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就業規則がない!? 必要性やデメリットを解説

就業規則がない!?就業規則の必要性やないデメリットを解説

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労働基準法第89条では、常時雇用する労働者が10名以上いる事業所では、就業規則を作成し、労働基準監督署への提出が義務付けられています。

就業規則がない場合、会社は労働トラブルが発生した際、会社を適切に守ることができません。

今回は就業規則がない場合のデメリットや対処法を解説します。

監修者
蓑田 真吾

みのだ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
https://www.minodashahorou.com/

大学卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。 約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。 社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。

就業規則の概要

就業規則がない!? 必要性やデメリットを解説

常時10名以上の労働者(パート、アルバイト含む)がいる事業所の場合、就業規則の作成および労働基準監督署への届出が義務付けられています。この届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科せられます。
業務委託社員や派遣労働者、臨時職員は常時10名以上の労働者に含まれません。

就業規則の必要性

就業規則は賃金や就業に関する取り決め以外にも「解雇基準の明確化」や「転勤などの企業命令に対して拒否した場合の対応」「機密情報の定義」「休職規定」「ハラスメント防止のための服務規程」などを定めることができます。

あらかじめ規定を定めておくことで、労働トラブルに対して、適切に対応ができ、会社を守ることにつながります。

近年では、テレワークの普及や副業・兼業の解禁も相まって、働き方・通勤、通信費などの補助を新たに就業規則に加える企業も増えています。

就業規則は、時代に応じて変わっていく働き方や、労働トラブルに柔軟に整備していく必要があります。

就業規則の作成について

就業規則は厚生労働省が公表している「モデル就業規則について」を参考に作成することができます。また、事業所の属する管轄の労働局に記入すべき内容を問い合わせすることが可能です。

就業規則に盛り込みたい項目

  • 労働時間および休憩時間、休日
  • 年次有給休暇
  • 産前産後の休業
  • 育児・介護休業、子の看護休暇
  • 無期労働契約への転換
  • 安全衛生および災害補償(ストレスチェック・健康診断等)
  • 表彰及び制裁
  • 副業・兼業
    一部抜粋

また、就業規則の変更手続きは、労働組合もしくは労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者代表の意見を聴き、その結果を書面にして届け出ることが義務付けられています。

さらに使用者(事業主)は就業規則を周知する義務があり、「使用者は作成した就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することなどの方法によって、労働者に周知させなければならない」と労働基準法第106条でも定められています。

就業規則がないことによるデメリット

就業規則がないことによるデメリット

近年では、就業規則作成の義務対象ではない企業や個人事業主も就業規則を作成する機会が増えています。

その背景には、働き方の変化やパワーハラスメント対策の義務化など法整備が進んでいることが挙げられます。

就業規則がないことによるデメリットは以下の通りです。

サービス残業の賃金の請求(過去2年分)

大企業・中小企業ともに時間外労働は『原則として月45時間・年360時間』と上限規制が定められています。そのため、上限以上のサービス残業をさせていた場合、法令違反として労働トラブルに発展する可能性があります。

サービス残業の賃金の請求対象期間は過去2年分まで遡れます。また、就業規則がない場合、裁判で企業側が不利になってしまいます。

長時間労働による過労死、精神疾患における損害賠償請求

長時間労働による過労死や精神疾患は労災認定されやすく、労働者が退職した後でも損害賠償請求の裁判を起こされ、労働トラブルへと発展しやすい傾向があります。

また、就業規則に健康診断やストレスチェックを規定できるため、労働者の健康を維持し、長時間労働によるトラブルを未然に防ぐことができます。

ハラスメントによる労働トラブル

改正労働施策総合推進法等により、職場におけるパワーハラスメント対策が使用者の義務となり、セクシャルハラスメント等の防止対策も強化されています。

セクシャルハラスメントだけでなく、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントも含まれます。

管理・監督者を含む労働者に対して方針を周知・啓発し、適切な対応をするために必要な体制の整備をしなければなりません。

就業規則にハラスメントに関する規定を盛り込んでいない場合、ハラスメントをおこなった当事者に適切な懲戒処分をおこなえず、職場環境の悪化を招いてしまいます。

懲戒処分ができない、解雇予告手当の発生

業務上怠慢や不誠実な勤務などで企業に何らかの不都合が発生した場合、懲戒免職や減給をおこなおうと思っても就業規則に記載がない場合、懲戒処分することができません。

また、就業規則がないまま、解雇をおこなった場合、不当解雇として訴えられる可能性があり、解雇をおこなう際に解雇予告手当が発生してしまいます。

助成金申請ができない

厚生労働省がおこなっている雇用関連の助成金の申請要件に、就業規則の作成と備え付けが含まれていることが多く、人材育成や採用拡大を目指した助成金が受け取れないことがあります。

離職者や高齢者を雇用した場合の助成金やキャリアアップ助成金や企業内人材育成推進助成金などは就業規則がない場合、申請ができません。

就業規則がない:まとめ

就業規則は、常時雇用する従業員が10名未満の場合、作成・届出の義務は発生しません。しかし、就業規則は想定外の労働トラブルから会社を守るだけでなく、企業を成長させるための助成金を申請するために必要です。

