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労働移動支援助成金とは?再就職支援、早期雇入れ支援について

労働移動支援助成金とは?再就職支援・早期雇入れ支援コースを解説

監修者:山本 務 やまもと社会保険労務士事務所
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労働移動支援助成金とは、企業が労働者に離職(解雇)を推奨する際、労働者の再就職支援を委託し、再就職援助計画等対象労働者の早期雇入れ拡大と、生産性を向上させた場合に支給される助成金です。

この記事では、労働移動支援助成金の種類や対象者・事業主の条件、手続きを中心にご紹介していきます。

労働移動支援助成金とは

労働移動支援助成金とは

労働移動支援助成金とは、企業の経済状況が落ち込み、労働者に離職(解雇)推奨する際に労働者の再就職支援を委託することで、早期雇入れの拡大や生産性向上を実現させた際に支給される助成金です。

労働移動支援助成金の種類

労働移動支援助成金には以下2種類のコースがあります。

労働移動支援助成金のコース
  • 再就職支援コース
  • 早期雇入れ支援コース

再就職支援コースとは、事業規模の縮小に伴い、離職する労働者再就職実現の支援を行うために民間の職業紹介事業者に支援を委託する事業者に支給される助成金です。
支給には再就職を実現する必要があります。

早期雇入れ支援コースとは、離職する労働者の早期再就職を目的とし、離職日の翌日から3カ月以内に雇用した事業主に対して支給される助成金です。

事業者が受給するための条件

労働移動支援助成金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。

労働移動支援助成金の受給条件
  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 支給のための審査に協力すること
  • 申請期間内に申請すること

受給対象外となる雇用主条件

以下の項目を満たす事業主は受給対象外となります。

受給対象外となる条件
  • 不正受給から3年以内に申請をした事業主、もしくは申請後に不正受給をした事業主
  • 労働保険料を納入していない事業主(支給申請日の翌日から2カ月以内に納付すれば問題無し)
  • 支給申請日の前日から1年以内に労働関係法令の違反があった事業主
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食営業、これらの営業の一部を受託する事業主
  • 暴力団とかかわりのある事業主
  • 支給申請日、もしくは支給決定日の時点で倒産している事業主
  • 不正受給に伴う事業主名などの公表に同意していない事業

労働移動支援助成金(再就職支援コース)

再就職支援コースには、

  • 再就職支援
  • 休暇付与支援
  • 職業訓練実施支援

の3つの対象支給措置があります。

対象となる労働者の条件

再就職支援コースの助成対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

再就職支援コースの対象労働者条件
  • 事業主の作成する「再就職援助計画」、または「求職活動支援書」の対象者
  • 雇用保険の一般被保険者として1年以上継続して雇用されていた
  • 以前の事業所への復帰の見込みがないこと
  • 再就職先が未定であること
  • 職業紹介事業者によって退職勧奨を受けたと受け止めている者でないこと
  • 退職強要を受けたと受け止めている者でないこと
  • 再就職支援を受けることを承諾していること

詳細の条件は「早期再就職支援等助成金ガイドブック(再就職支援コース)」をご確認ください。

再就職支援措置

再就職支援とは、再就職支援を民間の職業紹介事業者への委託費用の一部を負担する助成措置です。そのうち、再就職支援の一環として行われた訓練とグループワークに対して、助成金が上乗せされます。

再就職支援の助成金額

再就職支援助成金の金額は以下の条件で支給されます。

  • 委託費用の1/2(中小企業以外1/4)
  • 支給対象者45歳以上 委託費用の2/3(中小企業以外1/3)

【特例区分に該当する場合】

  • 委託費用の2/3(中小企業以外1/3)
  • 支給対象者45歳以上 委託費用の4/5(中小企業以外2/5)

