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選択と集中は今後に必要?時代遅れで古い?メリット・デメリットとは

選択と集中は今後に必要?時代遅れで古い?メリット・デメリットとは

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1990年代後半から2000年代にかけて注目されるようになった、経営改革キーワードの『選択と集中』。

「導入に成功した企業より失敗した企業のほうが多い」と揶揄されることもありますが、現在もなお経営戦略のひとつとして活用されています。

これからの時代を生き抜くために選択と集中は企業にとって本当に必要なのか、メリットとデメリットと併せて解説します。

この記事でわかること

  • 選択と集中という経営手法の歴史と成功事例
  • VUCA時代と「選択と集中」の相性
  • VUCA時代に求められる具体的な経営姿勢
監修者労務SEARCH 編集部

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選択と集中とは?

特定の事業に経営資源を集中させる経営手法

選択と集中はこれからの時代に必要か?多角化との違いやメリット・デメリットを解説!

経営における「選択と集中」とは、自社の強みや領域を選び、そこに資金や人材などの経営資源を集中的に投入することで、業績アップや経営効率化をはかる経営手法を意味します。

「本業以外のビジネスに手を広げてきた企業が本業に集中する」ことを指しており、多角化経営の対義といえる経営理念です。

▼企業経営における「選択と集中」の対象事業評価マトリクス図
「選択と集中」の考え方を表す事業選択マトリクス

【引用】一般社団法人日本建築学会 AIJ 建築雑誌

複数の事業分野へ経営資源を分散している企業が、自社が競争優位性を獲得できそうな事業の見極めと選択を行い、経営資源を集中することによって競合差別化をはかる場合に用いられます。

ジャック・ウェルチ氏が提唱した言葉

「選択と集中」は、1981年から2001年の間、ゼネラルエレクトリック社(GE)のCEOを務めたジャック・ウェルチ氏が、現代経営学やマネジメントの発明者とも呼ばれる経営学者のピーター・F・ドラッカー氏の助言を受け、生まれたとされています。

ウェルチ氏は世界市場で1位か2位を確保できる得意分野の事業のみを残し、それ以外の事業は黒字でも売却または廃止する「選択と集中」を実施し、GE社の売上と利益を6倍以上伸ばすことに成功しました。

日本では1990年代後半にウェルチ氏の著書がベストセラーになり、経営改革のキーワードとして「選択と集中」という言葉が広まりました。

ウェルチにより「選択と集中」は多角的経営を否定し、大規模な人員整理と解雇を行うことがワンセットになると日本でも浸透しています。

選択と集中は英語で言うと?

英語表記での「選択と集中」とその直訳は、以下のとおりです。

英語表記と日本語訳
英語 Selection and Concentration Concentration in Core Competence
日本語訳 選択と集中 コアコンピタンス
(企業の中核となる強みのこと)への集中

「選択と集中」という日本語訳は間違いだった?

しかし、著書の中でウェルチ氏が発したのは「Focus(焦点をあてる)」であり、多角化の否定やリストラ推進を行うことではなかったとの説も浮上しています。この点は今も議論されています。

選択と集中と「多角化経営」の違い

冒頭で「選択と集中は多角化経営の対義といえる経営理念」とお伝えしましたが、そもそも『多角化経営』とはどのような経営理念なのでしょうか。選択と集中との違いについて見ていきましょう。

多角化経営とは

「多角化経営」とは、企業が新たに経営分野を拡張することで市場開拓や製品開発などを行い、収益を増やす経営戦略です。

事業分野を広げるためコスト増加や組織の拡大化により、マネジメントが難化するリスクも持ち合わせています。

本業を中心として多角化する方法や、本業は持たず相互に関連した事業展開を行う方法、異業種の企業を吸収合併するなど形態は多様です。

事業 人員 経営資源 事業分野
選択と集中 削減 削減 集中 主力事業のみ
多角化経営 拡大 増加 分散 多種多様

対して「選択と集中」とは、余分な人員や事業を削減し、自社が選択した領域に経営資源を集中投下するため高い成果を得られる経営戦略です。

経営効率を上げることを期待できますが、うまくいかなかった場合は破綻する可能性もあります。

選択と集中のメリット・デメリット

選択と集中の期待できる効果やメリット、失敗の原因ともなるデメリットは、以下のとおりです。

選択と集中が企業の成長を妨げる?失敗の原因とは

選択と集中は、結果的に経営のスリム化やチャレンジを封印するものとして認識されています。なぜ選択と集中が企業の成長を妨げるのか、その原因をご紹介します。

ハイリスクハイリターンであるため

選択と集中を実施したことにより成功しているニッチャー企業も見られますが、それ以上に失敗している企業も少なくありません。

事業分野を特定して先鋭化させると、外部からの影響にも大きく左右されるため、ハイリスクハイリターンの経営になる可能性が高まります。

▼「選択と集中」の程度とリターンとの関係

「選択と集中」の程度とリターンとの関係

【引用】「選択と集中」は本当に正しいのか?┃日本総研

長期的視点の欠如

得意分野の事業のみ行っていれば、ニッチャー企業として短期的に高収益を得る可能性が高まりますが、何十年も長期的に継続することは難しいといえます。

企業は将来にわたって存続することが求められており、主力事業で収益を上げるとともに次の事業への投資も必要です。しかし、新たな事業は必ずしも成功するとは限らず、収益を得られない可能性もあります。