また、今後、事業を拡大する上でも就業規則に則った職場環境の整備は優秀な人材の獲得に必要不可欠です。

時代とともに働き方が多様化し、想定外の労働トラブルに迅速に対応するためにも定期的に就業規則を整備しましょう。

就業規則の概要

就業規則がない!? 必要性やデメリットを解説

常時10名以上の労働者(パート、アルバイト含む)がいる事業所の場合、就業規則の作成および労働基準監督署への届出が義務付けられています。この届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科せられます。
業務委託社員や派遣労働者、臨時職員は常時10名以上の労働者に含まれません。

就業規則の必要性

就業規則は賃金や就業に関する取り決め以外にも「解雇基準の明確化」や「転勤などの企業命令に対して拒否した場合の対応」「機密情報の定義」「休職規定」「ハラスメント防止のための服務規程」などを定めることができます。

あらかじめ規定を定めておくことで、労働トラブルに対して、適切に対応ができ、会社を守ることにつながります。

近年では、テレワークの普及や副業・兼業の解禁も相まって、働き方・通勤、通信費などの補助を新たに就業規則に加える企業も増えています。

就業規則は、時代に応じて変わっていく働き方や、労働トラブルに柔軟に整備していく必要があります。

就業規則の作成について

就業規則は厚生労働省が公表している「モデル就業規則について」を参考に作成することができます。また、事業所の属する管轄の労働局に記入すべき内容を問い合わせすることが可能です。

就業規則に盛り込みたい項目

  • 労働時間および休憩時間、休日
  • 年次有給休暇
  • 産前産後の休業
  • 育児・介護休業、子の看護休暇
  • 無期労働契約への転換
  • 安全衛生および災害補償(ストレスチェック・健康診断等)
  • 表彰及び制裁
  • 副業・兼業
    一部抜粋

また、就業規則の変更手続きは、労働組合もしくは労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者代表の意見を聴き、その結果を書面にして届け出ることが義務付けられています。

さらに使用者(事業主)は就業規則を周知する義務があり、「使用者は作成した就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することなどの方法によって、労働者に周知させなければならない」と労働基準法第106条でも定められています。

就業規則がないことによるデメリット

就業規則がないことによるデメリット

近年では、就業規則作成の義務対象ではない企業や個人事業主も就業規則を作成する機会が増えています。

その背景には、働き方の変化やパワーハラスメント対策の義務化など法整備が進んでいることが挙げられます。

就業規則がないことによるデメリットは以下の通りです。

サービス残業の賃金の請求(過去2年分)

大企業・中小企業ともに時間外労働は『原則として月45時間・年360時間』と上限規制が定められています。そのため、上限以上のサービス残業をさせていた場合、法令違反として労働トラブルに発展する可能性があります。

サービス残業の賃金の請求対象期間は過去2年分まで遡れます。また、就業規則がない場合、裁判で企業側が不利になってしまいます。

長時間労働による過労死、精神疾患における損害賠償請求

長時間労働による過労死や精神疾患は労災認定されやすく、労働者が退職した後でも損害賠償請求の裁判を起こされ、労働トラブルへと発展しやすい傾向があります。

また、就業規則に健康診断やストレスチェックを規定できるため、労働者の健康を維持し、長時間労働によるトラブルを未然に防ぐことができます。

ハラスメントによる労働トラブル

改正労働施策総合推進法等により、職場におけるパワーハラスメント対策が使用者の義務となり、セクシャルハラスメント等の防止対策も強化されています。

セクシャルハラスメントだけでなく、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントも含まれます。

管理・監督者を含む労働者に対して方針を周知・啓発し、適切な対応をするために必要な体制の整備をしなければなりません。

就業規則にハラスメントに関する規定を盛り込んでいない場合、ハラスメントをおこなった当事者に適切な懲戒処分をおこなえず、職場環境の悪化を招いてしまいます。

懲戒処分ができない、解雇予告手当の発生

業務上怠慢や不誠実な勤務などで企業に何らかの不都合が発生した場合、懲戒免職や減給をおこなおうと思っても就業規則に記載がない場合、懲戒処分することができません。

また、就業規則がないまま、解雇をおこなった場合、不当解雇として訴えられる可能性があり、解雇をおこなう際に解雇予告手当が発生してしまいます。

助成金申請ができない

厚生労働省がおこなっている雇用関連の助成金の申請要件に、就業規則の作成と備え付けが含まれていることが多く、人材育成や採用拡大を目指した助成金が受け取れないことがあります。

離職者や高齢者を雇用した場合の助成金やキャリアアップ助成金や企業内人材育成推進助成金などは就業規則がない場合、申請ができません。

就業規則がない:まとめ

就業規則は、常時雇用する従業員が10名未満の場合、作成・届出の義務は発生しません。しかし、就業規則は想定外の労働トラブルから会社を守るだけでなく、企業を成長させるための助成金を申請するために必要です。

また、今後、事業を拡大する上でも就業規則に則った職場環境の整備は優秀な人材の獲得に必要不可欠です。

時代とともに働き方が多様化し、想定外の労働トラブルに迅速に対応するためにも定期的に就業規則を整備しましょう。

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