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給与計算は社労士・税理士どちらに頼む?メリット・デメリットについて解説

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給与計算は、従業員の給与および生活に大きくかかわる事項です。

労働基準法遵守にもかかわる事項であるため、給与計算ミスや法令違反は労働トラブルにつながりやすく、従業員・社会からの信頼も失ってしまいます。
給与計算は複雑な計算や作業が多く、正確に作業をおこなうために、社労士や税理士などの専門家に依頼したいと考える企業も多いのではないでしょうか。

給与計算と社労士・税理士それぞれのかかわり、メリット・デメリットについて解説します。

監修者
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給与計算とは

給与計算とは

給与計算とは、従業員の給与にかかわる計算業務を指し、勤怠データをもとに人事担当者や経理担当者がおこなうことが一般的です。

給与計算の業務内容

給与計算業務は、主に以下の項目にわけられます。

給与計算の業務内容
従業員の基本情報の登録・変更 氏名や給与振り込み先、人事異動、昇給・昇格などを管理します。
勤怠記録の集計 始業・終業時間、遅刻・欠勤、残業時間、休日出勤、有休など、勤怠にかかわる記録を集計・管理します。
総支給額・控除項目の計算 総支給額や控除項目(社会保険料、所得税など)の計算をおこないます。
社会保険料・源泉徴収税などの納付 給与から差し引いた社会保険料や、源泉徴収税、住民税などを納付します。
給与明細書の発行 紙やデータによる給与明細書を作成・発行します。
そのほか 賃金台帳の作成や、賞与の計算などをおこないます。

給与計算の方法

給与計算の方法は企業によってさまざまですが、主に以下の3つの方法により、おこなわれています。

自社(給与計算ソフト)

    給与計算を外部に依頼せず、自社内でおこなう場合、大抵の企業は「給与計算ソフト」を用いて給与計算業務をおこなっています。
    従来の給与計算ソフトはPCにインストールするタイプが主流でしたが、近年ではインターネット上で管理可能なクラウド型の給与計算ソフトが主流になりつつあります。

社会保険労務士

    社会保険労務士(社労士)とは、社会保険や労働保険にかかわる手続き代行を主な業務とする、労務管理のスペシャリストです。
    各種保険手続きの代行のほか、就業規則や賃金台帳の作成依頼も可能です。

税理士

    税理士とは、確定申告や消費税の申告書作成などが主な業務であり、税金にかかわる業務のスペシャリストです。
    給与計算にかかわる所得税の計算や年末調整業務などを依頼できます。

社会保険労務士と税理士の違い

社会保険労務士と税理士は、それぞれメインとする業務(独占業務)・役割が異なるため、給与計算業務を依頼する際も依頼業務が異なります。

社会保険労務士の仕事・役割

社会保険労務士は「社会保険・労務関係」に関するスペシャリストです。
社会保険・労働保険にかかわる書類作成や手続きの代行が主な業務であり、社会保険や労務に関連する「帳簿書類の作成代行」や「事務代行」、調査や処分に対し、依頼者の代わりに陳述や主張をおこなう業務は、社労士にしかできない独占業務です。

税理士の仕事・役割

税理士とは「税務」に関するスペシャリストです。
依頼者に代わって税務申告業務をおこなう「税務代理」や「税務書類の作成」、「税務相談」が税理士の主な業務であり、なかでも「決算申告業務」や「年末調整業務」は、税理士にしかできない独占業務です。

給与計算を社労士に依頼するメリット・デメリット

給与計算を社労士に依頼するメリット・デメリット

給与計算を社労士に依頼するメリット・デメリットについて紹介します。

メリット

給与計算を社会保険労務士に依頼することには、以下のメリットが挙げられます。

・業務効率化を図れる
社会保険労務士に給与計算業務や労務手続きを依頼することで、その分、人的リソースが確保できます。特に人手不足の場合や、総務や人事担当者(給与担当者)を設けていない場合、本来別の業務をおこなうべき従業員や役職付きの従業員が担当していることが多いため、本来の業務に力を入れられます。
給与計算や労務手続きをおこなう従業員の残業時間が課題となっている場合は、社会保険労務士に依頼し、業務効率化を図ることもひとつの改善策です。

・企業に合わせた提案・書類作成ができる
労務関係書類など行政機関に提出・申請が必要な書類の作成は複雑なものが多く、社内で作成する際は時間と労力が必要です。
また、企業規模や業種によっても作成・申請条件が異なる場合もあります。
そのため、企業に合わせた提案や書類作成ができる社会保険労務士の力を借りることで、作業にかかる時間を大幅に削減でき、適切かつ確実に必要書類の作成および給与計算がおこなえます。

