、世界中から最適な受託企業を選定できます。

グローバルソーシングを活用することで、コスト削減や業務効率化、海外進出など幅広い効果が期待できる一方で、国内の業務空洞化や品質のばらつき、情報セキュリティの課題への対策が必要です。

アウトソーシング:まとめ

アウトソーシングとは、自社でおこなっていた業務全体またはその一部を外部の企業やスタッフに業務を依頼し、業務効率化やコスト削減を図れます。

人事・労務管理といったバックオフィス機能が対象になりやすい一方で、IT開発など高度な専門業務もアウトソーシングが可能です。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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