労務SEARCH > インタビュー > 人事労務の負担はこうして減らす!jinjerに学ぶ業務効率化のヒント
jinjer株式会社様インタビュー

人事労務の負担はこうして減らす!jinjerに学ぶ業務効率化のヒント

監修者:労務SEARCH 編集部
詳しいプロフィールはこちら

人事関連の法改正や働き方の多様化、急速なDXの進展により、企業の人事労務業務は10年前と比較して大きく変化しています。複数システムの使い分けや膨大な定型業務への対応など、担当者の負担は増す一方です。

そこで今回は、jinjer株式会社でPMMを務める上杉さんに、近年の人事労務業務における課題や業界の動向に加えて「ジンジャー」の導入事例や効果的な運用のノウハウなどについてもお話をお伺いしました。

法改正に働き方の多様化…10年で複雑化した人事労務業務

—まずは、御社の事業内容とクラウド型人事労務システム「ジンジャー」の提供背景について教えてください。

上杉さん
jinjer株式会社は、企業向けにクラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供している会社です。ジンジャーは、人事労務、勤怠管理、給与計算といった人事総務の基幹業務をはじめ、評価やデータ分析、サーベイを通じたタレントマネジメント業務にまで対応しています。

これにより、企業の人事担当者の業務負担を軽減し、企業の戦略的な施策を実行する際に求められる人事業務を支援しています。

—ここ数年で人事労務領域における業務課題やニーズは、どのように変化していると感じますか?

上杉さん
ここ10年で、人事関連の法改正、人的資本情報開示義務化などの制度改革、残業時間の上限制限などの働き方改革、そして人事労務DXの進展により、人事部門の定型業務が急増しました。特に直近2〜3年では、人事労務DXの進展によって、複数の人事系システムを駆使できるスキルが求められるようになり、従来と異なるニーズが生まれています。

5〜10年前と比べ、何もシステムを導入していない企業の人事部門は少なくなり、むしろ複数のシステムを導入している企業の方が割合として増えてきている状況です。

—複数のシステムを使い分けることで、かえって業務が複雑化してしまうケースが多いということでしょうか?

上杉さん
人事労務の業務フローを切り取ってみると「システム同士の連携業務の煩雑」や「各システムごとの仕様が異なり、使いにくい」といった意見があるように、複数ベンダーを使いこなす技量が人事労務担当者に求められ、同時に頭を悩ます原因にもなっています。

jinjer株式会社 上杉さんインタビュー

法改正や社会的背景による人事労務の定型業務の増加にあわせて、業務課題に応じて複数のシステムを使いこなし対応する対応できない部分は手作業で対応する、結果として人事労務担当者の負担は増加している現状があると認識しています。

—法改正や社会的背景(テレワーク、労働人口減少など)が人事労務業務に与えている影響については、どうお考えですか?

上杉さん
先述したように、人事関連の法改正や、人的資本経営など社会的背景の変化により、人事労務業務の定型業務が増加し、担当者の負担が増しています

例えば勤怠管理業務では、残業時間の上限規制や年次有給休暇の管理、テレワークや時短勤務者の増加などへの対応が求められ、給与計算業務ではその多様な働き方に対応した賃金規定の改定の他、福利厚生の多様性に伴う手当の増加による複雑な計算業務への対応が求められています。

さらに、公的手続きの電子化に端を発してスマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により労務領域全体でペーパーレス化が進み、人事労務の担当者がオーナーになって社内のDXを推し進めるシーンも増えてきています。

—法改正だけでなく、働き方の多様化やDXの流れも相まって、人事労務業務がより複雑になっているということですね。こうした変化は人事労務担当者の業務に、具体的にどのような影響を与えているのでしょうか?

上杉さん
こうした環境の変化は、人事が管理すべき従業員情報の種類も多様化させています。働き方の変化や社内制度の変更に伴う従業員情報の管理も、人事労務業務のベースとなる情報として間違えることは許されません。

そのため、従業員情報の定期的なアップデート業務が、人事労務担当者の負担になっていることも事実として存在します。こうした環境の変化に対応しながら人事担当者は複雑化した業務をこなさなければならなくなっているのです。

—企業の人事労務業務はDXの中でも後回しにされがちと言われますが、それはなぜだと思いますか?