1人あたり上限60万円

特例区分とは、職業紹介事業者との間の委託契約が一定基準に合致し、かつ、対象者が実際に良質な雇用に再就職した場合を指します。

再就職支援の上乗せ金額

訓練を委託した場合、訓練実施にかかる費用の2/3(上限30万円)、グループワークを委託した場合、3回以上実施で1万円が加算されます。

休暇付与支援措置

休暇付与支援とは、離職が決定している労働者に対して、事業主が求職活動のための休暇を与えた場合の助成措置です。

休暇付与支援の助成金額

  • 日額8,000円(中小企業以外5,000円)を支給 (上限180日分)
  • 離職後1カ月以内に再就職を実現した場合、1人あたり10万円を加算

職業訓練実施支援

職業訓練実施支援とは、離職が決定している労働者に対して、教育訓練施設等に委託を行い、訓練を実施した場合に訓練費用の一部を助成する措置です。

職業訓練実施支援の助成金額

教育訓練施設等に訓練を直接委託した場合、訓練実施にかかる費用の2/3(上限30万円)が支給されます。

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とは?

早期雇入れ支援コースでは「早期雇入れ支援」と「人材育成支援(職業訓練)」の2つの助成が実施されます。

対象となる労働者の条件

早期雇入れ支援コースの助成対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

再就職支援コースの対象労働者条件
労働者
  • 前職の離職の際に「再就職援助計画」もしくは「求職活動支援書」の対象者であること
  • 雇用されていた事業主の事業所へ復帰のみこみがないこと

人材育成支援(職業訓練)を実施する場合、対象労働者の条件に以下の2点が加わります。

  • 職業訓練計画に基づいて訓練を受講すること
  • 助成対象となる訓練の実施時間数の8割以上を受講していること

詳細の条件は「労働移動支援助成金ガイドブック(早期雇入れ支援コース)」をご確認ください。

早期雇入れ支援

早期雇入れ支援では、通常助成と優遇助成の2種類があり、1年度1事業所あたり500人上限に早期雇入れを行った場合に、助成金が支給されます。

優遇助成とは、事業主が成長性にかかる一定の基準に合致しており、助成対象者を雇い入れた場合に適用される助成です。

早期雇入れ支援の助成金額

  • 通常助成 1人あたり30万円
  • 優遇助成 1人あたり80万円

優遇助成では、対象者の採用1年後に賃金をアップした場合、賃金上昇区分として1人あたり100万円が支給されます。

人材育成支援(職業訓練)

人材育成支援(職業訓練)は、OJT(実際の職務現場における教育訓練)、Off-JT(授業形式の集合研修)を実施することで、助成金を追加で支給されます。

人材育成支援には、通常助成と優遇助成の2種類が存在します。

人材育成支援(職業訓練)の助成金額

助成金金額はOJT、Off-JTでそれぞれ異なります。

訓練の
種類
助成対象 支給額
(通常助成)
支給額
【優遇助成】
支給額
【優遇助成(賃金上昇区分)】
OJT 訓練経費助成 1時間あたり800円 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円
Off-JT 賃金助成 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円 1時間あたり1,100円
訓練経費助成 実費相当額
上限30万円
実費相当額
上限40万円
実費相当額
上限50万円

労働移動支援助成金の受給には、雇用してから6カ月後の日の次の日から2カ月以内に支給申請書と必要書類を労働局に提出する必要があります。また、2回目の受給を受ける場合、1回目の申請から6カ月後の次の日以降で初めて発生する給与支払い日の次の日から、2カ月以内に支給申請書と必要書類を提出します。

詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。

まとめ

労働移動支援助成金は再就職支援コースと早期雇入れ支援コースの2種類あり、早期雇入れ、生産性向上の実現をした際に支給される助成金です。

再就職支援コースには再就職支援措置、休暇付与支援措置、職業訓練実施支援の3つがあり、それぞれ対象労働者と助成金額が異なります。

早期雇入れ支援コースには通常助成のほかに優遇助成があり、成長が期待できる企業には一定の基準を満たすことで優遇助成を受けられます。また、人材育成支援(職業訓練)を追加で行う場合は追加助成金を受給することが可能です。

やまもと社会保険労務士事務所 監修者山本 務

上場の建設会社にて情報システムの開発、運用、管理を経験した後、人事部に異動して給与計算、社会保険手続きから採用・退職など、人事労務管理に約12年従事。やまもと社会保険労務士事務所の所長、特定社会保険労務士。
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