事業の失敗や収益の低下と、一見不採算事業に分類されることがあっても、企業を永続していくためには必要な投資であり、経営が好調な段階に実行しなくてはなりません。

選択と集中には、このような長期的視野がないことから、企業の成長を妨げると考えられています。

選択と集中の成功事例

選択と集中による経営戦略は、事業の縮小や大規模な人員整理を伴いますが、雇用を重視する日本では迅速な人員削減が難しく、選択と集中を実行したとしても売り上げが落ち、マイナス効果が大きいとされていました。

しかし、この難問に回答を出したのがキヤノン株式会社(以下、キヤノン)の御手洗現・会長兼社長(日本経済団体連合会名誉会長)です。

キヤノンの成功事例をもとに、選択と集中においてどのような人員配置が理想的であるか考察してみました。

キヤノン株式会社の「選択と集中」成功事例

キヤノンの御手洗社長は伝統的な終身雇用を守りながら、液晶ディスプレイ事業やパソコン事業などの赤字部門を撤退し、採算事業のカメラ事業やプリンター事業、半導体製造装置事業などに経営資源を注力して「選択と集中」を成功させました。

人員整理を行わない代わりに年功序列制度は廃止し、組合に成果主義の賃金体系を認めさせ、リストラや退職勧奨ゼロの「選択と集中」を実現させました。

御手洗社長が実施した「選択と集中」は、キヤノンを3期連続の純利益最高記録更新へと導くことに成功し、日本きっての経営者として知られるようになりました。

厳しい経営環境でも社員の雇用を守るため、御手洗社長の講じた主な施策が以下です。

7つの不採算部門を市場から撤退

730億円の売上減と同時に260億円の赤字削減。利益を生み出す事業だけを残し、経営も健全化。

福利厚生の縮小

フレックスタイム制度の廃止、休日削減、独身寮・社宅補助の廃止、諸手当の一部廃止などを実施。

社員の意識改革

社員へ全体最適と利益優先を徹底。そのために実行できる仕組みづくりを開始。

横の壁をなくす仕組みづくり

生産システムの改革や物流の効率化など、全社にまたがる課題を解消するため経営革新委員会を設立。

生産部門にセル方式を導入

粗利益を上げるために生産部門にセル方式を導入。生産効率は大幅アップし、3万6千人もの生産要員をほかの部署へ移動。

87万平米の生産スペースが空き、在庫削減にも貢献。

社員の配置転換

アナログからデジタルへの転換期で開発者のニーズも高かったことから、不採算部門の社員を配置転換。

【引用】日本のリーダーが語る世界競争力のある人材とは?┃ 一橋大学

VUCA時代に求められる経営姿勢

VUCA時代とは

高度経済成長期から成熟期へと転換期を迎えた1980年代は、主力事業に代わる新たな分野の事業育成が求められました。

多くの企業が多角化経営に進み、競合企業の後塵を拝したことで経営不振に陥り「選択と集中」を重視するようになりました。

しかし現在は「VUCA(不確実性の高い)の時代」といわれており、従来の「選択と集中」で成果を出せるか疑問視されています。

VUCA時代とは

VUCA時代の「VUCA」とは、以下の頭文字をつなげた言葉です。

  • Volatility(変動性・不安定さ)
  • Uncertainty(不確実性・不確定さ)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

現代社会を取り巻く環境は複雑性を増しており、世界規模で変動が激しく、イノベーション誕生サイクルが高速化しているため、未来の予測が困難であることを指しています。

テクノロジーの進化は目まぐるしく、顧客ニーズも多様化し、先行きが見通せないことから「VUCA時代」と称されています。

M&Aによるコングロマリット化

コングロマリットとは、異業種の会社を合併・買収し、多種の事業を営む企業体を指します。高度経済成長期や新興企業は、コングロマリット化をはかることで巨大化してきました。

現在、世界経済の潮流はコングロマリットといわれており、企業が成長するにあたって必須の戦略といえます。

効率よくコングロマリット化を進めるためには、M&Aが適しているとされています。一度限りのM&Aではなく、時代や環境の変化に合わせながらコングロマリットを何度も繰り返すことが必要です。

まとめ

選択と集中とは、企業の得意とする事業分野を絞り込み、そこに経営資源を集中投下する経営手法です。

しかし選択と集中は、経営のスリム化やチャレンジを阻害する経営手法とも認識されており、企業の成長を妨げる原因となるおそれもあります。

今後、企業が持続可能な成長をするためには、M&Aによるコングロマリットが必要でしょう。

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