上杉さん
人事労務領域のDXが後回しにされる理由として、人事労務を「企業の守りの領域」「コストセンター」として捉えている企業が未だに多いからだと考えています。

以前より、DXが進んできてはいるものの、利益をもたらす事業領域などのDXへ投資を優先する方が企業としても、インパクトが大きく感じるのは当然ですからね。だからこそ、人事労務システム導入時の重視点として、部分的な業務に限定したシステムを導入し「費用対効果が合うかどうか」を気にする企業が多い現状があります。

業務単位でシステムを複数導入することで、結果として複数のシステムが乱立し、「ペーパーレス化はできたけど人事労務担当の手作業は結果減っていない」という状況にある企業が多いと考えます。

ジンジャーだから実現できる人事労務から経営判断までのデータ活用

—国内の人事労務システム市場における、ジンジャーが担うポジションや特徴的な立ち位置について、どのようにお考えですか?

上杉さん
人事労務担当者が直面している業務負担を軽減するため、ジンジャーは「統合型データベース」を通じて定型業務を自動化できる点を強みとしています。

法改正や社会的背景により増加した定型業務や、部分最適なシステムが複数存在する人事部門において、人事労務担当者がおこなう「業務フローを根本的に効率化 / 自動化する」というアプローチの人事労務システムは、まだまだ世の中に少ないと考えています。

弊社は”人事の「これからの当たり前」をつくり、お客様とともに進化する”というミッションを掲げています。前述してきた現状を「これまでの当たり前」と言えるように、人事の負担がなくなるこれからの人事総務の姿を理想にしていることが、ジンジャーが担うポジションであり特徴です。

—そうした統合型データベースにより業務を自動化できるシステムが少ない理由は何でしょうか?

上杉さん
その理由は、人事労務領域を網羅的に提供するシステムの多くが、一連の業務フローのなかで、従業員データの同期処理や連携作業が発生し、それが業務の妨げとなる構造を作っているからです。

また、基幹システムから派生し業務フローを効率化できるシステムの場合、従業員の使いやすさやユーザビリティが旧来のクラウド以前の使用感であることが多く、現代のDXには不向きであることも理由のひとつです。

jinjer株式会社 上杉さんインタビュー

ジンジャーの各プロダクトは、人事労務の各領域において、一定水準以上の機能を持ち合わせており、それらの機能を統合型データベースを軸に活用することができます。

人事労務業務は、基本的に従業員情報を起点に業務を行うため、統合型データベースを軸に、定型業務を効率化することは、理にかなっていると自負しています。これにより、人事労務の業務フローで発生する手間や無駄を根本から改善し、人事労務担当者が直面する業務負担を最小限にするサービスとして提供している点が特徴です。

—紙やExcel運用からジンジャーに切り替えたことで、定量的に「ここが改善された」と言える事例はありますか?

上杉さん
入社手続きに付随する誓約書などの書類作成や、毎月の給与明細公開の自動化、年末調整といった紙のやり取りが発生する業務を「わかりやすい操作画面だからこそスピーディなペーパーレス化を実現できた」という事例はたくさんございます。

—ペーパーレス化以外にも、統合型データベースならではの改善事例があればお聞かせください。

上杉さん
ジンジャーならではという観点ですと「統合型データベース」を持っているからこその定量的や改善事例があります。人事異動などに際しては、

  • Excel上のリストで管理していた従業員情報のメンテナンス工数が削減された事例
  • 複数のシステム間で、従業員データの連携処理にかかっていた時間を削減することができた事例
  • 業務フローを統合型データベースを軸に行い、従業員情報の更新をシステム連携工数なく対応ができたことで、情報更新の漏れなく工数削減にもつながった事例

などは、ジンジャーだからこそ実現できる定量的な業務改善例です。

特に、従業員規模が数百名以上で、入社・退職や社内異動が激しい企業の場合、様々な手続きにより人事情報は目まぐるしく変化します。ジンジャーは前述の通りこれらの手続きをペーパーレス化できる他、更に目まぐるしく変わる人事情報を統合型データベースに蓄えられることにより、相乗的に効果を感じていただくことが多いです。

統合型データベースでない管理体制の場合、ペーパーレス化を達成しても、変化する人事情報の履歴管理は蔑ろになることが多く、過去・現在・未来の情報の変遷を1つの時系列で蓄えられません。統合型データベースだからこそ、従業員の「正しい人事データ」を蓄えることができると考えています。

—業務効率化を超えた副次的な効果が生まれているのですね。他にも同様の事例はありますか?

