この記事でわかること・結論
- 就業規則変更届とは、企業が就業規則に変更があったときに、その変更内容を労働基準監督署に届け出るための書類
- 就業規則の変更には「意見書」と「就業規則変更届」を行政官庁へ提出する必要がある
この記事でわかること・結論
就業規則変更届とは、企業の就業規則を変更する際に所轄の労働基準監督署へ提出する書類のことを言います。
正式には就業規則の変更時は「意見書・就業規則変更届・変更後の就業規則」を提出する必要があります。また、授業員によって不利益が被らないようにしっかりと作成しなければなりません。
そこで本記事では就業規則変更届に関連して、就業規則の変更流れやタイミング、就業規則変更届や意見書作成時の書き方や注意点などを解説します。
目次
就業規則変更届とは、企業が労働者を雇用する際に定める就業規則に変更があったときに、その変更内容を労働基準監督署に届け出るための書類のことを指します。
労働基準法第89条や90条では、事業主が就業規則を作成・変更した場合には、一定の要件を満たした上で、意見書および就業規則変更届を労働基準監督署へ届け出ることが義務づけられています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
就業規則とは、労働条件や職場のルールや従業員の義務や権利などを定めたものであり、従業員と事業主双方の労働関係を明確にし、トラブルを防止するための基本的な文書です。
就業規則変更届は、上記のような就業規則に何らかの変更があった際にその変更が法令に適合しているかを確認して公的に記録するために必要とされます。
就業規則は、労働環境における従業員の権利などが主な内容です。そのため、以下のような労働に関連する法律が改正した際には、就業規則の見直しをおこなう必要があるでしょう。
就業規則に記載する内容は各種法律の基づいたものでなければならないため、上記のような労働関連法が改正されるタイミングで変更することが求められます。
また、法律のように外部要因で変更することもあれば企業内部での労働環境の変化によって就業規則を変更することもあります。これは経営不振などによって、就業規則と労働実態が乖離している際などのタイミングを指します。
就業規則を変更する際はどのようなフローをおこなうのでしょうか。ここでは就業規則変更に伴う流れや必要書類を解説します。ここで「就業規則変更届」の役割もしっかり覚えておきましょう。
就業規則変更の流れ
労働に関する各種法律を参考に、就業規則のなかで実際に変更する箇所や新規条文などを検討します。たとえば、給与に関しては最低賃金法が改正されれば修正などが必要になります。
就業規則に記載する内容は、必ず各種法律に則ったものである必要があります。そのため検討して固まった変更箇所や内容は取締役など含む立場のある方に確認してもらいましょう。
就業規則の変更について、各種法律の改正による変更は修正箇所などが明確であるため確認もスムーズに進みます。ですが経営悪化など自社で決める範囲が大きい変更である場合は、その内容について議論する必要があります。
就業規則の変更は、従業員および会社を守るためにも必要な対応です。自社で働いている方達に不利益の無いようにしっかりと定めましょう。
就業規則の変更には「意見書」と「就業規則変更届」を行政官庁へ提出する必要があります。この作成と提出義務は、労働基準法第90条にて明記されているため企業は必ずおこなわなければならない対応です。
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2. 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
法律内では「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合またはそうでない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、その内容を記した意見書を作成・添付すること」とされています。
そのため、まずは意見書の作成をします。意見書は就業規則変更届と一緒に必ず提出する書類であり、仮になんの意見もないという場合でも提出します。
また、様式は特に指定されていないため後述する記載事項があれば問題ありませんテンプレートは厚生労働省が公式にドキュメントとして公表しているため、そちらをダウンロードして利用するのも良いでしょう。
次に就業規則変更届を作成します。意見書と同様に決められた様式などはないため厚生労働省が公表しているドキュメント(意見書と一体になっています)をダウンロードして利用するのも良いでしょう。
もちろん、企業独自の就業規則変更届や意見書テンプレートがあればそのフォーマットを利用しても問題ありません。多くの企業では過去のものがあると思います。
こちらも記載事項や書き方については意見書と一緒に後述しています。
意見書と就業規則変更届が完成したら、速やかに所轄労働基準監督署に提出します。また、新しく作成した就業規則も提出しましょう。提出方法は以下のようなものがあります。
期限などは法律で定められていませんが、提出を怠ってしまうと労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金を科される可能性があるため注意しましょう。
ここでは就業規則変更届や意見書の書き方を解説します。どちらも様式は法律で決まっていないため、記載する必要事項だけおさえておきましょう。
上記は厚生労働省が公表している就業規則変更届です。企業内に過去使用したフォーマットなどがあればそちらを提出すると良いでしょう。主に記載する内容は以下となります。
就業規則変更届のなかでも「主な変更事項」には、実際に修正される箇所だけを記入します。また、保管方法についても特に指定がないため、紙媒体や電子媒体(ExcelやWordなど)など自社に適した保管方法を選びましょう。
続いて意見書の書き方を解説します。
意見書は労働基準法第90条で明記されているとおり、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合が、そうでない場合は労働者の過半数を代表する者を選出する必要があります。
そのうえで以下の記載事項を記入し、労働監督署へ提出します。
労働者代表は企業が選ぶわけではなく、投票や話し合いなどで決めます。また、特に意見がない場合でもその旨を記載のうえ提出します。このことを忘れて提出漏れになってしまうと罰則になる可能性もあるため注意しましょう。
就業規則変更および、それに伴う意見書や就業規則変更届の作成について企業担当者が覚えておきたい注意点を解説します。
意見書や就業規則変更届を提出し終わって、就業規則を変更した場合は必ず各従業員への周知をしましょう。この周知についても、労働基準法第106条で企業への義務が明記されています。
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、(途中省略)並びに第四十一条の二第一項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
法律違反とならないように、就業規則を変更したあとは各従業員が必ず新しいものを確認できるように周知をおこないましょう。
たとえば、ほんの少しの誤字・脱字などであっても意見書や就業規則変更届の提出が必要になります。少ない修正で就業規則変更をおこなう場合は、面倒な手間になってしまうため1回目の修正段階で入念にチェックしておきましょう。
就業規則変更届や意見書は、就業規則を変更する際に所轄労働基準監督署へ提出する書類のことを指します。この2つの書類および新規の就業規則を提出することは労働基準法のなかで企業への義務が定められているため必ずおこないます。
主に労働関連の法律が改正したタイミングや、自社内での変更を余儀無くされるタイミングなどで就業規則も修正・変更をします。就業規則の内容は不備がないものが理想とされるため、入念に法律や代表などの意見を確認しましょう。
労働基準監督署へは窓口持参・郵送などで提出が可能です。法律内では期限などの指定はありませんが、故意に提出していない場合は30万円以下の罰金となる可能性があるため気をつけましょう。
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