・補助金・助成金の相談
近年、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、企業への救済措置としてさまざまな補助金や助成金制度が設けられています。
補助金や助成金の申請に必要な書類および申請条件は、申請する制度によって異なりますが、なかには、「就業規則が整備されていること」が条件となる助成金制度もあります。
そのため、自社で作成した就業規則に自信がない場合や、就業規則の作成方法がわからない場合は、社会保険労務士に依頼し、補助金・助成金制度を有効に活用できる体制を整えておきましょう。

デメリット

給与計算を社会保険労務士に依頼することには、以下のデメリットが挙げられます。

・年末調整業務(法定調書の作成)は依頼できない
給与計算業務の一環である「年末調整」にかかわる「法定調書」の作成は、税理士の業務であるため、社会保険労務士がおこなうことはできません。

・ランニングコストがかかる
社労士に給与計算業務の依頼をおこなう際は「ランニングコスト」が必要です。
依頼費用は従業員規模や依頼内容によって異なるため、「社会保険労務士の依頼費用の相場」は一概にはいえませんが、年間で何十万という費用がかかる場合が一般的です。
しかし、社内に社会保険や給与計算業務に精通している従業員がいない場合は、人員を雇うよりも社会保険労務士に依頼した方が、コストパフォーマンスが良い場合もあるため、必ずしもデメリットとなるわけではありません。

給与計算を税理士に依頼するメリット・デメリット

給与計算を税理士に依頼するメリット・デメリット

給与計算を税理士に依頼するメリット・デメリットについて紹介します。

メリット

給与計算を税理士に依頼することには、以下のメリットが挙げられます。

・年末調整業務も依頼できる
税理士は年末調整業務も代行可能なため、給与計算業務の依頼に加え、複雑な計算が必要な年末調整業務まで依頼できます。年末調整業務は年末の繁忙期と重なるため、年末調整業務を税理士に依頼することで、作業負担を大幅に削減できます。

・税務に関する相談・アドバイスが受けられる
税理士は税務のプロフェッショナルであるため、給与計算業務の依頼と合わせ、会計業務も依頼することで、節税対策など税金に関するアドバイスを受けられます。

・税務関係書類の作成依頼ができる
税務関係の書類は複雑で難しいものが多く、経理担当者でさえも、頭を抱えながら作成しなければならない場合があります。

複雑な税務関係書類の作成に時間(人員)が奪われてしまうと、作業効率が下がり、その分残業など無駄な費用がかかってしまうリスクがあります。
社内に税務関係に精通した従業員がいない場合や、作業に時間が多く取られてしまう場合は、税理士に依頼することで課題解決につなげられます。

デメリット

給与計算を税理士に依頼することには、以下のデメリットが挙げられます。

・社会保険や労務関係業務は依頼できない
税理士に給与計算業務を依頼する場合、年末調整業務まで依頼できますが、社会保険関係や入退社手続きなどの労務関係業務は税理士に依頼できません。税理士が携われない業務には自社内で業務をおこなうか、社会保険労務士に依頼する必要があります。

・ランニングコストがかかる
税理士に給与計算業務の依頼をおこなう際は、社会保険労務士同様、「ランニングコスト」が必要です。一概にはいえませんが、年間で何十万という費用がかかる場合があります。
しかし、社内に税務関係の資格を保有している(精通している)従業員がいない場合は、新たに人員を雇うよりも税理士に依頼した方がコストパフォーマンスが良い場合もあるため、必ずしもデメリットとなるわけではありません。

給与計算は社労士・税理士どちらに依頼すべき?

給与計算業務を外部に依頼する場合、社労士・税理士のどちらに任せるべきか、悩む企業も多いでしょう。
どちらに依頼しようか悩んだ際は、「自社の課題・問題点」に着目し、課題や問題を解決できそうな方に依頼しましょう。

「社会保険」や「労務関係」に関する業務に課題を感じている場合は社会保険労務士に、「税務関係全般」に課題を感じている場合は税理士に、というように目的に合わせて検討しましょう。

給与計算システムで解決できることも

予算の関係上、給与計算業務を税理士や社会保険労務士に依頼できない場合は、自社内ですべて業務をおこなう必要がありますが、その場合「給与計算システム」の導入で課題や問題が解決できる場合もあります。

給与計算業務の課題や問題を、なるべくコストをおさえて改善したい場合は、社会保険労務士や税理士に依頼する前に一度、給与計算システムの導入・改善を検討してみましょう。

まとめ

企業において給与計算業務は従業員の給与および生活、労働基準法の遵守にかかわる事項です。
給与計算の方法は、さまざまな手段がありますが、自社の課題・問題、予算などに合わせ、慎重に検討しましょう。

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