上杉さん
そのほか、IPOを目指す方針で内部統制強化のためにジンジャーをご導入いただいた企業様より、ジンジャーを長期的に使い続けたことで「蓄積されたデータを人事施策に活用できるようになった」「データの検索性が高まったことで、経営における意思決定がスムーズになった」という、意志決定の変容にまつわる副次的効果が生まれた事例もあります。

こちらの事例については、労務領域以外に「タレントマネジメント領域」のジンジャーを横断的にご使用いただいたからこそ、このような弊社としては理想的なジンジャーの活用方法を実践していただいていると考えております。ジンジャーの統合型データベースに蓄積した「正しい人事データ」を軸に、最終的な企業の意思決定を確かなものにするサポートができると考えております。
—従業員数が少ない企業と多い企業とで、ジンジャー導入の効果の出方に違いはありますか?

上杉さん
入社退社の手続きや年末調整などのペーパーレス化ができる領域については、従業員数が多い企業さまの方が手間も比例して多いため、費用対効果は出やすいと考えます。
また、人事異動に伴って発生する従業員情報のメンテナンス工数の削減についても、多拠点展開で、人事異動が頻発する企業の方から「業務工数削減で、定量的な費用対効果が出た」というお声をいただいております。

とはいえ、勤怠締めから給与計算に至る月次業務や、年末調整周りの年次業務など一連の人事労務業務を、ジンジャーでは1つのサービスで対応できるため、従業員数が多い企業の人事労務担当者の業務工数削減はもちろん、中小企業の人事労務担当者の業務時間削減ももちろん可能です。従業員数の大小にかかわらず効果を感じていただくことが多いため、前述した導入事例においても1~100名様規模の企業からも業務負担を改善できたというお声をいただいております。

“導入して終わり”にしない、現場で定着を支える仕組みと工夫

—ジンジャー導入時、現場からの反発やITリテラシーのギャップを乗り越えるための工夫は

jinjer株式会社 上杉さんインタビュー

—ジンジャーを導入した企業で「定着までうまくいかなかった」ケースから学んだことはありますか?

上杉さん
ジンジャー導入後に定着がうまくいかなかったケースについては、プロダクト開発の観点からご紹介させてください。

ジンジャーは1年間に多くの新機能をリリースしていますが、新機能や運用への切り替えに関するノウハウの提供が不十分だったことから、古い運用方法を続けている企業が多くありました。この教訓を受け、現在はリリースされた機能に関するお知らせを管理者画面上に表示することで、管理者がいち早くアップデート情報を確認できるよう工夫しています。

—頻繁な新機能リリースが強みである一方で、その情報をいかに利用者に届けるかが課題だったということですね。他にも定着がうまくいかなかった要因はありますか?

上杉さん
同様に、初めてご導入いただいた際の初期設定においては、複数のサービス領域を順次設定している場合、設定期間内に新機能がリリースされると、再度設定を変更する必要が生じる場合があります。これを解決するため、社内の開発予定を担当者に細かく共有したり、最新の機能アップデートを勉強する社内ワークショップを定期的に開いたり、社内コミュニケーション上から改善する対策を講じることで、利用開始にあたり、ジンジャーの設定を進めるお客様を混乱させないようにしています。

—ジンジャーの運用フェーズで、業務を改善するために定期的に見直すべきポイントはどこでしょうか?

上杉さん
前述の内容と重複しますが、ジンジャーは1年間で多くの新機能をリリースしているため、初期設定時の運用よりも現在リリースしている機能にて設定を見直すことで、業務をより効率化できる可能性が高いです。

人事勤怠給与など幅広いサービスを提供している関係上、各領域で多くの機能実装が頻発するため、ひとつの機能実装による影響が他のプロダクトの運用効率化にもおよび、ひいては業務全体で効率化できる場合があります。

こうした機能実装内容を、適切なタイミングでご確認いただき、都度設定を最適化していくことで業務全体の更なる効率化を実現いただけると考えています。

人事労務を“守り”から“戦略”へ変えるコスト対効果の考え方

—ジンジャーのROI(投資対効果)はどのように算出・可視化すると社内で伝わりやすいですか?

上杉さん
ROI(投資対効果)を社内で伝えるためには、「短期的な観点」「中長期的な観点」の2点で考えることが大切です。ジンジャーはSaaSだからこそ、継続的に利用コストが発生します。そのため、短期的な目線だけでは将来の投資対効果を考えにくくなり、逆に中長期的な目線だけでは短期的なメリットが薄くなってしまいます。

まず、短期的な観点ですと、まず業務効率化によるコスト削減効果を示すことが有効です。具体的には、

  • ペーパーレス化による紙の管理コスト削減
  • 複数システムを使用することによる、データ連携にかかっていた工数の削減
  • 統合型データベースの一元管理による、業務フロー全体の簡素化・効率化

が挙げられます。これらは数値化しやすいため、費用対効果として明確に伝えやすい指標です。

さらに、中長期的な観点ですと、経営層や決裁者に対しては、単なる費用対効果だけでなく、データ活用による意思決定への貢献という観点でもアプローチできます。ジンジャーに蓄積された「正しい人事データ」を活用することで、勘や経験に頼らない正確な意思決定が可能となり、データ分析を通じて迅速かつ正確な情報を得るメリットも、ROIを気にする経営者や決裁者にとっては魅力的な機能として伝えられると考えます。

—多機能なシステムがゆえに「まず何から使えばいいのか迷う」という声もあるかと思います。費用対効果を高めるための初期活用の優先順位を教えてください。

上杉さん
初期活用の優先順位に関しては、特別な順番を設けることはありませんが、まずは企業が抱えている具体的な課題に焦点を当て、その領域から導入を始めることが重要だと考えています。ジンジャーは部分的な導入が可能で、ひとつの課題解決から効果を実感できます。

—課題に応じた導入ということですが、一般的に費用対効果が出やすい領域はどこでしょうか?

上杉さん
費用対効果が出やすい初期活用領域としては、入退社手続き、年末調整、給与明細などのペーパーレス化業務が挙げられます。また、勤怠集計や給与計算に多くの工数がかかる場合、それらの効率化から始めることで高い費用対効果が期待できます。

—段階的に活用範囲を広げていく際に、企業が意識しておくべきことはありますか?

jinjer株式会社 上杉さんインタビュー

上杉さん
どの領域から始めても、ジンジャーはデータベースが一元管理されていることから、従業員データは人事労務担当者の手間をかけることなく常に蓄積/アップデートされ続けていきます。そして、後の段階で統合データベースをもとにした従業員情報のデータ活用をより、業務効率できる領域は広範囲に拡大することができます。そのため、最初の導入だけでなく、溜まった従業員データを次にどのように活用したいかという観点も踏まえて、2段階目、3段階目といった中長期的な優先順位をつけていくことも初期活用のタイミングで重要と考えています。

—ジンジャーとして、今後強化したい機能や構想している新しいプロダクトがあれば教えてください。

上杉さん
今後強化したい機能という観点ですと、労務領域において「①より統合型データベースを軸に業務の手間を削減できるフローを実現する」と「②管理者や従業員が使いやすく、親しみを持って利用いただける画面設計を実装する」の2点を考えています。

①の具体例をお伝えすると、月次の給与計算にかかる業務時間を更に削減する機能や、データベースに登録された情報を軸に人事労務担当者のミスを防ぐことができる機能の開発を検討しています。

②の具体例でお伝えすると、昨年からジンジャーの画面を少しずつ新しいデザインへ切り替え始めています。この対応を引き続き各画面において進め、より従業員がサービスに定着し、人事労務担当者に負担がかからないサービスを目指しています。

また、前述いたしましたタレントマネジメント領域の拡大もひとつ視野に入れております。直近で、組織診断ツール「ジンジャーサーベイ(※)」をリリースしたことに伴い、労務領域だけでなくより従業員に関する詳細な従業員データを、タレントマネジメント業務で活用できるようにすることで、「正しい人事データ」より企業の意思決定をより確かなものにできると考えております。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら

本コンテンツは労務SEARCHが独自に制作しており、公正・正確・有益な情報発信の提供に努めています。 詳しくはコンテンツ制作ポリシーをご覧ください。 もし誤った情報が掲載されている場合は報告フォームよりご連絡ください。

この記事をシェアする

労務SEARCH > インタビュー > 人事労務の負担はこうして減らす!jinjerに学ぶ業務効率化のヒント